カルシウムの適切な摂取量
普段はカルシウム不足ばかり気にしてしまいがちですが、カルシウムの過剰摂取も重大な健康障害を招くことがお分かりいただけたでしょうか。多すぎても少なすぎても良くないカルシウム。適量はどのくらいなのでしょうか?
カルシウムの1日必要摂取量
カルシウムを1日にどれだけ摂取すればいいのかは、厚生労働省が発表している「カルシウムの食事摂取基準」を参考にしましょう。食事摂取基準には、推定平均必要量・推奨量・目安量が定められています。
- 推定平均必要量:半数の人が1日の必要量を満たせるカルシウム量
- 推奨量:ほぼすべての人が1日の必要量を満たせるカルシウム量
- 目安量:十分な科学的根拠がなく、推定平均必要量と推奨量が設定できない場合、目安にするカルシウム量
毎日推奨量を摂るよう目指したいところですが、献立によってカルシウム摂取量にブレが出るのは避けられません。カルシウム摂取の少ない日でも、推定平均必要量は満たすように心がけましょう。
カルシウムの食事摂取基準(単位:mg/日)
性別 | 男性 | 女性 | ||
年齢等 | 推定平均必要量 | 推奨量
(目安量) |
推定平均必要量 | 推奨量
(目安量) |
0~5ヶ月 | (200) | (200) | ||
6~11ヶ月 | (250) | (250) | ||
1~2歳 | 350 | 450 | 350 | 400 |
3~5歳 | 500 | 600 | 450 | 550 |
6~7歳 | 500 | 600 | 450 | 550 |
8~9歳 | 550 | 650 | 600 | 750 |
10~11歳 | 600 | 700 | 600 | 750 |
12~14歳 | 850 | 1,000 | 700 | 800 |
15~17歳 | 650 | 800 | 550 | 650 |
18~29歳 | 650 | 800 | 550 | 650 |
30~49歳 | 550 | 650 | 550 | 650 |
50~69歳 | 600 | 700 | 550 | 650 |
70歳以上 | 600 | 700 | 550 | 650 |
(日本人の食事摂取基準(2015年版)の概要|厚生労働省、P31より筆者作成)
カルシウムは最大どのくらいまで摂ってもいいのか
厚生労働省の「カルシウムの食事摂取基準」には、耐容上限量も定められています。耐容上限量とは、過剰摂取による健康障害を防ぐために超えてはいけないカルシウム量です。成人(18歳以上)のカルシウムの耐容上限量は、2500mg(ミリグラム)です。17歳以下は、カルシウムの耐容上限量は定められていません。
参考
日本人の食事摂取基準(2015年版)の概要|厚生労働省、P31
バランスの良いカルシウムの摂り方
成人(18~29歳)の推定平均必要量は男性650mg・女性550mgで、上限は2500mgなので、安全なカルシウム量の幅はかなり大きいことが分かります。したがって、日々のカルシウム摂取量に多少のブレがあっても、すぐに健康障害につながることはありません。では、どのようにすればカルシウムを過不足なく摂取できるのでしょうか。
参考
日本人の食事摂取基準(2015年版)の概要|厚生労働省、P31
サプリメントからではなく食品から
カルシウムの過剰摂取は、多くの場合サプリメントの不適切な摂り方によるものです。カルシウム不足が声高に叫ばれるので、不安になって複数のサプリメントを併用したり、サプリメントとカルシウム強化食品を一緒に摂ったりして、知らない間にカルシウムを過剰に摂っていたということがあります。サプリメントの多くは、子供に対する安全性や有効性が確認されていません。医師の診断に基づく場合を除き、カルシウムをサプリメントで補うのは避け、食品から摂るようにしましょう。
一方、食品でカルシウムを過剰摂取してしまう危険性は、極めて低いと言えます。カルシウムの耐容上限量2500mgを食品から摂取しようとすると、牛乳なら2.3L、イワシ丸干しなら19尾、木綿豆腐なら10丁食べなくてはなりません。普通に食事している限り、木綿豆腐を1日に10丁食べてしまうことはまずないでしょう。ただし、ほかの食品はともかく、牛乳の場合は耐容上限量まで飲んでしまう人もいます。牛乳を水代わりにがぶ飲みするのは避けましょう。
カルシウムの多い食品を意識して取り入れる
カルシウムをサプリメントからでなく食品から摂る場合に気をつけなくてはならないのは、むしろカルシウム不足です。カルシウムの豊富な乳製品・大豆製品・小魚類から1日2品は食べるように心がけましょう。
ビタミンDなどほかの栄養素と一緒に摂る
カルシウムは単体で摂取しても体に吸収されません。カルシウムの吸収を助けるビタミンD、カルシウムを骨に沈着させるビタミンK、骨に取り込まれるカルシウムの量を調節するマグネシウムなどと一緒に摂って初めて、カルシウムが体内で機能します。また、丈夫な骨を作るにはタンパク質も欠かせません。1つの栄養素の過不足のみを気にするのではなく、バランスの取れた食事が大切です。
まとめ
成長期の子供にとって、カルシウムを過不足なく上手に体に取り込む最善の方法は、「よく食べ、よく寝て、よく遊べ」です。3食きちんとバランスよく食べ、夜はしっかりと休んで成長ホルモンを分泌させ、外遊びなどでしっかりと体を動かすことにより、サプリメントや強化食品に頼らずともカルシウムをしっかりと体に取り込むことができます。
参考
【第179号】高カルシウム血症(高Ca血症)について | くす通信 | 国立病院機構 熊本医療センター
どうカルシウムをとればよいの? | 公益財団法人 骨粗鬆症財団
痛みの原因、石灰化の予防 – ワンポイント健康法|株式会社関西メディカルシステムズ
元気1番!丈夫で、ニッコリ!健康のためのカルシウムとマグネシウムのお話|すこやかネット|NIPRO-ニプロ株式会社- 「その技術は、人のために。」