ビタミンB1の過剰摂取で何が起こる?過不足により起こる症状 - cocoiro(ココイロ)

規則正しい生活やバランスのとれた食生活を送ることは健康への第一歩です。ただし忙しい毎日を送る人たちにとって、「分かっていてもなかなかできない」というのが本当のところ。摂取しなければいけない栄養素が不足したり、間違った摂取方法で過剰摂取になってしまったりすることがあります。

ビタミンB1は本来、私たちが生きていく上で必要不可欠な栄養素ですが、誤って過剰に摂取してしまった場合は弊害となって体調を崩す恐れがあります。

この記事ではビタミンB1の過剰摂取と欠乏した場合の症状についてまとめました。安全に摂取できる食品や1日の摂取基準量などもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

ビタミンB1の概要

そもそもビタミンB1とはどのような栄養素なのでしょうか。ビタミンB1の概要についてご紹介します。

ビタミンB1とは

ビタミンB1の化学名は「チアミン」で、体内で糖質がエネルギーに変わるために必要な酵素を補う「補酵素」の役目を持っています。

体内に乳酸がたまると疲労を感じますが、ビタミンB1は糖の代謝をするのに大切な栄養素になるので、ビタミンB1が不足すると疲労が抜けない状態になります。

ビタミンには脂溶性と水溶性の2種類がありますが、ビタミンB1は水溶性ビタミンです。不足しがちなビタミンであることから、ビタミンB1を多く含む食品を摂取することが推奨されています。

参考

ビタミン|厚生労働省

ビタミンB1の働き

ビタミンB1には脳や神経の働きを正常に保つ働きがあります。

脳や神経の働きを正常に保つには、エネルギーが必要になります。そのエネルギーは私たちの主食であるお米やパンをはじめ、砂糖などの調味料などから摂取する糖質を分解して生成します。

その糖質を分解するのに必要な栄養素がビタミンB1。エネルギーを生成できなくなるとさまざまな症状が体に現れます。それを防ぐためにもビタミンB1は非常に大切な栄養素といえるのです。

1日の摂取基準量

ビタミンB1を1日どのくらいの目安で摂取するべきなのでしょうか。厚生労働省はビタミンB1の食事摂取基準を示しています。

年齢 摂取推奨量(男性) 摂取推奨量(女性)
~1歳
~2歳 0.5mg 0.5mg
~5歳 0.7mg 0.7mg
~7歳 0.8mg 0.8mg
~9歳 1.0mg 0.9mg
~11歳 1.2mg 1.1mg
~14歳 1.4mg 1.3mg
~17歳 1.5mg 1.2mg
~49歳 1.4mg 1.1mg
~69歳 1.3mg 1.0mg
70歳以上 1.2mg 0.9mg
妊婦(付加量) +0.2mg
授乳婦(付加量) +0.2mg

ビタミン|厚生労働省 より筆者作成)

7歳までは男性と女性で差はありませんが、7歳以降は男性の方がビタミンB1を多く摂取するべきとしています。また妊娠中や授乳中の女性は通常の摂取推奨量よりも多めに取る必要があります。

ビタミンB1の過不足による症状

通常は食品から摂取できるビタミンB1ですが、過剰に摂取してしまったり、足りなくなると、体に思いがけない症状が出ることがあります。ここではビタミンB1の過不足により発症する可能性のある症状をいくつかご紹介します。

過剰摂取の場合

ビタミンB1は水溶性ビタミンのため、通常は一時的に過剰摂取となっても尿と一緒に排出されるため、重篤な症状は出にくいと言われています。ただし、サプリメントなどで長期間過剰に摂取した場合は、以下の現象が現れる可能性があります。

  • 頭痛
  • イライラ
  • 不眠
  • 速脈
  • 接触皮膚炎・かゆみ

厚生労働省の「平成29年国民健康・栄養調査結果の概要」によると、日本人のビタミンB1の一日の平均摂取量は0.87㎎でした。食品群別の摂取量の調査によると、主に肉類、穀類、野菜などから摂取されていると報告されています。

参考

平成29年国民健康・栄養調査結果の概要|厚生労働省,p31

普通通りに食事していれば極端に過剰摂取することになることはあまりありませんが、100㎎のチアミン塩酸塩を注射で投与した場合に副作用が確認されたという報告もあります。

参考

チアミン|食品安全委員会

通常の生活でビタミンB1の過剰摂取の状態に陥ることはあまりないとされています。

欠乏の場合

ビタミンB1は糖からエネルギーを生成する働きをします。そのためビタミンB1が不足してくるとエネルギーの生成が十分にできなくなり、次のような症状が現れることがあります。

  • 食欲不振
  • 疲労
  • 倦怠感

最も重要なのは、ビタミンB1がもたらすエネルギーは、脳にも絶対に必要なものであるため、エネルギー不足が起こると脳や神経系に障害をもたらすことがあるということ。さらに欠乏が重篤な場合は次のような症状が出ます。

  • 脚気(かっけ):心不全による足のむくみ・神経障害による足のしびれ
  • ウェルニッケ・コルサコフ症候群:意識障害・眼球運動障害・小脳失調・健忘

最悪の場合は死に至ることもあるとも言われているようです。