政府が推進するリカレント教育とは?積極的に取り組んでいる大学は? - cocoiro career (ココイロ・キャリア)

政府が設置した「人生100年時代構想会議」は、2007年に生まれた子供の半数が107歳よりも長く生きる可能性があるという研究があることから、長い人生をより充実したものにするためには生涯にわたる学習が必要であると報告しています。

リカレント教育は、生涯学習をする上でのキーワードになる制度です。今回の記事では、リカレント教育の概要と取り組んでいる大学、課題についてご紹介します!

リカレント教育とは?

リカレント教育とは、生涯にわたって教育と就労を交互に受けることを推奨する教育です。人生100年時代と言われる現代において、1つの会社で生涯を過ごすという働き方だけではなく、働きながら学び、スキルや知識をつけていく働き方が求められます。

リカレント教育が提唱されたのは1960年代のヨーロッパです。それが経済開発協力機構で取り上げられ、生涯学習の具体的なあり方として認知されるようになりました。

リカレント(recurrent)とは、本来「周期的に起こること」という意味。学び直し教育や回帰教育と訳されることがあります。妊娠や出産、定年退職などの事情で離職した人も該当します。高等専門学校で知識や理論を深めることや職業訓練などがリカレント教育に該当します。

参考
リカレント教育|BizHint
リカレントエデュケーションとは何?|Weblio辞書

リカレント教育に取り組む大学

文部科学省の資料によると、会社が働く人の学び直すに対し、決して積極的でないことが分かります。

(参照元:リカレント教育|文部科学省,P126

原則認めている会社と原則認めていない会社の割合は同程度で、特に定めていない会社が7割近くに上っています。原則認めていない会社の理由を見ると、半数以上は、本業に支障を来すためというものでした。また、外部教育機関として活用しているのは、民間の教育訓練機関(コンサルティング会社を含む)が多く、大学や大学院、短期大学などの割合は15%程度です。

(参照元:リカレント教育|文部科学省,P127

しかし、リカレント教育に力を入れている大学はいくつもあります。ここでは、その中でも特徴的な取り組みを行っている5つの大学をご紹介します。

放送大学

放送大学は原則的に遠隔授業を行う、日本のリカレント教育の先駆け的な大学です。放送大学は教養学部教養学科という1学部、1学科の単科大学です。コースは、生活と福祉、心理と教育、社会と産業、人間と文化、情報、自然と環境の6つに分かれており、幅広い年代の約9万人が学んでいます。

放送大学で学ぶ学生の割合で一番多いのは会社員で20.6%です。それに次いで、看護師等、定年退職者、公務員・団体職員等、教員、専業主婦と続いていきます。年代別にすると、60代が26%、40代が23%、50代が20%、30代が16%となっており、10代~90代までの幅広い方々が個別に学んでいます。

プログラミングや心理師の資格取得、英語の学び直しなどを目的とした多くの講座が展開されています。

参考
どんな人が学んでいるの?|放送大学

日本女子大学

女性の結婚、出産、介護などのブランクを経て再就職をしたいというニーズに応えているのが日本女子大学です。文部科学省の委託事業として始まり、日本で初めてのリカレント教育課程となっています。

20代~50代の女性が学んでおり、その中でも40代の女性が57.1%を占めています。また、非正規社員の方が44.5%、主婦の方が34.9%、正規社員の方が15.8%となっており、幅広い職種の方が学んでいます。

リカレント教育課程修了生は、教育関係やサービス関係、非営利団体、金融、製造などさまざまな就職先に進んでいます。TOEIC、消費生活アドバイザー、日商簿記3級以上、社会保険労務士、公認内部監査人などの資格を目指している人が多いようです。

参考
リカレント教育課程受講生に関するデータ|日本女子大学

早稲田大学

「何か」を変えたい。そう考える人たちのまなびと交流の場が、早稲田大学が行っているリカレント教育の機関、WASEDA NEOです。

特徴的なのは、パイオニア・コミュニティという自分を作り出す場です。会員になり、会員同士が交流することで、知識がアップデートされ、知識が共有され、つながりが生まれるという学びのコミュニティがあります。

講座は、朝と夕方に時間帯が分かれており、誰でも受講することができます。講座のカテゴリはキャリア、コミュニケーション、テクノロジー、ネットワーキング、マーケティング、リーダーシップなどに分かれています。

参考
トップページ|WASEDA NEO

阪南大学

阪南大学は、2019年度からリカレント教育をスタートさせています。阪南大学のリカレント教育のプログラムは11個のテーマに分かれています。

一般教育 専門的実学教育
情報とメディア 実践ビジネス
人間と文化 スポーツ
歴史と社会 経営
自然と環境 メディア・心理
健康とスポーツ グローバル
観光

リカレント教育|阪南大学 より筆者作成)

1つのテーマに10~40程度の科目が用意されています。また、1つのテーマから6科目以上を履修すると履修証明書が交付されます。

参考
リカレント教育|阪南大学

明治大学

明治大学では、誰でも学ぶことができるリバティアカデミーを開設しています。年間の講座数は400以上、約2万人の学生が学んでいます。入会金3,000円で会員になることができ、会員になれば講座を受講することができます。

講座は、ビジネスプログラム、教養文化講座、資格実務講座、語学プログラム、オープン講座に分かれています。オープン講座は、会員以外でも受講することができる講座。Eラーニングによるメディアでの遠隔講座もあるので、場所を選ばず参加することもできます。

参考
トップページ|明治大学リバティアカデミー