子供の自己肯定感はどうして必要?育てるために保護者ができることは - cocoiro(ココイロ)

「子供の自己肯定感を育てましょう」と言われたことはないでしょうか。そう言われても自己肯定感って何? どうやって育てればいいの? と疑問に思うかもしれません。自己肯定感は子供に対してどのように働き、どうやって醸成されるのでしょうか。言葉の定義と育て方実例をご紹介します。

自己肯定感とは

まずは自己肯定感の意味を解説します。自己肯定感は「自尊感情」「セルフ・エスティーム」と言い換えられることもありますが、これらは厳密に同じ意味と言えるのでしょうか。

「大丈夫」と自分を信じられること

子どもの自己肯定感を支えるのは、無条件で自分の存在を受け入れてくれる「安全基地」の存在です。その「安全基地」を堅牢なものにしておくためには、子どもが何かを達成したとき、結果そのものではなく、子ども自身がどのように努力したのか、ということを評価することが重要になります。

(引用元:「自己肯定感の低い子」に親ができる1つのこと|学校・受験|東洋経済オンライン

自己肯定感とは文字通り自分を肯定する感情です。これが条件付きでないことが重要です。つまり「自分は成績がいい『から大丈夫』」「自分はおしゃれ『だから大丈夫』」ではなく、「自分がどんな人間であっても、弱点や欠点がたくさんあっても大丈夫」と思えることが自己肯定感を育てます。

保護者だけでなく学校でも習い事でも、子供は「何を達成できたか」という物差しで測られることに慣れています。しかし自己肯定感に大切なのは「自分がどう自分であるか」なのです。

自尊感情とセルフ・エスティーム

自己肯定感は「自尊感情」や「セルフ・エスティーム(Self Esteem)」と言い換えられることもあります。これらの意味合いはどのように異なるのでしょうか。

日本で「自尊」がよく使われるのは「自尊心」という単語の中でしょう。これは自分を尊重するという態度のことを表しますが、「自尊心が高過ぎる」などというふうに使われることもあります。この場合は「プライド」とほとんど同じ意味で使われていると考えられます。「自己肯定感」よりややネガティブな意味合いが含まれることもあるといえそうです。

一方の「セルフ・エスティーム」はどうでしょうか。

セルフ・エスティームという概念は、「自信を持ち、ゆったり構えること」や「自分に満足する」という、いわゆるポジティブな思考を指すだけでなく、ネガティブな側面も包括した概念に近いと思われます。セルフ・エスティームという単語は、プラスの価値とマイナスの価値を中立的かつ客観的に表す単語、ということもできます。

(引用元:自己肯定感「低い子供」が減らない日本の危うさ|子育て|東洋経済オンライン

Esteemという英単語は単体では「~とみなす」「~と考える」「尊敬する」などという意味です。「セルフ・エスティーム」は「自分を自分としてまるごと捉える」というニュアンスがある言葉だと考えると良いでしょう。

参考

英語「esteem」の意味・使い方・読み方 | Weblio英和辞書

どうして自己肯定感が必要なの?

現代の親世代には、子供の頃に「謙虚になりなさい」「調子に乗るな」と大人から言われて育った人も少なくありません。これらの考え方は一見自己肯定感とは相いれないように思えます。どうして子供の成長には自己肯定感が必要なのでしょうか。

困難を乗り越えるための力になる

大人の場合に置き換えて考えてみましょう。仕事で新しい取引先に打ち合わせに行くとします。先方は気難しいと評判の担当者です。「これが失敗したら上司から叱責されて面目を失うのではないか」と考えると、どんどん不安にならないでしょうか。しかし、上司から「だめで元々だからとりあえず行ってきてね!」と言われれば、「やれるだけやってだめだったらしょうがない」と思えてきます。

この「うまくいっても失敗しても自分がやるべきことをやるだけだ」という気持ちを持てることは、生きていく上でとても重要です。自分自身の価値は成功や失敗にあるのではない、だめだったらまた頑張ればいいという困難を乗り越える原動力になるからです。どうあっても自分を自分として認める力こそ自己肯定感です。

違いに対して寛容になれる

自分に対して否定的な人は、他人に対しても否定的になりやすいと言われています。「こうでなくてはいけない」という規範に縛られているため、ちょっとした違いを許すことができないのです。

現代社会はますます多様化しています。否定的で排他的でいるより、多角的な視点を持ち寛容な方が生きやすく、チャンスを得やすくなるでしょう。子供を心の広い人物に育てるためにも自己肯定感は大切です。

人間関係を構築しやすくなる

同じような理由で人間関係も構築しやすくなります。自分と他人は違う人間だということを理解していても、自分と同じような行動規範を求めてしまうことはないでしょうか。違いを認められないと、自分と他人との違いにイライラしてしまうこともあります。考え方に違いがあると自分自身が否定されたように感じてしまう人もいます。

しかし、「私はこう考えるけど、あなたの意見は違うんだね」と考えられればイライラはなくなります。違いを認めることは、その違いを持っている他人を認めることであり、自分自身を認めることでもあるのです。