学童期(小学校後半)の特徴と課題
小学校4~6年生は、生活の場や人間関係が広がることで個人差が見えやすくなり、勤勉性と劣等感をより獲得しやすくなる時期と言えます。
発達の個人差が見えやすい
まず、目に見えて体の変化による個人差が出てきます。女の子であれば、体が女性らしく発達していきます。また、男の子も少しずつ体ががっしりとしてくる時期です。生殖器も発達するため、体の変化に戸惑うこともあるでしょう。
また、スポーツではゴールデンエイジと言われる時期で、スポーツの技能が伸びやすい時期とも言われています。学校での学習では、算数や国語など積み重ねが重要な科目で学力の差が開き始めます。さらに、自分のことを客観的に捉えることができるようになるため、周りと自分を比べやすくなる時期です。
勤勉性vs劣等感
発達課題は、小学校1~3年生と同じく勤勉性と劣等感です。自分を客観的に捉えることができるようになればなるほど、周りと自分を比較しやすく、劣等感を抱きやすくなります。そうならないためには、周囲の大人や同学年集団からの承認や物事を自分の力で完成させる機会を得られることがポイントとなります。
学童期の子供と関わるときに意識したいこと
自分は有能かどうかを探っている学童期の子供に関わるとき、大人はどのようなことを意識すれば良いのでしょうか? 劣等感よりも自己肯定感を高めることが大切であり、自己肯定感を高めるには周りとの関係性が重要になります。
自己肯定感を高める
劣等感や無能感を植え付けてしまうと、これから先の人生を「自分にはできない」「自分はダメなやつ」と思いながら生きていくことになります。そうなると、将来に対する希望や夢もなくなり、日々の生活もどこか暗くなります。
そうならないためには、周りの大人が積極的に子供にチャンスを与えて承認することが大切です。当たり前にできることを賞賛されても、子供の自己肯定感は高まりません。ちょっと難しいことや、いままでできないと思い込んでいたことに出会わせて、それをやりきるためのサポートをしましょう。手取り足取りサポートしてしまうと、自分でできたと感じられないので、子供が自分の力でやり切ったと思えるように陰ながらサポートするのがコツです。
集団における役割の自覚と責任意識
学童期は、閉鎖的な仲間集団を作りやすい時期です。一方で、自分たちでルールを決めて、それを守ることができる時期でもあります。集団を作ったり、ルールを決めたりすることができる時期だからこそ、「役割」や「責任」の意識を育成する機会になります。
ドッジボールで遊ぶにしても、審判役にはどのような役割や責任があるのか? 自分は外野と内野でどんな役割を担えばいいのか? また、ほかのスポーツ、学習、友達関係という場面ではどんな役割を担えるのか? 責任をどう果たせばいいのか? を考える機会を持たせるようにしましょう。
実社会への興味や関心のきっかけ
インターネットが普及した現代では、実際の人や物、自然に触れる機会が少なくなっています。学童期は、自然への関心が高まる時期であり、間接的だけでなく本物に触れることが大切です。
スマートフォンやタブレットだけでなく、実際に自然を感じることや人と対面して話をすること、話を聞くことに関心を持てるような機会を作りましょう。
まとめ
学童期は、さまざまなスキルをスポンジのように吸収しやすい時期であり、発達に差が出やすいため劣等感が生まれやすい時期でもあります。だからこそ、自分の力でやりきる機会や、周りから承認されることが重要です。学童期になると自分でできることが増えますが、自分がやったことに対して応答してくれる他者は絶対に必要です。ぜひ、お子さんの発達のテンポに合ったサポートをしてあげてください。
参考
エリクソンの「発達段階」を知ろう。年齢別「発達課題」はクリアできてる?|こどもまなび☆ラボ