カルシウム欠乏症は恐ろしい!カルシウム不足にならない食生活とは? - cocoiro(ココイロ)

子供の成長期にはバランスの取れた食生活が大切ですが、なかでもカルシウムは特に気を付けて摂取したい栄養素です。下のグラフを見ても分かるように、飽食のこの時代、日本人のカルシウムの摂取量は全年齢層で推奨摂取量に達していません。

日本人の食事摂取基準(2015 年版)の概要|厚生労働省、P31 ,国民健康・栄養調査 カルシウム摂取量|国立健康・栄養研究所 より筆者作成)

カルシウムが不足すると、人体はどうなってしまうのでしょうか? カルシウムの大切な役目とカルシウム不足が引き起こす影響、カルシウムを上手に取り入れた食生活について考えてみましょう。

カルシウムの大切な役目

丈夫な骨を作る

骨の70%はカルシウムからなっています。カルシウムが、硬くて丈夫な骨を作っています。人間の体内に存在するカルシウムの99%は骨に蓄えられており、骨に含まれるカルシウムの量、骨量が多いほど骨は丈夫になっていきます。

筋肉や脳神経の情報伝達係

残りの1%のカルシウムは、主に血液の中にあります。カルシウムは電解質で、プラスかマイナスの電荷を帯びているため、電気の力で血液の中を自由に動き回ることができます。人間の体内には37兆個の細胞がありますが、細胞同士の情報は、細胞間を動き回る電解質を通じてやりとりされています。それにより、筋肉を収縮させて力を出したり、脳神経を働かせて考えごとをしたりできるわけです。

たった1%のカルシウムが、生命活動を行う上で欠かせない大切な役割を担っています。血液中のカルシウムが不足すると骨からカルシウムが引き出され、血液中のカルシウムを一定の濃度に保っています。

カルシウム不足が引き起こす影響

歯や骨がもろくなる

骨はカルシウムの貯蔵庫です。血液中のカルシウムが不足すると、骨に蓄えられているカルシウムが引き出されてしまします。慢性的にカルシウム不足の状態が続くと、骨量(骨の中のカルシウムの量)がどんどん減ります。骨量が低いと骨はスカスカになり、骨折しやすくなります。

骨量は成長期とともに急激に伸び、20~40歳半ばでピークを迎え、その後は次第に減っていきます。ピーク時の平均的骨量の70%以下になると、骨粗鬆症(こつそそうしょう)になります。ピーク時の骨量が多ければ、その分骨の健康寿命を延ばすことができます。したがって、成長期になるべく多くカルシウムを摂取し、骨量を増やすことが肝心です。

(参照元:骨の一生|ネスレ ヘルシーキッズ

筋肉収縮や神経機能の働きが悪くなる

血液中のカルシウムは、不足分を骨から引き出すことで、極めて精密な濃度に保たれています。この値が崩れると、カルシウムの情報伝達機能がうまく機能せず、筋肉収縮や神経機能の働きが悪くなります。それにより、運動もしていないのに足がつったり、激しい痛みを伴うけいれんが起きたり、忘れっぽくなったりします。

高血圧や動脈硬化の引き金になる

血液中のカルシウムが慢性的に不足していると、骨からカルシウムを引き出す指令を出す副甲状腺ホルモンが常に分泌され、過剰にカルシウムを引き出されてしまします。余分なカルシウムは血管の壁や脳、軟骨などくっついて石灰化し、高血圧や動脈硬化、心筋梗塞を引き起こす恐れがあります。

カルシウム不足はイライラしやすい?

「カルシウムが不足するとイライラしやすい」とはよく言われることですが、はっきりとした科学的な裏付けはありません。カルシウムが慢性的に不足すると神経機能などにさまざまな問題が生じるのは事実ですが、血液中で必要なカルシウムは骨から引き出され、濃度は一定に保たれるため、カルシウム不足が直接イライラにつながることはなさそうです。しかし、子供は体調不良を感じてもうまく表現できないため、イライラすることは十分にあり得ます。