パントテン酸欠乏症は実際上起こり得ないが、もし症状が出たら?

子供が偏食になり、忙しさから生活が乱れがちになることもあるでしょう。働く親にとって子供の食生活に悩みを持っているのではないでしょうか。栄養について調べていて「パントテン酸欠乏症」という症状を知った人もいるかもしれません。「もしかしてうちの子供が当てはまるかも……?」と思った人に向けて、パントテン酸欠乏症について解説していきます。

パントテン酸欠乏症は実際上起こり得ない

まず最初にお伝えしたいのは、「パントテン酸欠乏症は実際上起こり得ない」ということです。多少食生活が乱れていても、小食であってもパントテン酸が不足することはないと考えられています。

多少の偏食があっても大丈夫

この記事を読んでいる人の中には、自分や子どもの体調不良が何らかの栄養不足によるものなのではないかと心配になっている人がいるかもしれません。確かに一部のビタミンは体内で不足することがあり、それによって体の不調を引き起こすことがあります。しかしパントテン酸は通常の食生活をしていれば足りなくなることはまずないようです。

ビタミンの摂取量が少なすぎると、栄養障害を起こすことがあります。しかし、様々な食品を食べていれば、ほとんどのビタミンで欠乏が起こることはありません。ただし ビタミンDの欠乏は例外です。 ビタミンD欠乏症は、様々な食品を食べている場合でも、高齢者など特定の集団ではよくみられます。他のビタミンの欠乏は、特定のビタミンが十分に含まれていない制限食をしている場合に起きることがあります。例えば、動物性食品を一切食べない完全な菜食主義者の場合は、動物性食品にのみ含まれているビタミンB12が不足することがあります。ビオチンやパントテン酸の欠乏はまず起こりません

(太字は引用者)

(引用元:ビタミンの概要 – 11. 栄養障害 | MSDマニュアル家庭版

パントテン酸は「至るところに存在する酸」という意味です。その名の通り肉や魚介類だけでなく野菜や穀物、イモなどにも豊富に含まれているビタミンです。多少の偏食があっても問題なく、食事をしっかり取っているのであれば不足するようなビタミンではありません。

もし日本でパントテン酸欠乏状態になるとしたら

日本のような先進国で、パントテン酸など各種のビタミンが不足するケースはあるのでしょうか。MSDマニュアルはケースこそ少ないものの、以下のような状況下では不足する可能性はあると指摘しています。

  • 貧困
  • フードファディズム
  • 薬物( 栄養素-薬物相互作用および 潜在的なビタミン-薬物相互作用)
  • アルコール依存症
  • 長期間かつ不十分な非経口的栄養補給
  • 吸収不良

(引用元:ビタミンの概要 – 09. 栄養障害 | MSDマニュアル プロフェッショナル版

十分な食事を摂ることが難しい貧困、食べ物に対して異常なほどに栄養効果を期待してしまうフードファディズムを除けば、体の機能がパントテン酸を摂取できる状態でなくなっているときに欠乏すると考えられていることが分かります。

薬物やアルコールなどによって摂取が阻害されるか、経口で栄養が摂取できない、もしくは摂取しても吸収できないほどに体の機能が弱っているという状況が挙げられています。つまり、日本ではパントテン酸不足で体調不良に陥るのではなく、体調不良のせいでパントテン酸が摂取できなくなるという状況になる方が可能性が高いということです。

参考

女子学生の新たなフードファディズム尺度作成の試み | 日本調理科学会大会研究発表要旨集