ビタミンAにはどんな効果や働きがある?1日の摂取量の目安も紹介 - cocoiro(ココイロ)

炭水化物・脂質・タンパク質・ミネラル・ビタミンからなる五大栄養素は、人間の体を健康に維持する上で大切な役割を担っています。今回はその中からビタミンAをピックアップして、その効果や働きだけでなく、足りない場合や過剰摂取してしまった場合の影響、1日の摂取量の目安、さらにはおすすめの食品も紹介します。

ビタミンAの効果と働き

まずは、ビタミンAの持つさまざまな効果や働きについて見ていきましょう。

髪の毛や爪、肌の健康を保つ

ビタミンAには、髪の毛や爪、肌などの健康を保つ働きがあります。化粧品などの美容関係の商品にビタミンA(レチノール)が活用されているのはそのためです。

また、高齢者の皮膚の乾燥にはビタミンA不足が関係しているとも言われています。

口内炎や喉の腫れを防ぐ

ビタミンAには皮膚や粘膜の免疫機能を維持する働きがあり、口内炎や喉の腫れを防いでくれます。喉や鼻の粘膜を正常に保つことにより、細菌への抵抗力も維持されます。

薄暗い場所での視力を保つ

就寝時、消灯してすぐは暗くて周りが見えないけれど、時間が経つにつれてだんだんと見えるようになってくる。多くの人がそんな経験をしたことがあるのではないでしょうか。

時間の経過とともに暗闇に眼が慣れる現象は「暗順応」と呼ばれます。この暗順応の過程に大きな役割を果たしているのがビタミンAです。目の網膜を形成する細胞のうち、暗いときに働くロドプシンという物質の合成に、ビタミンAの一種であるレチノールが必要となるからです。

そのため、ビタミンAが不足すると、暗順応を正常に行えなくなるなどのトラブルにつながります(詳しくは後述します)。

抗がん作用があるとの見方も

ビタミンAは、細胞の分化や増殖に作用することが知られています。そのため、ビタミンAとがんの関係については、これまでにさまざまな研究が行われています。

日本では、1926年に当時の内務省栄養研究所(現在の国立健康・栄養研究所)において、ビタミンA欠乏症のネズミは、そうでないネズミに比べて上皮細胞がん(特に胃がん)が多く発生するとの報告がなされています。

その他さまざまな研究によって、ビタミンAをしっかりと摂取することで肺がんや前立腺がんのリスクを下げる可能性が指摘されています。

ただし、これまでの研究によって、ビタミンAを多く補充すれば、がんの罹患率や死亡率が下がることが証明されているわけではありません。逆に、高用量のサプリメントによってビタミンAを摂取した喫煙者は、肺がんに罹患する確率が高まることが明らかになっています。このほかにも、ビタミンAの過剰摂取には弊害があります。ビタミンAを多く摂れば摂るほど、がんを予防できるわけでないということに留意してください。

参考

吉川敏一(2012年12月)『ビタミン・ミネラルの本』土屋書店

ビタミンA  海外の情報 一般の方へ|「統合医療」情報発信サイト 厚生労働省 「統合医療」に係る情報発信等推進事業

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ビタミンAの摂取量の目安はどれくらい?

先にも少し触れましたが、ビタミンAは過剰摂取による弊害があることが知られています。それでは、1日の摂取量の目安はどの程度なのでしょうか。また、足りない場合や過剰摂取による体への影響にはどのようなものがあるのでしょうか。順に見ていきましょう。

摂取量が足りないとどうなる?

さまざまな効果や働きを持つビタミンAですが、摂取量が足りないと(ビタミンA欠乏症になると)体にどのような影響が出てくるのでしょうか。

夜盲症になる可能性がある

ビタミンAが足りないと、夜盲症という病気になってしまう可能性があります。前述した通り、ビタミンAは暗闇に眼が慣れていく暗順応の過程に大きな役割を果たしていますが、夜盲症になるとこの働きが失われ、暗い場所での視力がなくなります。さらにビタミンA不足が放置されると、最終的には失明に至ります。

現代の日本では普通の食生活を送っている限り、ビタミンAが不足するということはほとんどありませんが、途上国の子供達の間ではビタミンA欠乏症による夜盲症の発症が珍しくありません。途上国では、貧困のためにビタミンAを豊富に含む動物性食品がなかなか手に入らなかったり、乳児に十分な母乳を与えることができないといった事情があるからです。そのため、子供達の間でビタミンA欠乏症が生じやすくなり、夜盲症の発症につながると考えられています。

皮膚や粘膜が角化する

ビタミンAには、皮膚や粘膜を健康に保ち、免疫機能を維持する効果・働きがあります。そのため、ビタミンAが不足してしまうと、皮膚や粘膜の乾燥、角化が生じ、細菌やウイルスなどに対する抵抗力が下がってしまいます。

抵抗力が下がった状態では、感染症にかかりやすくなってしまいますから、普段から適正な量のビタミンAを摂取することが大切です。