高校の授業料が「無償化」は、何かとニュースで取り上げられているネタの1つです。そして、授業料が公立高校より高い私立高校でも保護者の年収状況で「無償」が適用になるケースもあります。この記事では、私立高校の授業料無償化に関する所得制限などの情報を紹介していきましょう。
もくじ
高校授業料無償化とは?
「高校授業料無償化」は、「高等学校等就学支援金」のことを指しています。年齢や国籍に関係なく、だれもが教育を均等に受けられ、かつ授業料の負担が減るよう、2010年に文部科学省が施行した制度です。2014年度より現在の正式名称「高等学校等就学支援金制度」として運用をしています。
加えて、この制度が施行されたことで、私立高校に通う生徒の学費滞納および経済的理由による中退件数も減少したという調査結果もあります。
制度の対象となる教育機関は、以下のとおりです。
- 高等学校(全日制、定時制、通信制)
- 中等教育学校の後期課程
- 特別支援学校の高等部
- 高等専門学校(=高専、1年から3年まで)
- 専修学校の高等課程
- 専修学校の一般課程(高等学校入学資格者を入所資格とする国家資格者の養成施設)
- 各種学校(※高等学校入学資格者を入所資格とする国家資格者の養成施設および告示で指定された外国人学校、日本の高校1年から3年に相当する学年が対象)
参考
高校無償化「高等学校等就学支援金制度」を知ろう [学費・教育費]| All About
高校授業料無償化ってなに? 知っておきたい教育費のこと|貯金美人になれるお金の習慣
私立高校生の学費滞納と経済的理由で中退した私立高校生の割合が過去最低|全国私立学校教職員組合連合
【2020年スタート】高等学校等就学支援金制度の特徴
2020年4月より、「高等学校等就学支援金制度」が改正されます。私立高校等に通う生徒の世帯の年収目安(※)・約590万未満の世帯には、私立高校の平均授業料を考慮した水準まで加算支給額の上限が引き上げられます。また、引き上げの対象は、2020年度より前に入学した生徒も含まれます。
参考
2020年4月からの「私立高等学校の授業料の実質無償化」リーフレット(令和元年5月)|文部科学省
※上記年収の目安やモデルは、夫婦のどちらかが働き、高校生1人、中学生1人の家族を想定しています。
高等学校等就学支援金制度の支給額
2020年の制度改正による「高等学校等就学支援金制度」の金額については、その年度の私立高校授業料の全国平均に相当します。そのため、年度によって支給額に違いがありますので、変動などのチェックは必須です。年度の支給額に関する明確な金額は、各私立高校の年間授業料が決定した後に平均の金額を算出するので、年度の支給額に関する明確な金額は、その年度の6月に提示されます。
なお、年収約590万~910万円未満の世帯に関しては、一部支払いとなり、軽減扱いとなります。公立高校の授業料分に相当する金額11万8,800円が支給されます。
参考
高校生等への修学支援リーフレット(令和元年8月)|文部科学省,P2
審査あり、高等学校等就学支援金制度の所得制限額
高等学校等就学支援金は、申請をすればだれもが支給されるわけではありません。支給には審査があり、保護者の年収などの条件を満たしている必要があります。また、共働き世帯に関しては、夫婦で合算した年収が審査の対象となります。
高等学校等就学支援金制度が適用される所得制限の計算式
現行制度の高等学校等就学支援金制度が適用される所得制限(※総支給額)の計算式は、以下のとおりです。
都道府県民税所得割額+区市町村民税所得割額
上記の計算式の合計が「50万7000円」となる目安の年収は、高等学校等就学支援金制度が適用されるギリギリの年収である「910万円未満」に相当します。なお、50万7000円は、全日制の高校における就学支援金の制限額です。ただし、定時制と通信制の就学支援金は、支給額に違いがあります。
また、2020年4月から施行する新制度で適用される場合、590万円以上から910万円未満の所得層に変更。従来は、「区市町村民税所得割額」で算出していましたが、「保護者等の課税所得」を基準に支給額を決定する流れとなります。
参考