志望校に落ちた……中学受験の失敗原因と受験失敗後のフォロー

中学受験で志望校に合格しない原因は、子供の勉強不足や意欲欠如以外にもあります。当記事では、親に中学受験が失敗した原因があるケースについてご説明し、今、中学受験勉強に取り組むご家庭が取れる対策をご紹介します。また、中学受験に失敗してしまった場合に親としてできる子供の支え方もご紹介します。

勉強不足以外の中学受験失敗原因と失敗しないための対策

小学3年の2月から3年間、さまざまな我慢を重ねて迷い苦しみ、頑張ってきた中学受験勉強。しかし、合格を勝ち取り喜ぶ子供がいる反面、不合格に泣く子供もたくさんいます。子供が頑張る姿を一番近くで応援してきた親として、子供が嘆く姿を見るのはつらいものです。一体なぜ中学受験に失敗してしまうのでしょうか。子供ではなく親が犯してしまった失敗原因を見てみましょう。そして、失敗しないために親ができる対策もご紹介します。

入試直前に慣れ親しんだ塾を突然変える

中学受験進学塾は小学6年生までにあらかたの学習範囲が終了します。そのため、小学6年生になった時に子供の成績が上がっていなかったり、塾の方針やカリキュラムに不満がある場合、反対に子供が勉強に自信があり好成績を保っている場合などさまざまな理由で塾を変えるご家庭があります。

しかし、進学塾は3年間のトータルでカリキュラムを組んで勉強を進めます。小学6年生の1年間はこれまでの学習での取りこぼしを補強したり、基礎から発展・応用力を身につける練習を繰り返し、総仕上げをする時期なのです。そのため、入試直前対策まで継続して受講することは、子供の入試本番への心構えを高める効果があります。この時に塾を変えてしまうのは、学習の進度を一度止めることになり、学習加速度を落としかねません。

また、慣れ親しんだ塾にはこれまで切磋琢磨した塾友達や励ましてくれた塾講師がいます。それは子供にとっては単なるライバルや先生ではなく、いわば同じ悩みを共有してきた戦友なのです。それは、少なからず子供の精神を支えてきてくれた存在といえます。そのため慣れ親しんだ塾を突然変えると、子供は新しい環境の中で孤独を感じ、一人で不安と戦わなければならなくなります。

そのため、中学受験進学塾選びは開始前に慎重に行い、「ここで勉強する!」と決めた場合は塾を信じて最後まで初志貫徹するようにしましょう。

勉強の質よりも時間にとらわれている

中学受験に限らず、さまざまな試験勉強で合格するために必要な勉強量を知る指標として「勉強時間」が挙げられます。しかし、勉強時間でも大切なのは「集中した時間」なのです。机に向かってとりあえず目の前にテキストや問題集を開いているだけの時間は、勉強している時間とは言えません。

そのため、勉強時間を少しでも長くしようとして睡眠時間を削ったり、息抜きする時間なく連続して勉強すると、頑張っている割には成績が上がらないという状況を作り出してしまいます。

大切なのは「勉強の質」です。短時間であっても、集中して学び得た知識やスキルがあることが重要なのです。

勉強の質を上げる方法としておすすめなのが、テストや模試を受験後すぐに解き直しをすることです。時間が経過するとともに、人はどの程度忘れてしまうのかについて調べたドイツの心理学者ヘルマン・エビングハウスの研究結果を見てみましょう。

【時の経過と忘れる比率】

時の経過 覚えた内容を忘れる比率
20分後 42%
1時間後 56%
1日後 74%
1週間後 77%
1カ月後 79%

参考

もっと早く知りたかった!忘却曲線に沿った情報の効率的な暗記法|Atsueigo

つまり、テストや模試を解いた次の日には既に「どう解いたのか」をほとんど忘れてしまっているのです。解法手順を思い出すために再度問題を解き直すと4教科で3時間以上のロスになってしまいます。そのため、テストや模試を受けた後すぐに採点をし、間違えた箇所や、正答していても解くのに時間がかかったり自信がない問題は、試験当日中に解き直しをしましょう。

テストや模試の解き直しは、子供の苦手分野を浮き彫りにする効果があるため、次の試験までの学習スケジュールを立てやすくなります。

受験校選びを子供任せにする

偏差値の高い中学校を第1志望とするのは悪いことではありません。合格目標は高くした方が、受験勉強の原動力となるためです。しかし、志望校の中から実際に受験する学校を選別するときは、子供の学力レベルをしっかりと受け止めて親子で相談して決める必要があります。

志望校に一つも受からない「全落ち」になってしまう理由として、子供の学力よりもレベルの高い学校ばかり受験してしまったり、合格する可能性の高い滑り止めの学校を受験をしないという判断ミスが挙げられます。これは、親が受験校選びに子供の希望のみを取り入れたり、子供の学力よりも親の見栄を優先してしまうことが原因であるようです。

受験校を決める時に大切なのは、安全校ばかりを受けることではなく「第1志望は変更しない」という原則です。「全落ち」を防ぐためには、受験勉強の原動力となる第1志望を受験する意志を変えず、第2志望以下の受験校に実力相応の学校や合格する可能性の高い安全校を選ぶようにしましょう。

受験校の決定は、小学6年生の夏休み終わりに行われる全国模試の成績に合わせて行うのが一般的です。夏休みに苦手を克服できたかどうかで入試直前期の成績伸び率が異なりますが、小学6年生の夏休み明けに一度、志望校の中からチャレンジ校・実力適正校・合格有望校を決めましょう。

併願パターンの組み方を間違える

併願パターンとは、受験校レベルと受験日程を調整することを言います。誰しも初めての受験なので、多かれ少なかれ緊張して本番に臨みます。そのため、受験本番の早期に一つでも合格した中学校があるかないかで、子供の精神状態は大きく変わってきます。そのため、限られた受験日程の中で、チャレンジ校・実力適正校・合格有望校をどの順番で受けるかというのは非常に重要な判断です。

併願パターンには大きく分けて3つのパターンがあります。

【併願パターンとその内容】

併願パターン 併願内容
階段パターン 第1志望校を一回受験する場合。

受験期初期に合格有望校を最初に受け、徐々に受験校のレベルを上げていく。

飛び石パターン 第1志望校を複数回受験する場合。

第1志望校の受験日程の合間に実力適正校・合格有望校を受ける。

高台パターン 難関校や有名校のみ受験する。

参考

2019年 第4回合不合判定テスト その2 併願パターンの組み方|四谷大塚、P3~5

子供の精神安定上、最も理想的なのが階段パターンで、最もリスクが高いのが高台パターンです。「全落ち」してしまう場合の多くが受験本番の早期に合格校を勝ち取れないことにあります。

そのため、できるだけ早くに子供を落ち着かせるためにも、合格を一つでも多く勝ち取れるような併願パターンを組むようにしましょう。2月1、2日に第1志望校の入試日程がある場合は、1月以前の入試を受けて合格校を確保しておくのがおすすめです。

家庭環境が落ち着いていない

子供の生活基盤である家庭環境が落ち着いていない場合、子供は足場のない状態にあるため精神的に不安定になり受験勉強に集中できません。

家庭の中心を支えるのはご両親です。夫婦が支え合って家庭環境を形づくり、子供の精神安定材として生活の場を整える必要があります。しかし子供の成績が悪い場合、その原因を互いになすりつけ合って不仲になり、最悪、家庭が崩壊してしまうことがあります。

こうなると子供の将来を前向きに考えて始めた中学受験が、逆に不幸を招いてしまいます。不仲の原因となった子供は自分を責め、一生罪の意識を感じて生きていくことになるのです。

子供が落ち着いて勉強できる家庭環境を築くためには、ご両親が一緒に子供を支える方針をあらかじめ決めておくことが非常に重要です。子供が幸せであることこそがご両親の本当の願いであるはずです。では、子供が難関校や有名校に通うことが、子供にとっての幸せなのでしょうか。

受験勉強には山だけではなく谷もあります。子供の将来には可能性が無限にあることを常に心に留め置いて、過度な期待を寄せるのではなく、新たな可能性を模索する姿勢を保つといいでしょう。

家族や親族が中学受験に過干渉もしくは無関心

中学校受験は親の力が9割と言われます。そのため特に母親が「何がなんでも受験させる!」と子供を追い込んでしまう場合が多く見られ、近年「教育虐待」という言葉が聞かれるようになりました。

家族は子供にとって絶対的な味方で、精神のよりどころとなります。しかし、受験生に期待をかけすぎて、子供に過干渉になってしまうケースがあります。過干渉の具体例として次のような状態が挙げられます。

  1. 子どもの細かいところまで管理しないと気が済まない
  2. 完璧を求め、中途半端なやりかけを見逃さない
  3. 子どもの横について学習内容を教える
  4. 子どもより先にさまざまな目標を決める
  5. 返却された模試の成績表を分析し、不十分なところを指摘する

(引用元:中学受験を失敗させる!母親がやってはいけない5つのNG|AllAbout

また、反対に子供が受験勉強を頑張っているのに、無関心に過ごして学習環境を整えないケースも多く見られます。特に受験生に小さな弟妹がいる場合や大家族である場合は、受験生を塾に送出すだけしか手伝わないことがあります。

8~12歳の子供には、家族や親族の過干渉も無関心に対処する経験値も術もありません。そのため、子供は精神的に追い込まれて中学受験で失敗してしまうことがあります。

受験を迎える子供に家族や親族ができることは「関心を持って見守る」ことです。受験勉強がうまく進まずに焦って干渉してしまったり、受験に無関心でいる方が気分が楽と考えるのは、受験生の親ならば誰しもが経験することでしょう。そんな時に、親が精神力を強く持って、頑張る我が子を見守ることが大切です。

参考

精神の強い親がしない13のこと(2017.10.4)|Forbes JAPAN

子育てのあり方と倫理観、幸福感、所得形成 -日本における実証研究-|独立行政法人経済産業研究所、P23

体調管理を怠る

受験本番は、寒い冬の2月に行われます。乾燥した環境で免疫力も下がるため、ウイルス性の感染病が流行する時期でもあります。病気をするのは仕方ありません。しかし、仕方ないからといって対策を打たないのは間違いです。体調管理を怠り受験本番を迎えてしまうと、本領を発揮できずに不合格になってしまうことがあります。

そのため、外から帰宅した時や食事の前には手洗い・うがいを徹底しましょう。外出時のマスクは当然ですが、小さな弟妹がいる場合は家庭内でもマスクをすることをおすすめします。

入試直前期だからといって焦り、生活習慣が乱れるのも良くありません。次の正しい生活習慣をできるだけ実行しましょう。

【体調を整えるのに必要な正しい生活習慣】

食事
  • 主食と野菜をバランスよくしっかりと食べる。
  • 朝食を抜かない。
  • 間食は時間・量・内容を決めて食べる。
睡眠 生活サイクルを朝方にするため、早めの就寝を心がける。

(推奨睡眠時間)6~13歳:9~11時間

運動
  • 外遊びや運動・スポーツをする時間を増やす。
  • テレビやゲームなどの不活動な時間を減らす。

参考

少年期(6~15歳) 【ライフステージ別】|京都府

眠れていますか? 各年齢別のベストな「睡眠時間」がありました|HUFFPOST

身体活動・運動 (2)児童・生徒に対する対策|厚生労働省

受験生は一人で戦うのではありません。家族一丸となって、体調管理を心がけましょう。