もくじ
幼児期の記憶力について
子供が小さいころから英才教育を行えば、記憶力アップにつながる……、そんな話を聞いたことがある人もいるかもしれません。満1歳から小学生未満の幼児期は五感が発達しているため、肌で感じたことを瞬時に記憶します。これを「感覚記憶」と呼びますが、覚えている時間はほんの数秒ともいわれています。
短期間の記憶は約20秒ほど保持するといわれていますが、記憶する訓練を繰り返し行うことで、長期記憶につながります。幼児期は好きな絵本を何度も繰り返し読んだり、同じ遊びを毎日繰り返し行います。このようにして幼児期はさまざまな出来事を記憶し、長期記憶につなげるような行動を取っているのです。
幼児の記憶力は実はすごい!?
脳のなかにある「海馬」と言われる部分は、記憶や空間学習能力に関わる脳の器官として知られています。朝起きてから寝るまで、幼児にとって起こることすべてが新しい体験の連続です。予測ができないこと=驚きを繰り返し体験することによって、海馬をとりまく神経細胞が成長し、つながっていきます。6歳までに約90%が完成するといわれている脳の神経細胞(ニューロン)。幼児期から活性化することで、記憶力アップにつながります。
記憶力は幼児期の教育で変わる!?
人が何かを記憶するときは、興味や好奇心といった、自分の好きなものを見たり感じたりするときの方が、脳の配線が爆発的に伸びるといわれています。深いリラックス状態の脳波は「シータ波」と呼ばれ、シータ波が出ているときは好きなアニメのキャラクターや動物の名前なども一気に記憶することができるといわれています。
たとえば子供が好きなアニメがある場合は、幼児期に本を見ながらキャラクターの名前を読み上げたりすることで、記憶をつかさどる海馬やシータ波が有効的に働き、記憶力もアップしていきます。特に感動した経験は子供の脳に大きな刺激をもたらすため、幼児期にさまざまな経験をすることで記憶力の向上も期待できます。
記憶力が悪いかも?と思ったとき
「うちの子供は記憶力が悪いかも?」と心配になってしまう親御さんもいるかもしれませんが、子供の場合はそもそも記憶できる量が少なく、記憶できる時間も短いため、「記憶力が悪いかも……」と感じやすいです。長い間物事を記憶することができる「長期記憶」の種類として、言葉の意味を理解する「意味記憶」と、過去の経験の記憶といった「エピソード記憶」の2種類に分けられますが、エピソード記憶は4歳ごろから機能し始め、10歳を過ぎれば意味記憶よりも優勢になるといわれています。
大人は見たものを言語化して記憶するのに対し、子供は写真のように見たままを記憶するといわれています。幼児など、小さな子供の場合は言葉で表現することが難しく、長時間集中して話を聞くことが苦手ですので、記憶力が悪いのではなく、実は聞いているようで聞いていないということもあるかもしれません。