カルシウムは骨を丈夫にするだけでなく、生命を維持するのに欠かせない重要な役割を果たしています。それにもかかわらず、日本人のカルシウム摂取量は、全年齢層で必要量に達していません。カルシウムは一部の食材に偏って含まれているため、意識的にカルシウムの多い食品を選んで摂取しないと、どうしても不足しがちになります。カルシウムの吸収率も食品によって異なるため、吸収率を高める効率的な食べ方をする必要があります。カルシウムを多く含む食品とその効果的な食べ方をご紹介します。
カルシウムを多く含む食品
カルシウム不足を防ぐためには、カルシウムを多く含む食品を日々の食卓に欠かさず取り入れる必要があります。カルシウムが多く含まれる食材は、大きく分けると乳製品・小魚・大豆食品・海藻類・野菜類の5つです。
牛乳やチーズなどの乳製品
牛乳やチーズなど乳製品にはカルシウムが豊富に含まれているだけでなく、他の食材に比べて吸収率が群を抜いて高く、約40%に上ります。また、カルシウムだけでなく良質なたんぱく質も豊富で、効率的に骨の成長を促してくれます。調理なしで食べられ、毎日続けやすいカルシウム源です。
(日本人若年成人女性における牛乳, 小魚 (ワカサギ, イワシ), 野菜 (コマツナ, モロヘイヤ, オカヒジキ) のカルシウム吸収率|日本栄養・食糧学会誌 より筆者作成)
牛乳を飲むとお腹を壊してしまう人は、ヨーグルトやチーズなどお腹にやさしい発酵食品を摂取するといいでしょう。注意点は、牛乳やチーズには脂肪が多く含まれていることです。育ち盛りの子供は乳製品の脂肪分をそれほど気にする必要はありませんが、子供と一緒に親まで同じように取っていると、カロリー過多になる可能性があります。カロリーが気になる方は、低脂肪牛乳やスキムミルクで代用するとよいでしょう。
食品名 | 1回に食べる目安量 | カルシウム量 |
牛乳 | 1杯/200g | 220mg |
プロセスチーズ | 1切/25g | 158 mg |
ヨーグルト | 1カップ/100g | 120 mg |
スキムミルク | 大さじ2.5杯/20g | 220mg |
アイスクリーム | 1カップ/71g | 99mg |
(カルシウムを多く含む食品|公益財団法人 骨粗鬆症財団,p1 より筆者作成)
いりこやししゃもなどの小魚
魚に含まれるカルシウムの吸収率は約33%で、乳製品ほどではないにしても、体に吸収されやすい性質を持っています。カルシウムは骨に多く含まれています。さくらえびやしらす干し、食べるいりこや、ししゃもなど骨ごと食べられる魚を選びましょう。
天日干しの干物にはビタミンDも豊富に含まれているので、カルシウムの吸収率が高まります。サバやイワシなども、圧力鍋を使ったり、酢で調理したりすることで、骨が缶詰の魚のようにほろりと軟らかくなります。骨を嫌がる子供の、魚への苦手意識を払しょくできるかもしれません。
参考
骨まで食べる魚が誰でも簡単に作れる!おすすめ料理法|アサヒ軽金属工業
健康食人 vol.2 -カルシウムとは?-|healthy apisの健康レシピ
食品名 | 1回に食べる目安量 | カルシウム量 |
ししゃも | 3尾/60g | 198mg |
イワシ丸干し | 1尾/30g | 132 mg |
干しエビ | 10g | 710 mg |
しらす干し | 大さじ2/10g | 52mg |
シジミ | 中10個/50g | 120mg |
(カルシウムを多く含む食品|公益財団法人 骨粗鬆症財団,p1 より筆者作成)
納豆や高野豆腐などの大豆食品
大豆食品とは、豆腐、豆乳、納豆、凍り豆腐、油揚げ、厚揚げなどで、日本食には欠かせない食材です。植物性のカルシウムは、動物性のカルシウムに比べて吸収率は低いですが、カロリーも低く、親も気にせず食べられます。大豆食品は種類が豊富で、複数の大豆食品を取り入れることでカルシウム摂取量を増やすことができ、毎日飽きずに食べられます。
食品名 | 1回に食べる目安量 | カルシウム量 |
木綿豆腐 | 半丁/150g | 129mg |
厚揚げ | 1枚/120g | 288 mg |
凍り豆腐 | 1個/20g | 126 mg |
納豆 | 1パック/50g | 45mg |
(カルシウムを多く含む食品|公益財団法人 骨粗鬆症財団,p1 より筆者作成)
ひじきやわかめなどの海藻類
ひじきやわかめなどの海藻類は、カルシウムだけでなく、骨の形成を助けるマグネシウムも含まれています。現代人に不足しがちな食物繊維も豊富で、毎日取り入れたい食材です。乾物の海藻類を常備しておけば、みそ汁や卵焼き、サラダなどさまざまな料理に加えることができます。
食品名 | 1回に食べる目安量 | カルシウム量 |
ひじき | 10g | 100mg |
わかめ | 5g | 39 mg |
(カルシウムを多く含む食品|公益財団法人 骨粗鬆症財団,p1 より筆者作成)
小松菜や切り干し大根などの野菜類
野菜のカルシウム吸収率は低いので、1日のカルシウム必要摂取量をすべて野菜でまかなうことは難しいでしょう。しかし、野菜にはカルシウムの吸収を助けるビタミン類が豊富に含まれています。カルシウムをはじめとするミネラルが豊富なのは、濃い緑色の野菜が多いです。しかし、それ以外にも、切り干し大根やいりごまもカルシウムが多く含まれています。
食品名 | 1回に食べる目安量 | カルシウム量 |
小松菜 | 1/4束/95g | 162mg |
チンゲンサイ | 1束/100g | 100 mg |
切り干し大根 | 10g | 50mg |
いりごま | 小さじ1杯/3g | 36mg |
(カルシウムを多く含む食品|公益財団法人 骨粗鬆症財団,p1 より筆者作成)