幼児後期の特徴と課題
3歳から5歳になるまでを幼児後期と区分します。この時期には幼稚園や保育園に通い、小学校に入学する前の段階と考えることができます。
積極的に動き回り「目的」を獲得する
幼稚園や保育園で活発に遊ぶ段階です。自分の周りにある世界に強い興味を持つようになり、「どうして○○なの?」という、疑問をする持つようになります。「どうして人は死ぬの?」「どうして赤ちゃんは生まれるの?」といった本質的な質問を受けて答えに窮した方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この時期には、動き回ることで行っていいことなのかどうかを学んでいきます。その結果として、世界に働きかけるときの「目的」を獲得していきます。
積極性vs罪悪感
発達の課題は、積極性と罪悪感です。自分が積極的に行った行為が厳しく叱られてばかりだと、罪悪感を持ちやすい子供になります。一方で、善悪の判断や公共の場でのふるまいなど、適度なしつけをしつつ積極性を伸ばすことができれば、積極的な子供になっていきます。
この積極性と罪悪感は、どちらも必要な心理です。そのため、100か0かではなく、バランスをとることが大切です。
幼児期の子供と関わるときに意識したいこと
幼児期は、自分以外の世界からどんどん学んでいく時期です。そのため、他者の存在は必要不可欠となります。また、この時期の子供は何もできないのではなく能動的な存在で、さまざまに行動することで当たり前をつくっていきます。そんな幼児期の子供に接するときに心がけたい3つのポイントをご紹介します。
能動的な存在であること
まずは、赤ちゃんは有能な存在であることを意識しましょう。富山短期大学幼児教育学科の石動瑞代先生は、下記のように述べています。
赤ちゃんは、回りからの影響をただ受け止めるだけではないのです。つまり「有能」なのです。
(引用元:乳幼児期の発達の特徴|富山県)
有能である理由として、赤ちゃんが人を引きつける存在であることや物を落としたり投げたりする詮索行動を行うことが挙げられています。赤ちゃんは、受動的な存在ではなく、試行錯誤しながら能動的に発達しているのです。そのため、すべて大人がお膳立てしてあげるのではなく、お子さんに機会を与えて能動性を信じることが大切です。
他者の存在が必要であること
当然ですが、子供の発達は一律ではありません。それぞれまったく違った存在です。だからこそ、子供が何かを発したとき、それに応答する他者が必要です。幼児期は、自分で歩き回れるようになり、言葉が増え、自分以外の世界にどんどん進出していきます。
このときに、受け止めてくれる相手や指標となってくれる相手がいなければ、意志や目的といった心理を獲得していくことができません。また、自律性や恥、積極性や罪悪感もアンバランスなものになってしまいます。
当たり前のことが当たり前でないこと
幼児前期の子供にとって、大人の当たり前はまだありません。幼児後期から学童期にかけて当たり前が少しずつ形成されていきます。幼児期の子供に当たり前を押しつけてしまうと、実感のないまま強制されるから従っているという状態になりかねません。
そのような状況では自律性や積極性は発達していきません。大前提として、当たり前を一緒に考えるというスタンスで臨むのがポイントです!
まとめ
発達段階の幼児期は、前期と後期に分かれており、自律性や恥、積極性や罪悪感が育っていく時期です。また、意志や目的を獲得することは、学童期以降に勉強するときや大人になって仕事をするときにも重要と言えるでしょう。ぜひ、幼児期のお子さんの特徴と課題を理解した上で、お子さんに適した接し方を意識してみてください。
参考
4 乳幼児の発達の概要 |お茶の水女子大学子ども発達教育研究センター
参考資料2 各発達段階における子どもの成育をめぐる課題等について(参考メモ)[改訂]|文部科学省
エリクソンの「発達段階」を知ろう。年齢別「発達課題」はクリアできてる?|こどもまなび☆ラボ