子供の語彙力を鍛える方法!日常的な取組や勉強を活用する方法を紹介 - cocoiro(ココイロ) - Page 2

学校の勉強をしながら語彙力を鍛える方法は?

ここまで日常生活での語彙を考えてきました。一方、「話す・聞く」能力と「読む・書く」能力は似ているようで異なっているという意見もあります。学校の勉強は「読む・書く」能力を伸ばすのに向いています。どのように取り組んでいくか考えてみましょう。

作文を活用!一文をできるだけ短く書こう

鳥取大学附属中学校からは、すらすら話せるのにノートを取れない、文字を書くのが苦手という生徒の例が報告されています。

現代の教育では話し合い、口頭で発表する能力が重視されています。これらも大切なことですが、読み書きの能力をつけるには実際に読んで書く必要があります。

茨城大学では作文を題材にして生徒の語彙を調査しました。「わたしたちの平和」というテーマで中学生に作文を書かせた後、接続詞に関する授業を行いました。その後生徒自身に推敲をさせた結果、以下のような改善点が見られました。

  • 一文の長さが短くなった
  • 漢語が増えた
  • 接続詞が増えた

「〜で、〜なので、〜して」などと文を区切らずに続ける表現は口語的です。これを作文にするなら「〜です。それは〜だからです。そのため〜をして」などと短い文章に置き換えた方が理解しやすくなります。そのために大切な働きをするのが接続詞です。

また、漢語も日常会話ではあまり使われません。「わたしたちの平和」という抽象度の高いテーマを扱うために推敲をした結果、より適切な語彙として漢語の使用頻度が増えていったのでしょう。作文の完成度を上げるという目的を達成して、結果的に語彙も蓄えられていったと考えられます。

参考

語彙力につながる漢字の学習 | 鳥取大学研究成果リポジトリ

作文語彙と学習成績との関連性からわかる語彙力の諸相 | 茨城大学機関リポジトリ

同じ表現が重複するのを避けよう

子供の読書感想文を読んでいて「○○と思いました。主人公は××したので、私はそれが△△だと思いました」というように、同じ表現が近い場所で重複していると気づいたことはないでしょうか。これは日本語の使い方として間違っているわけではありませんが、通して読むと単調で幼い印象を与えてしまいます。

「思いました」というのは「考えました」などと、別の動詞に置き換えることができます。また、「不思議でした」「普通はなかなかできないことです」など、より主観的な評価に置き換えることもできます。語彙が豊富な子供なら「驚嘆しました」「唖然としました」などといった表現を使うこともできるかもしれません。

作文を書いていて同じ表現が重複してしまったら「これは他の言葉で言い換えることができるか?」と検討する癖をつけさせるといいでしょう。知らない表現は使えませんので、手元に類語辞典などを備えておくことをおすすめします。

漢字が使えると語彙力が増える

先ほどの鳥取大学附属中学校では、生徒がノートを取れないこと、文字を書かせると表現が幼かったり、ひらがなが多かったりすることに着目しました。漢字が使えないことが読み書きの語彙に影響しているのではという仮説の下に、漢字の成り立ちや部首・つくりの意味を考え直す授業を展開しました。

この結果、漢字に興味が出た、書けるようになった、言葉の意味が分かるようになった、という生徒が増加しました。やみくもに漢字を覚えるだけではやる気になれないかもしれませんが、歴史的背景や使い方まで含めて学ぶと身につきやすいようです。

参考

語彙力につながる漢字の学習 | 鳥取大学研究成果リポジトリ

やっぱり読書が一番。本嫌いの子でもできる取り組み

語彙力に関する論文などでしばしば言及されるのは「読書の習慣が語彙力を養う」ということです。このことには経験上気づいていたという人も多いでしょうが、興味を持たない子供に本を読ませるのも難しいものです。本嫌いの子供でもできる取り組みとは何でしょうか。

漫画OK!ただしジャンルは幅広く

漫画は読書に含まれないと考えている人は少なくありません。しかし、漫画も種類によっては豊富な語彙が含まれています。歴史や伝説に題材を取ったもの、綿密に取材したものは日常的に使われない固有名詞や概念がたくさん出現します。

この中でも歴史物は社会科の勉強としても使えますし、一石二鳥です。子供が思いついたときに手に取れるよう、購入してみてはいかがでしょうか。

子供用でも新聞・ニュースを読もう

同じ社会科でも政治・経済分野を押さえるなら新聞やニュースがおすすめです。単に勉強として概念を暗記するだけでなく、それが実際のニュースでどのように扱われるのかを知ることができます。

紙の新聞を購読していない家庭でも、子供向けの新聞だけ購入してみるという方法もあります。長期休暇中であれば自由研究などの題材にもなるかもしれません。ぜひ挑戦してみてください。

まとめ

子供の語彙力を鍛えるための取り組みを、日常生活と勉強の側面から考えてみました。共通して言えるのは、出会ったことのない語彙は、出会わない限りは使いこなせるようにならないということです。大人からの働きかけは常に意識しつつ、子供に多くの経験をさせて語彙を蓄えることができるようにしてあげてください。

参考

【脱ボキャ貧】語彙力を鍛えて自分の気持ちを上手に伝えるコツ | NAVER まとめ

この記事をかいた人

akahoshitomoka

piggiesagogoクロシェター・ライター。 オリジナルの編み物作品の作り方を販売しながらライターもしています。守備範囲はハンドメイドから不動産まで。三浦半島が好きです。