シュタイナー教育を知っていても、シュタイナー教育の根幹をなすオイリュトミーがどのような活動なのかを説明できる方は少ないのではないでしょうか? そこで今回の記事では、シュタイナー学校では必修科目となっているオイリュトミーの概要とオイリュトミーの種類、混同しやすいリトミックとの違いについてご紹介します。
もくじ
オイリュトミーって一体?
オイリュトミーは、思想家で教育家のルドルフ・シュタイナーが創造した運動芸術です。ギリシア語が語源になっており、直訳すると「美しいリズム」となります。そんなオイリュトミーの起源や意味、効果をご紹介します。
オイリュトミーの起源
オイリュトミーは本来ギリシア語で、ギリシアの神殿舞踊が由来になっています。ルドルフ・シュタイナーは目に見えない世界も重視する神秘思想家であったため、神殿舞踊をヒントにしてオイリュトミーを考案しています。
オイリュトミーは踊るだけじゃない?
オイリュトミーでは、音楽を形成しているリズムや拍子、言葉の中にある子音や母音を体を使って表現します。そのため、一般的なダンスをするのとは意味合いが異なります。
音楽を表現するオイリュトミーでは、流れるメロディや音符を動作にして表現します。言葉を表現するオイリュトミーでは、子音や母音の響きを手のひらを使って表現します。
英語でオイリュトミーを表現するときに、playではなくdoを用いることからも、ダンスとは一線を画していることがよく分かります。神奈川県にあるシュタイナー学園では、オイリュトミーを意志と感情と思考をつなぐための、芸術活動の一つと考えられています。
オイリュトミーがもたらす3つの効果
オイリュトミーがもたらす効果として、「協調性」「芸術性」「正しい姿勢」の3つが挙げられます。
オイリュトミーは、1人だけで踊るわけではなく、参加しているみんなできれいに見えるように動きます。そのため、周りとテンポを合わせたり動きを見るようになります。個別での学習が多いシュタイナー教育の中でも、協調性を育むための大切な活動の一つになっています。
また、芸術運動と言われるように、言葉を身体表現で立体的に表すなど、芸術的な感性も養うことができます。
そして、オイリュトミーでは、正しくきれいに立つ、正しくきれいに歩く、正しくきれいに動くという動作の仕方を学びます。そのため、正しい姿勢が身につき、美しい動作ができるようになります。
オイリュトミーの種類
オイリュトミーには、子供の教育に用いる教育オイリュトミー、舞踏芸術の一種として行われる芸術オイリュトミー、治療のために用いる治療オイリュトミー、会社やコミュニティで行う社会オイリュトミーがあります。それぞれの特徴をご紹介します。
教育オイリュトミー
教育オイリュトミーは初等教育から始まり、高校生までが学ぶオイリュトミーです。幼児や低学年の頃には、メルヘンチックな内容が選ばれますが、学年が上がるにつれて高度な動きが必要になる音楽作品や文学作品に取り組むようになるのが一般的です。
芸術オイリュトミー
芸術オイリュトミーは、オイリュトミストがソロや集団で行うもので、スイスやオランダ、ドイツ、イギリスには、大規模なオイリュトミストのグループもあります。全国各地でオイリュトミストによるワークショップや舞踏公演が行われています。
治療オイリュトミー
オイリュトミーの動きは、人間の身体の自然な動きに基づいているので、誰でもできるという特徴があります。
治療オイリュトミーの適用される範囲には、急性・慢性の呼吸器・心臓・循環器系の疾患や代謝系の疾患、精神科の領域などがあります。オイリュトミーは、呼吸をすることを非常に大切にするので、呼吸器や循環器系など、人が生きていく上で休まずに動いているもののバランスを整え、本来の生命力を強める効果が期待されています。
社会オイリュトミー
ワークショップなどで行われるオイリュトミーで、参加者で円を作ってボールを転がしたり、歌に合わせて手で輪を作ったり、ゆっくり歩いたり、参加者全員で円を作ってそれを広げたり縮めたりというような活動を行います。