「校務分掌」という言葉をご存知でしょうか? 教育実習で学校に行った学生でもあまり知らない校務分掌は、学校の先生の係活動のようなものです。先生方が、学年を超えて学校を運営するために必要な仕事を分担して行うことをいいます。今回の記事では、意外と知らない「校務分掌」の種類と仕事内容をご紹介します。この記事を読めば、超多忙といわれる日本の学校の先生の仕事の一端が分かるかもしれません。
もくじ
校務分掌とは?
先生の仕事は、授業だけではありません。学校は組織で動いており、授業以外にもさまざまな仕事があります。学校で行われる授業以外のさまざまな仕事を「校務」といいます。また、校務は管理職を含めて分担され、みんなで協力して行います。
校務分掌とは、分かりやすく言うと先生方の係活動です。時間割などのスケジュールを担当する係は「教務」、マナーやルールを守れるように呼びかける風紀係は「生徒指導」、体育の授業や運動会がスムーズに運営できるようにする体育係は「健康教育」と例えることができます。
また、入学式や卒業式、運動会などの大きなイベントがあるときには、イベント向けの校務分掌があるのが一般的です。
主な校務分掌の種類と仕事内容
校務分掌が先生方の係活動と分かったところで、実際にどのような種類の校務分掌があり、どんな内容の仕事なのかをご紹介します。校務分掌は学校や地域によって呼び方も種類も異なりますので、代表的な6つの校務分掌をご紹介します。
教育課程に関することを行う「教務」
「教務」は学校全体のスケジュールを把握し、教育課程(カリキュラム)を検討し、時間割を作成し、成績評価に関する処理をするなど、学校運営に欠かせない非常に重要な仕事をします。そのため、教務を担当する教員は、ある程度学校全体の運営を理解していなければなりません。そのため、学年主任や管理職に当たる主幹教諭が仕事を任されることが多いです。一般的な仕事内容は下記のとおりです。
- 教育課程(カリキュラム)の検討
- 時間割、年間スケジュールの作成
- 授業時数の計算や授業時数の調整
- 体育館や音楽室、理科室などの特別教室の使用割り当て作成と調整
- 学校評価の作成
- 教育実習の受け入れ企画
- 学校要覧や名簿など学校で保管する個人情報の作成
- 教材備品の選定
- 使用教科書の調査や諸手続き
- 入学者、転入学者の手続き事務
- 授業公開の企画・運営
- 校内研修や都道府県別の研修の調整・推進
- 人権同和教育に関する計画
- 情報教育に関する計画
- PTA活動に関する業務、PTAとの連絡・調整
- ホームページや学校だよりなどの学校広報活動の企画・運営
- 学校の活動の記録写真整理
これ以外にも細かい業務は多くあります。学校全体に関わることを決める内容が多いため、年度初めやイベントがあるときには仕事量が多くなる傾向があります。また、スケジュールをはじめとした枠組みを作成しているため、年間を通して調整役としての役割も担います。
研修や研究授業に関わる「学力向上」
「学力向上」は、名前のとおり児童生徒の学力向上のために、研修や研究授業を行います。「研究」と呼ばれることもあります。学力向上は、どの学年からもまんべんなく先生が参加しており、発達段階ごとの学習課題や学年を超えて必要な学力を考えます。
- 研究授業の企画・運営
- 学校の研究テーマに合わせた学習活動の提案
- 都道府県ごとの研究テーマに対する実践報告書の作成
日本の公立学校はどの学校でも同じようなカリキュラムと教科書で学習が行われていますが、都道府県や学校ごとに研究テーマが決まっています。数学を研究テーマにしている学校もあれば体育を研究テーマにしている学校もあります。また、ICTを活用した教育や外国語教育に力を入れている学校もあり、それらに合った研究授業の企画や実践報告が求められます。