どうして?青少年健全育成基本法の賛成派の意見
青少年健全育成基本法については、法案成立を目指す国会議員や支持者以外にも、複数の地方自治体が賛成を表明しています。現在、地方自治体ではそれぞれ「青少年を有害情報から守る条例」などを制定して対処していますが、その限界性を訴えるところも多数あります。
例として、島根県雲南市議会による意見をご紹介します。
とりわけ地域社会においては、露骨な性描写や残虐シーン等を売り物とする雑誌や有害番組の出現も指摘されている。このような社会の現状を見るとき、青少年の荒廃は、我々大人が「青少年を見守り支援し、時には戒める」という義務を果たさなければならない。
これらの問題に対して、各都道府県の「青少年健全育成条例」等が対処し、一定の効果を挙げてきたが、今日ではその限界性が指摘されている。
(引用元:「青少年健全育成基本法の制定」を求める意見書|島根県雲南市議会)
今、求められているのは、青少年の健全育成に対する基本理念や方針などを明確にし、有害環境から青少年を守るための国や地方公共団体、事業者そして保護者等の責務を明らかにし、これによる一貫性のある、包括的、体系的な法整備である。
(引用元:「青少年健全育成基本法の制定」を求める意見書|島根県雲南市議会)
親御さんの中にも、同様の意見を持つ人もいることでしょう。スマートフォンに突如出るアダルト広告に不快な思いをした人もいるはずです。子供をこれらの有害情報から守るために、国全体での取り組みが必要と考える人は一定数います。
法案成立で考えられる影響は?
法案が成立したら、私たちの生活にどのような影響があるのでしょうか。現在公表されている法案が成立したと仮定して考えてみましょう。
ワンピースやプリキュアも規制の対象に?
ワンピースは登場人物が「海賊」で戦闘シーンがあることを有害と見なされれば、漫画の連載やテレビアニメ放送が禁じられる恐れがあります。未成年の女の子がミニスカート姿で戦うプリキュアも、変身シーンが「児童ポルノ」との指摘を受ければ放映中止になるかもしれません。
海外から指摘を受けたら規制が可能に
改正案には以下の条文が新しく付け加えられました。
第十六条 国は、外国政府又は国際機関との情報の交換その他青少年の健全な育成に関する国際的な相互協力の円滑な推進を図るために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
(引用元:子ども・若者育成支援推進法の一部を改正する法律案|衆議院)
これは、外国から指摘を受けたら速やかに対処することを明言しています。たとえば、外国から日本のゲームが有害だと指摘されたら、海外のみならず、日本国内の流通もストップする可能性があります。
まとめ
現段階ではまだ、青少年健全育成基本法は国会に提出されるか分かっていません。法案の内容もあいまいなことから、世間で広く認知されているとは言いがたいでしょう。子供を有害情報から守るにはどうすればいいのか。誰かに答えを委ねるのではなく、私たち大人がしっかり考えなくてはいけないときが来ているのかもしれません。
参考
子ども・若者育成支援推進法の一部を改正する法律案 新旧対照表|参議院法制局
1 子ども・若者育成支援推進法(平成21年法律第71号)|内閣府
表現規制法と危惧されている青健法が今国会(遅くとも6月中くらい)に提出か?|togetter
家庭教育支援法・青少年健全育成基本法がもたらす「家族」と「教育」(前編)|imidas
【2018/2/21版】山田太郎氏による青少年健全育成基本法の条文解説|「月松橋」活動報告
「マンガの人たち」の信用は地に堕ちている──青少年健全育成基本法案の本当の問題点|exciteニュース
青少年健全育成基本法の制定を求める意見書|茨城県つくばみらい市議会