なぜやる気がないの?子供に行動力がない原因を知り克服しよう - cocoiro(ココイロ)

やればできるはずなのに、やる気がない……と、お子さんの行動力のなさを嘆く親御さんは多いのではないでしょうか。当記事では、子供がやる気を出せない原因をご説明します。そして、親御さんがお子さんのやる気を引き起こし、行動力を高める方法を原因別にご紹介します。

行動力がない子供に見られる7つの意欲欠如原因

行動力がないということは、すなわち物事に意欲的に取り組めないということです。意欲とは簡単に言えば「やる気」です。ではなぜ、やる気がないのでしょうか。子供がやる気を失ってしまう原因を、文部科学省が警鐘を鳴らした「青少年の意欲をめぐる現状と課題」から探っていきましょう。

原因1:基礎体力の低下や不足

基礎的な体力が十分に培われていないため,意欲を持てなかったり思考や行動に集中できなかったりして,持続力もない状態

(引用元:第2章 青少年の意欲をめぐる現状と課題|文部科学省

子供の体力が低下していることについて、文部科学省は次のような背景があると見解を述べています。

  • 保護者をはじめとした国民の意識の中で、子どもの外遊びやスポーツの重要性を軽視するなどにより、子どもに積極的に体を動かすことをさせなくなった。
  • 子どもを取り巻く環境については、
    • 生活が便利になるなど子どもの生活全体が、日常的に体を動かすことが減少する方向に変化した。
    • スポーツや外遊びに不可欠な要素である時間、空間、仲間が減少した。
    • 発達段階に応じた指導ができる指導者が少ない。
    • 学校の教員については、教員の経験不足や専任教員が少ないなどにより、楽しく運動できるような指導の工夫が不十分との指摘がある。
  • 偏った食事や睡眠不足など子どもの生活習慣の乱れが見られる。

(引用元:3 子どもの体力の低下の原因|文部科学省

上記を簡単にまとめると、子供達の基礎体力が低下・不足してしまった原因は次の3つです。

  1. 人々の意識が外遊びやスポーツを通じて心身を鍛えることよりも、学力向上を重視するようになったこと。
  2. 子供達が運動する環境や、運動指導者が減少したこと。
  3. 食生活の乱れや生活サイクルの夜型化。

つまり、保護者の子供の健康管理に関する意識の変化が、子供の体力低下・不足をもたらしてしまったと考えています。

原因2:将来に希望や価値を見いだせない

将来に向けて学習したり努力したりすることに希望や価値を見いだせないため,学習や努力に対する意欲を持てない状態

(引用元:第2章 青少年の意欲をめぐる現状と課題|文部科学省

誰しも学生時代になぜ勉強するのかという疑問を持つものですが、近年の子供たちは答えを得られなかったり、得る術がないために将来への希望や価値を見いだせないでいます。これは両親が共働きで忙しいことや、核家族化、また地域社会と疎遠になっていることなどから、子供が多くの大人の意見を聞く機会が減っていることが原因の一つと考えられます。

原因3:社会規範にない意欲や行動が評価されない

意欲や行動が社会のルールやマナーを逸脱しているため,その意欲や行動が評価されない状態

(引用元:第2章 青少年の意欲をめぐる現状と課題|文部科学省

自ら正しいと信じて行動して、社会ルールやマナーを守っていないと周囲から非難されると、次第に自信を失ってしまい、最終的に失敗を恐れて自分から行動しなくなってしまいます。

この原因として考えられるのは、子育て家庭を取り巻く環境や家族形態が変化し孤立化し、従来は親族や近隣の人々から得られていた知恵や支援を子供が得にくくなったことです。子供は一緒に過ごす大人からルールやマナーを学ぶものです。しかし接する大人の数が限定的である場合、偏ったルールやマナーしか身につけることができなくなってしまうため、社会一般では通用しないケースが出てくるのです。

原因4:周囲と協調しないため評価されない

意欲の対象が自己完結しているなど,他者とのかかわりや社会とのかかわりの中で達しようとする目標を持てないため,その意欲や行動が評価されない状態

(引用元:第2章 青少年の意欲をめぐる現状と課題|文部科学省

協調性とは集団の和を乱さないこと、そして周囲の人と協力して問題解決ができることをいいます。

協調性がないと、自分勝手でわがままだとマイナス評価されやすくなってしまいます。また、周囲の助言に耳を傾ける気がないため成長の機会を失います。さらに、他人を尊重しない態度は、他人からも尊重されないことにつながり、万が一自分が苦境に立った時には周囲からの助けを得られません。

このような状態が続くと、子供は次第に心を閉ざして社会的に孤立してしまいます。他人と係わる意欲がないため、グループで協力して問題解決しようと思わなくなってしまいます。

このような子供の心理状態は、親御さんが周囲との係わりを極力避けて子育てをすることが原因の一つになっていると考えられています。「子供は親の背中を見て育つ」といいますが、親が周囲に関心がない場合は、子供も周囲との係わりに重要性を見いだせずに育ちます。そのため自分さえ良ければ良いという意識が育ってしまうため、子供が協調性の大切さを知ることができなくなってしまうのです。

原因5:行動起こす前に諦める

意欲を持っているが,行動することへの負担感が大きいなどの理由により,意欲を実現するための行動に移せず,行動する前にあきらめている状態

(引用元:第2章 青少年の意欲をめぐる現状と課題|文部科学省

やる気はあるものの、目標までの道のりがどのくらいなのか、見通しが立てられずに憂鬱になり、行動を起こす前に諦めてしまう子供がいます。このような子供は完璧な結果を追い求める傾向にありますが、結果を得るための努力は好みません。

このような子供の場合、小さな頃から結果重視の褒め方をされて育った可能性があります。そのため、「努力はしたものの結果が得られなければ評価してもらえない」という苦い経験から、「結果を得られるかわからない努力はしたくない」と考えるようになることがあるようです。

原因6:適切な方法が分からない

意欲を持っており行動しようとする,あるいは既に行動し始めているが,適切な手段・方法が分からずに迷っている状態

(引用元:第2章 青少年の意欲をめぐる現状と課題|文部科学省

やる気はあっても、目標を達成するためにどうしたらよいのか分からない子供がいます。

子供は人生経験が短く、心身面でも未発達であるため、目標を達成するための手段や方法のレパートリーが多くありません。そのため何をすれば目標を達成できるのかが分からずに迷い、行動を起こせない場合があります。

原因7:失敗のショックから立ち直れない

意欲を持っており既に行動したが,失敗したこと等による徒労感,絶望感から抜け出せず,改めて挑戦する意欲を持って行動できない状態

(引用元:第2章 青少年の意欲をめぐる現状と課題|文部科学省

やる気があり目標達成のための行動を起こした結果、失敗してしまい、その失敗のショックから立ち直れずに再挑戦することにためらう子供がいます。