ビタミンB6は、人体の20%を構成するたんぱく質の代謝を助けたり、免疫機能を正常に保つ働きをしています。ビタミンB6は水に溶ける水溶性ビタミンであり、汗や尿に溶けて体外に排出される特性があるため、過剰摂取しにくいとされています。今回の記事では、ビタミンB6を過剰摂取する原因だけでなく、適切に摂取するために知っておきたいビタミンB6の役割や多く含まれている食品などについても解説いたします。ぜひ、日々の食生活の参考になさってください。
もくじ
ビタミンB6は過剰摂取しにくい!
ビタミンには、水に溶けやすい水溶性ビタミンと水に溶けにくく油脂や脂肪に溶けやすい脂溶性ビタミンの2種類があります。ビタミンB6は水に溶けやすいため体内に蓄積されにくく、日々の食生活で過剰摂取することは少ないそうです。ここでは、ビタミンB6の過剰摂取が原因で引き起こされる症状と過剰摂取の原因、適切な摂取量をご紹介します。
ビタミンB6を過剰摂取すると現れる症状
ビタミンB6を過剰摂取すると、神経障害や皮膚病のほか、皮膚が日光に対して過剰に反応し炎症などが起きる光線過敏症、悪心・胸やけなどの症状が出ます。
ビタミンB6の過剰摂取はサプリメントが原因
ビタミンB6を過剰摂取してしまう原因の1つは、サプリメントの大量摂取です。ビタミンB6は水溶性ビタミンという特性があるため、不必要な分は体外に排出されます。しかし1年以上の長い期間、適切な摂取量を超えるビタミンB6のサプリメントを摂取すると神経障害などの症状が現れます。年齢や性別によって適切な摂取量は異なりますので、サプリメントを利用する際には使用量を守るよう意識しましょう。
年齢別!ビタミンB6の適切な摂取量
2015年に厚生労働省が発表している「日本人の食事摂取基準」によると、ビタミンB6の摂取基準は下記の表の通りです。

(参照元:日本人の食事摂取基準(2015年版)概要|厚生労働省,P23)
男性は、15~17歳をピークに摂取量が一定になります。女性は、12~17歳をピークに摂取量が一定になっています。
2017年の日本人の1人当たりの平均摂取量を表したのが下記の表です。上記の表と年齢区分は異なりますが、男女ともに推奨摂取量を満たしていないことが分かります。
年齢 | 男性(mg) | 女性(mg) |
1~6歳 | 0.7 | 0.64 |
7~14歳 | 1.12 | 0.99 |
15~19歳 | 1.27 | 0.97 |
20~29歳 | 1.08 | 0.93 |
30~39歳 | 1.12 | 0.92 |
40~49歳 | 1.13 | 0.97 |
50~59歳 | 1.26 | 1.06 |
60~69歳 | 1.32 | 1.18 |
70~79歳 | 1.34 | 1.22 |
80歳以上 | 1.28 | 1.05 |
(平成29年国民健康・栄養調査結果の概要|厚生労働省,P31-32より筆者作成)
ビタミンB6が多く含まれる食品
ビタミンB6は、さまざまな食品に自然に含まれています。身近な食品でビタミンB6が特に多く含まれているのは、「肉類」では豚や鶏、「魚介類」ではまぐろやかつおなどの赤身、「穀類」では玄米や玄穀など精製される前の食品、「豆類」ではごまをはじめとした水を通していない食品です。文部科学省が発表している日本食品標準成分表をもとに、それぞれの上位5つをご紹介しますので、お買い物の際の参考になさってください。
ビタミンB6が多く含まれる肉類
肉類では、豚のヒレ肉と鶏肉に多く含まれます。鶏のささみや肝臓は生ですが、豚のヒレ肉と若鶏のむね肉は焼いてもビタミンB6が多く含まれているのでおすすめです。
食品名 | 100g当たりの含有量(mg) |
豚・ヒレ・赤肉・焼き | 0.76 |
若鶏肉・むね・焼き | 0.66 |
成鶏肉・ささみ・生 | 0.66 |
鶏・肝臓・生 | 0.65 |
まがも・肉・生 | 0.61 |
(日本食品標準成分表 PDF(日本語版)11肉類|文部科学省より筆者作成)
ビタミンB6が多く含まれる魚介類
魚介類では、赤身のまぐろやかつおに多く含まれています。また、いわしの丸干しやむろあじの開き干しのような乾物や、料理に添えやすいかつお節や削り節にも多く含まれています。
食品名 | 100g当たりの含有量(mg) |
みなみまぐろ・赤身・生 | 1.08 |
びんなが・生 | 0.94 |
くろまぐろ・赤身・生 | 0.85 |
かつお・生 | 0.76 |
めじまぐろ・生 | 0.73 |
(日本食品標準成分表 PDF(日本語版)10魚介類|文部科学省より筆者作成)
ビタミンB6が多く含まれる穀類
穀類では、玄穀や玄米など、精製されていないものに多くのビタミンB6が含まれています。コーンミールは白でも黄色でも同じだけビタミンB6が含まれています。
食品名 | 100g当たりの含有量(mg) |
小麦はいが | 1.24 |
そば粉・表層粉 | 0.76 |
玄穀 | 0.58 |
玄米 | 0.45 |
コーンミール | 0.43 |
(日本食品標準成分表 PDF(日本語版)1穀類|文部科学省より筆者作成)
ビタミンB6が多く含まれる豆類
豆類では、水で調理されていないねりごまやいりごま、大豆などにビタミンB6が多く含まれています。
食品名 | 100g当たりの含有量(mg) |
ごま・ねり | 0.65 |
ひよこまめ・乾 | 0.64 |
ごま・いり | 0.64 |
ごま・乾 | 0.60 |
中国産・黄大豆・乾 | 0.59 |
(日本食品標準成分表 PDF(日本語版)4豆類|文部科学省より筆者作成)