部活などの課外活動に熱心に取り組んでいる中学生を育てる親御さんは、子供の成長にまぶしい思いをしているのではないでしょうか。しかし、小学生のときに比べると成績が芳しくないのでは、と不安に思う親もいるかもしれません。特に中学校から本格的な学習が始まる英語は、最初からつまずいてしまう子供も少なくありません。中1では英語で、どのようなことを勉強するの? どこでつまずくの? 対策は? といった親の疑問にお答えします。
中1 英語の主な単元は?
まずは中1英語の学習内容について、大人も復習してみましょう。子供がどこでつまずいてしまうか、理解が深まるかもしれません。
be動詞
「学校で最初に習う英文ではあるが、実際の英会話で絶対に使わないものに”This is a pen. ”がある」という冗談があります。初歩的な英文ですが、この中に使われているのがbe動詞です。
原形:be | 一人称 | 二人称 | 三人称 |
単数 | am | are | is |
複数 | are | are | are |
be動詞は上記のように活用します。単数・複数や人称といった概念は日本語にはほとんどないため、最初は混乱する子供も少なくないようです。
一般動詞
中1の英語はひたすら単語を覚えることを繰り返していると言っても過言ではありません。小学校で親しんできた単語もありますが、書いて読むのはほとんど初めてという子供も多いのです。
初歩の英語は「I speak Japanese.」「You play tennis.」というように、「〜は○○します」のように動作を表現する文章をたくさん習います。ですから、まずは単語を覚えることが重要です。
疑問文・否定文
「This is a pen.」の疑問形は「Is this a pen?」です。このように「名詞と動詞がひっくり返る」という文法に慣れる必要があります。このような規則的な変化はまずは覚えてしまうことが大切です。ただ「ひっくり返る」とだけ考えていると、「Is this pen?」のような、非常に惜しい間違いをしてしまうこともあります。
否定文も同様です。「This is not a pen.」のように、be動詞もしくは動詞の後に「not」を入れることを覚えます。これが疑問文になると「Is this not a pen ?」になりますから、混乱せずに語順をしっかり頭に入れていく必要があります。否定文は「isn’t」「aren’t」のように略すことも覚えていきます。
疑問詞
いわゆる5W1Hのことです。「What, When, Where, Who, Whose, How」を1年の間に一通り習います。疑問詞は疑問文の文頭に来ますが、実際は目的語の役割を果たします。「What is this?」を肯定文にそのまま直すと「This is what」になります。この役割をきちんと理解できているかが、複雑な疑問文を正確に作れるかを左右します。
命令文
「Go to bed.」のように、動詞の原形を文頭に置いた文章が命令文です。肯定文であれば「You go to bed.」です。主語を省いた上で動詞を原形にするのがポイント。もう少していねいな命令文として「Please」を用いるものなども習います。
三単現のs
三人称単数に添える動詞には「s」もしくは「es」がつきます。また一部には不規則に変化するものもあります。
単語例(原形) | 一人称 | 二人称 | 三人称 | |
規則変化 | play | play | play | plays |
不規則変化 | have | have | have | has |
三単現のsで大切なことは2つあります。一つは「sを忘れない」という単純なことです。もうひとつは「三人称を正確に理解する」ということです。
中には「一人」「二人」「三人」という言葉の響きにつられ、人称の概念を上手に理解できていない子供がいます。三人称はある物事に三人が関与しているわけではなく、「私」「あなた」よりも立場が遠い人だ、ということを覚えなくてはいけないわけです。
現在進行形
- He plays tennis.(彼はテニスをします)
- He is playing tennis.(彼はテニスをしています)
特に苦もなく現在形と現在進行形の違いを理解できる子供もいますが、ここでつまずいてしまう子供も一定数います。「現在形」という名称から、現在進行形を使うべき状態であっても、現在形で表現できると考えてしまうからです。
現在形は「現在における事実」を説明する時制であり、現在進行形は「ちょうど今何が起こっているか」を説明する時制です。この違いを理解できるかがポイントです。
can
英語にはたくさんの助動詞がありますが、中学1年ではまずcanを習います。動詞の前に添え、動詞を原形にするという規則を忘れなければそこまで難しくありません。まれに勘違いで「cans」のように三単現のsをつけてしまう子供がいるので、そこだけ注意しておきましょう。
過去(一般動詞)
1年で習う動詞の過去形はほとんどは規則的に変化しますが、一部は不規則に変化します。まずはきちんと覚えることが大切です。
名詞の複数形
原形 | 単数 | 複数 |
dog | dog | dogs |
cat | cat | cats |
bird | bird | birds |
fish | fish | fish |
一般家庭のペットとしてなじみ深い生き物を単数と複数で表現してみました。「fish」を見ると分かるように、ごくまれに不規則な変化をする複数形があります。「sheep」も有名でしょう。
「魚はたくさんいて数えきれないから」「羊は数えている間に眠ってしまうから」などと説明されますが、子供には難しいかもしれません。まずは覚えてしまう方が早いでしょう。
代名詞
最初は「私」は「I」、「あなた」は「You」など、それぞれ個別の意味を覚えてきた代名詞をまとめるとこのようになります。この表以外にも「This」など、代名詞は多くあります。
主格 | 所有格 | 目的格 | ||
一人称 | 単数 | I | My | Me |
複数 | We | Our | Us | |
二人称 | 単数 | You | Your | You |
複数 | You | Your | You | |
三人称 | 単数 | He / She | His / Her | Him / Her |
複数 | They | Their | Them |
駿台中学生テストから見る理想の英語学習ペース
振り返ってみると非常に初歩的ではありますが、意外と覚えることが多い中1の英語。まずは覚えてしまえれば2年生以降が楽になるのですが、覚えるのには根気と時間が必要です。
「学校の進度はゆっくりなのでは?」「うちの子は学校の勉強についていけていないかも」と悩む保護者もいるでしょう。駿台中学生テストの範囲を見て、いつまでに何を学習していると良いペースであるのか、確かめてみましょう。
6月 | ● This is~.That is~.
● 主語が単数のbe動詞(is、am、are) ● be動詞の 否定文、 疑問文と答え方 ● 疑問詞(WhoとWhat) ● 形容詞(二つの使い方) ● 一般動詞の文( have、like、 playなど) ● 副詞(very) ● 単数形の所有格 |
8月 | ● 総合復習問題
● 複数表現(1)-規則変化 ● 所有格 ● 一般動詞の否定文・疑問文(主語が三人称単数の文を含む) ● 疑問詞(Whose、 How many) |
11月 | ● 総合復習問題
● 複数表現(2)-名詞の不規則変化を含む(man-men、child-childrenなど) ● some、any ● 頻度を表す副詞(always、usually、often、sometimes、never) ● 代名詞の目的格、所有代名詞 ● 時・場所を表す言い方(WhenとWhere) |
1月 | ● 総合復習問題
● 命令文(一般動詞、be動詞、Please~. Let’s~. Don’t~.も含む) ● 助動詞のcan ● 時刻、日付、季節などの言い方 ● 現在進行形 |
(出題範囲表|駿台中学生テスト より筆者作成)
品詞や文法規則ごとにご紹介した中1の単元を紹介しましたが、実際に見ると学習する時期はばらばらになっているのが分かります。また詳しくは紹介しなかった形容詞・副詞なども、「文法的な使い方が分かっているかどうか」「意味を覚えているか」などが問われる内容になっています。