中1からつまずいてしまうのはどうして?
小学生の間は英語に楽しく取り組んでいたのに、中学に入ったら苦手意識が出てしまった……。こういう子供も少なくありません。どうして中1で英語につまずいてしまうのでしょうか。
文法が難しい
英語の文法が難しいというのが最初に挙げられる理由でしょう。日本語からかけ離れている言語であるため、そもそも慣れるまでに時間がかかるのです。
また、アルファベットを用いる言語の中でも英語は不規則な文法が多いと言われています。そのため規則を覚えるだけでは役に立たず、例外的な用い方も地道に暗記していかなくてはなりません。とにかく時間をかけないと習得が難しい言語と言えます。
参考
英語が書けない
小学校では、英語を「見て」「聞いて」「話す」授業が主に展開されています。しかし中学生になったとたんに「読んで」「書く」授業へと転換します。このギャップに戸惑う子供も少なくありません。
中1の最初の時期は、アルファベットを覚えることにそれなりに時間をかけます。しかし授業で取り組める時間には限りがあります。授業時間内で覚えられなかった子供は、そもそも文字がよく分からないままに英語を学んでいかなくてはなりません。
「最初の中間テストからあまり点数が良くなかった」という子供は、そもそも自分で英語を書くことに不安を覚えているかもしれません。
英語が聞き取れない
リスニングの授業も本格的に始まります。自治体によっては各学校に英語指導を補佐するALT、AETを配属しているところもあり、よりネイティブな英語を学ぶ機会が増えます。
物覚えが早く、英語を読むのも得意な子供は英語を聞くのにもそこまで苦労しないかもしれません。よく聞き取れない部分があっても、手元のテキストと照らし合わせて理解することができるからです。
一方、ゆっくり英語を読む子供はリスニングにも苦労するでしょう。聞き取りは個人差がとても大きいので、学校の授業でカバーできない部分は何らかの対策を講じる必要があります。
単語が覚えられない
英語は文法が不規則だと解説しましたが、実は単語の読みも非常に不規則で例外が多い言語です。例えばフランス語はスペルから発音を、発音からスペルをかなり高い確率で推測することができますが、英語ではそれが難しくなります。
「bought(buyの過去形)」や「boat(船のボート)」の発音に苦しんだ人は少なくないでしょう。つまり、初歩の英語は結局単語を少しずつ覚えていくしかないのです。これは時間だけでなく本人の意欲も必要です。単語を覚えられないと文を作ることができませんので、先に学習を進めることも難しくなってしまうのです。
参考
“bought”と”boat” どっちも「ボート!?」何が違うの?(#026)|【英語の発音】勉強のコツ
それぞれの理解度に合わせた勉強法と参考書
中1は中学校の1年目。最初からおさらいする決心がまだできるタイミングです。後になって困らないように、今のうちに苦手をつぶしておきましょう。基礎をしっかりしてから先に進むことをおすすめします。
はじめの一歩:アルファベットを覚えよう
中1最初の定期テストでは、ほとんどの場合アルファベットを書く問題が出題されます。ここで全問正解できなかった、間違いが多かったという子供は、もう一度アルファベットから見直しをしてみましょう。
「家庭教師のトライ」が運営するサイト「Try IT」では、アルファベットの初歩からおさらいできる動画が公開されています。参考書だと集中力を失いやすい子供におすすめです。
また、遊び感覚でアルファベット問題に挑戦できるウェブサイトもあります。アルファベットができない子供は英語に相当の苦手意識を持っていることが予想されます。あまり気負わず、間違っても大丈夫という気持ちで始めましょう。まずは英語に親しむことが大切です。
参考
「アルファベット」の勉強法のわからないを5分で解決 | 映像授業のTry IT (トライイット)
アルファベット | 動画とデジタル問題集で学べる ICT教材eboard(イーボード)
初級:英語につまずきつつある子供向け参考書
最初から手軽に復習するのにはこちらの参考書がおすすめです。
見開き一枚で一つの項目を復習し、練習問題に取り組める構成になっています。1日1項目でも数分から30分程度で終わらせることができ、空いた時間などに取り組める内容になっています。子供のころに英語が苦手だった大人からの評価も高い書籍です。
本の内容に即した動画も公開されていますので、併せて視聴するといいでしょう。
参考
中級:英語に慣れつつある子供は音読しよう
ここまで特に大きくつまずいてこなかったという子供は、中2以降で増えてくるさまざまな文法に備え、英語を日本語ではなく、英語そのもので理解する力をつけておきましょう。
日本人の英語の発音はあまり良くないと言われます。読み書きメインで、あまり音読をしていない子供もいるでしょう。
音読は目で読み、口で読み、それをまた自分の耳で聞く作業です。英語を読むのは、ただ漫然と目で英文を追っているよりも学習効果が期待できます。英語のリズム感や「こういうときにはこの表現を使うのか」といった感覚・センスも養われます。時間があればぜひ音読に取り組んでみてください。
音読の本は大人向けのものが多いですが、初歩的な英語だけを使ったものなら中1でも取り組むことができます。部分的に知らない単語や表現が出てくるでしょうが、まずは分からなくても読んでみることをおすすめします。
上級:英語を使いこなす力をつけたい子供向け参考書
「読む」「書く」「聞く」「話す」の4技能がバランス良く上達している子供は上級者と言えます。より英語を使いこなすためには、まずは語彙を増やすことをおすすめします。
ロングセラー『キクタン』は、リズムに合わせて朗読される英単語・英文を聞いているうちにどんどん単語力がついていくとされる書籍です。簡単な文章を覚えることができるので、「この単語はどういったときに使われるのか」ということが自然に理解できます。
また、毎日英語に少しずつなじんでいくことは、どのレベルの子供でも大切です。NHKラジオの長寿番組「基礎英語」なども利用してみましょう。親世代では早起きしないと聞けない番組でしたが、現代では「らじる★らじる」などのストリーミングサービスで時間を問わず聞くことができます。子供が興味を持つようであれば、テキストも購入してみましょう。
参考
まとめ
現代では小学校から取り組んでいるとはいえ、中学入学とともに学習内容に大幅な違いが出てくるのが英語です。部活が始まり、授業時間が延び、中学1年は心身ともに試される時期を迎えます。成績が伸び悩むこともあるでしょうが、子供のペースでじっくりと学んでいけるようサポートしてあげてください。
参考
【英語】NEW HORIZON 平成28年度用 中学校教科書のご紹介 | 東京書籍
中学校入学前の英語学習-上智大学教授 吉田研作:第1回 中学校英語に関する基本調査報告書【教員調査・生徒調査】 | ベネッセ教育総合研究所
第1回 中学校英語に関する基本調査報告書【教員調査・生徒調査】 [2009年] │ベネッセ教育総合研究所