徹底解説!本当は怖いビタミンB1欠乏症の原因とB1を多く含む食品 - cocoiro(ココイロ)

果物や野菜についてビタミンが豊富であるといわれれば、漠然と「健康に良さそう」という印象を持つものではないでしょうか。

しかし、具体的にどのビタミンがどのような働きをしているのか詳しく知らない人も多いことでしょう。今回は数あるビタミンのなかでも、ビタミンB1にフォーカスし、その働きや欠乏したときにどのよな問題があるのかなどをご紹介します。

ビタミンB1の働き

江崎グリコの運営する栄養成分ナビゲーターによると、ビタミンB1には以下のような働きがあるそうです。

ビタミンB1は、糖質からのエネルギー産生と、皮膚や粘膜の健康維持を助ける働きをします。また糖質を栄養源として使っている脳神経系の正常な働きにも関係しています。

(引用元:ビタミンB1|グリコ

つまり、健康を維持するためには重要な栄養素であるといえるでしょう。

ビタミンB1が不足したときの症状

一般的にビタミンB1が不足すると、糖質からエネルギーを上手く生み出すことができなくなるため、倦怠感や食欲不振といった症状が現れ始めるそうです。これは、いわゆる、夏バテといった症状に近いでしょう。

また、さらにビタミンB1が著しく不足すると、脚気やウェルニッケ・コルサコフ症候群といった病気を発症する可能性もあります。

ビタミンB1欠乏症によって引き起こる病気

脚気

かつて、日本の国民病とも言われた脚気もビタミンB1の不足によって引き起こされます。脚気になると、ビタミンB1の不足による倦怠感や食欲不振だけではなく、神経や心臓にまで影響を与え始める可能性があります。

神経への影響

脚気を発症すると、神経に影響が及び、末端神経障害が引き起こされます。また、進行すると、感覚障害や筋力の低下といった症状が現れる場合があります。

具体的には、以下のような症状が現れます。

  • 手足に力が入りにくい
  • 手足の感覚が感じにくい
  • 焼けるような痛みを感じる
  • 言葉を発しにくい
  • 意識が変容する

(引用元:脚気|メディカルノート

心臓への影響

心臓への影響として、心拍数が増加したり、動悸がおこったりすることがあります。また、足が浮腫むといった症状が現れることもあるそうです。この心臓への影響が進行すると、心不全の発症につながる可能性もあり、危険であるといえるでしょう。

ウェルニッケ・コルサコフ症候群

ウェルニッケ脳症は脳に関わる病気であり、コルサコフ症候群はウェルニッケ脳症の後遺症として発症します。この2つを合わせて、ウェルニッケ・コルサコフ症候群と呼ぶそうです。ここではそれぞれの症状をご紹介しましょう。

ウェルニッケ脳症

ウェルニッケ脳症は意識障害や眼球運動障害、小脳失調といった症状を特徴とする病気で、そのまま放置すると死に至る危険な病気です。それぞれの症状を少し詳しくご説明していきます。

意識障害では、軽度な場合もありますが昏睡状態に陥ることもあり、その程度はさまざまです。眼球運動障害では眼球が動かなくなることが多いそうですが、細かい目の震えとなって症状が現れる場合もあります。小脳失調は小脳の働きが衰えるために、体がふらついたり、手足を上手く動かせなくなってしまったりします。

このようなウェルニッケ脳症の症状が現れた場合は、すぐに病院で適切な処置を行う必要があるでしょう。

コルサコフ症候群

厚生労働省によると、ウェルニッケ脳症はうまく命が助かったとしても80%の確率でコルサコフ症候群と呼ばれる後遺症に悩まされることになるそうです。

コルサコフ症候群は記憶力が著しく低下することで知られており、病気になる前のことを思い出せない、新しいことを記憶できないといった症状が現れます。

また、基本的には理解力などは低下しませんが、症状がひどい場合、理解力も低下して認知症と診断されてしまうこともあるそうです。

参考

ウェルニッケ・コルサコフ症候群|e-ヘルスネット情報提供

治療方法

脚気にしても、ウェルニッケ・コルサコフ症候群にしても、原因はビタミンB1の不足です。そのため、医療法人育成会 篠塚病院によると治療はビタミンB1の補充を行うそうです。ビタミンB1の補充で治療できるものの、後遺症などで長い期間苦しむ可能性もあります。

すでにご説明したように、ウェルニッケ脳症は高い確率でコルサコフ症候群と呼ばれる後遺症に悩まされる可能性があります。また篠塚病院によると、脚気による末端神経障害では治療に半年から数年かかることもあるそうです。

そのため、まずは日々の食事でバランス良く栄養をとり、ビタミンB1が不足することがないように気を付けることで、このような病気を予防するように心がけるべきでしょう。

参考

84号『ビタミン欠乏と神経疾患①』|医療法人育成会 篠塚病院