ビタミンEの働き
ビタミンEは抗酸化作用が非常に強く、過酸化脂質生成を抑制し、血管の健康を保つほか、LDLコレステロールの酸化を抑制する働きや細胞の酸化を防ぐ働きがあります。酸化を防ぐ働きがあることから、ビタミンEは、老化防止のビタミンとも言われます。
血管の健康を保つ
ビタミンEは、血管の拡張を促す働きがあります。そのため、血行が良くなる効果があります。また、血管の酸化を防ぐため、血管を若く保つことができます。ビタミンEを適切に摂取することで、血流が悪くなるのを防ぐことが期待されます。
LDLコレステロールの酸化を抑制
LDLコレステロールは、肝臓で作られたコレステロールを全身へ運ぶ役割を担っています。しかし、増えすぎると動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞を引き起こす悪玉コレステロールと呼ばれます。
このLDLコレステロールが酸化して血管内に溜まっていくと、血管が細くなってしまいます。ビタミンEはLDLコレステロールの酸化を防ぐため、血管が細くなるのを防いでくれます。ひいては、動脈硬化などの症状の防止につながります。
細胞の酸化を防ぐ
ビタミンEには、LDLコレステロールの酸化を防ぎ、細胞内に過酸化脂質が作られるのをおさえる働きがあります。細胞が酸化すると老化へ向かいますが、ビタミンEはこの老化を抑制する働きがあると言われています。
ビタミンEの適切な摂取量
ビタミンEは酸化を防ぎ、血管の健康を保つために必要な栄養素です。ただ、どんな栄養素でも適切な摂取量を心がけることが大切です。
そこで、厚生労働省が発表している年齢・性別ごとの「国民健康・栄養調査」における摂取量の中央値を確認していきましょう。12歳未満では男女ともに同じ摂取量目安になっていますが、12歳以上になると男性の方が少し目安量が増えています。また、妊婦と授乳婦は、年齢の目安量よりも多くのビタミンEを必要としていることが分かります。
(参照元:脂溶性ビタミン|厚生労働省,P192)
欠乏すると筋肉や神経に影響あり
ビタミンEが欠乏することは、非常に稀です。ビタミンEが欠乏する主な理由は、脂肪が適切に消化・吸収されない疾患を持っている場合です。ビタミンEは脂溶性ビタミンであるため、脂肪が適切に消化・吸収されないとビタミンEも吸収されません。
この場合、筋肉や神経に損傷を与える可能性があります。その結果、腕や脚の感覚喪失、筋力低下、視覚障害につながる可能性があります。また、免疫機能の低下も兆候の一つとして挙げられます。
そこまでいかなくても、血行が悪くなり、冷え性になったり頭痛になったり、肩こりが起きやすくなります。さらに、抗酸化力が低下するに伴って、肌にシミやシワができやすくなることも考えられます。
食品からの過剰摂取はない
ビタミンEは、脂溶性ビタミンの中では体に蓄積されづらいビタミンです。摂取したうちの約2/3は便として排泄されます。そのため、通常の食生活ではビタミンEの過剰摂取は起こりにくいです。
ただ、サプリメントの利用によってビタミンEを過剰摂取してしまった場合は、血液が止まりにくくなるとされています。また、骨量を減らし、骨粗鬆症のリスクが高まる可能性があるという研究結果が、慶應義塾大学病院のホームページに掲載されています。
参考
ビタミンEは骨を減らす? 竹田 秀(腎臓・内分泌・代謝内科)|慶應義塾大学病院 医療・健康情報サイト
まとめ
ビタミンEは、肉類では脂身を含むとんかつやビーフジャーキー、チキンナゲットなどに、魚介類では内臓やいくら、すじこ、たらこなどの卵などに多く含まれています。ほかにも、オリーブや大豆などの豆類、とうがらしや西洋カボチャなどの野菜類、ブルーベリーやアボカドなどの果実類など、実に多様な食べ物に含まれています。
ビタミンEは血管や細胞の酸化を抑制する働きがあり、血管を健康に保ち、細胞の酸化を防ぐ働きもあります。家族の健康を守るバランスの良い食事を作るために、今回の記事でリストアップした食べ物を献立に取り入れてみてはいかがでしょうか。
参考
ビタミンEの働きと1日の摂取量|公益財団法人長寿科学振興財団
シワやたるみ、肥満とバイバイ!?美味しく食べる「若返りの栄養素」ビタミンE|グリコ