絶対音感は生まれつき?それとも訓練で身につく?
「絶対音感は生まれつき」という説と「訓練で身につく」という説があります。
絶対音感は先天性という説
ある研究では、絶対音感は先天性で、音楽教育では身につかないという結果がでているようです。
絶対音感を持つ音楽家たちのプロフィールを調査したところ、グループの20%は7歳までにまったく専門的な音楽教育を受けていなかった。つまり、遺伝学的な要素が絶対音感の有無の決定することはほぼ間違いないという。
(引用元:絶対音感は先天性のものであることが明らかに カナダの研究|ライブドアニュース)
同じ研究によって、絶対音感を持つ人は脳の聴覚に関連する部分の反応が大きく、音の周波数を認識する領域の体積が大きいということも分かっているそうです。
絶対音感は後天性という説
絶対音感は先天性という意見がある一方で、「後天的な音楽教育で身につけることができる」ともいわれてきました。
人間の聴覚の発達は4~5歳でピークを迎え、8歳ごろには完成します。その前に、反復トレーニングをして、音の高さと音の名前の絶対的な関係を身につけさせるというのです。
訓練が可能なのは6歳半くらいまでの間で、それを過ぎてから獲得するのは困難だといわれています。
相対音感は訓練で伸びる
絶対音感と違い、相対音感は、6歳半以上の子供や中高生、大人でも訓練によって身につけることができるといわれています。
子供に音感を身につけさせるには
子供に音感を身につけさせるにはどうしたらいいのでしょうか。
絶対音感を身につけさせる方法
先に述べたように、人間の聴覚の機能は8歳ごろに完成するといわれています。絶対音感を後天性とする見方では、聴覚の機能が完成する前、遅くても6歳半ごろまでのトレーニングが大切としています。
それまでの期間に音階が定まっているピアノなどの楽器を習えば、自然に絶対音感が身につく。あるいは音楽教室などで、音の聞き取りの練習や歌唱などのトレーニングを積むことで身につくというのです。
ほかにも家庭で、子供から見えないところでピアノなどの音を出し、どの音か当てさせる遊びをするといいという意見もあります。
これらの訓練で身につくのは、音の固有の周波数を把握する絶対音感ではなく、限られた音を当てることができる相対音感だともいわれていますが、音感が伸びることに変わりはありません。あまり堅苦しく考えず、遊びの一環として取り入れてみてはいかがでしょうか。
相対音感を身につけさせる方法
多くの人は2つの音の「どちらが高い(低い)か」を聞き分けられることから、相対音感はほとんどの人がすでに身につけているといえますが、訓練でさらに高めることができます。
音楽教室などでトレーニングをしたり楽器の練習を続けていくことで、だんだん音程の差を把握する力が備わり、相対音感が身につきます。
家庭で音感のトレーニングをする場合の注意点
家庭でトレーニングをするときに気をつけたいのが、楽器の音の正確さです。
例えば、調律の合っていないピアノで音を出しても音感のトレーニングにはなりません。
また「音感を身につけさせたい」という気持ちが先走って練習や訓練を無理強いした結果、子供が音楽を嫌いになってしまったら本末転倒です。毎日の生活の中で楽しく、自然に楽器や音楽に触れることを心がけましょう。
まとめ
絶対音感は先天的で訓練では身につかないという説と、幼児期に訓練をスタートすれば身につくという説がありますが、今のところどちらが正しいとは決まっていません(絶対音感の定義次第では、どちらも正しいといえそうです)。
日本では「絶対音感がある=音楽的才能がある」という概念があり、音楽教育でも幼児期から絶対音感を身につけさせることに熱心だといわれています。そのせいか、日本と海外の音大生を比較した研究では、日本の音大生は絶対音感が優れている反面、相対音感は弱いという結果が出ています。
絶対音感と同様に、メロディやハーモニーを聴き取る相対音感も大切です。
絶対音感とともに相対音感も伸ばすつもりで、普段から音楽に親しみ、歌や演奏を楽しんでみてはいかがでしょうか。
参考
研究成果「日本の音楽学生は絶対音感が優れているが 相対音感が弱いことが国際比較から明らかに」| 新潟大学
絶対音感は先天性のものであることが明らかに カナダの研究|ライブドアニュース
絶対音感はどう養う? 子どもに身につけさせたい、絶対音感と相対音感のトレーニング法。|こどもまなび☆ラボ
絶対音感だけじゃない!子どもの「耳の力」を育む要素とは?|ON-KEN SCOPE 音楽×研究 幼児期にやっておくべき!家庭でできる“絶対音感”トレーニング| – 暮らしニスタ
クラシック音楽の演奏に絶対音感は必要?|マエストローラ音楽院