賛否両論!青少年健全育成基本法の問題点と影響とは? - cocoiro(ココイロ) - Page 2

青少年健全育成基本法の問題点とは?

青少年を有害情報から守る――。親としては「当然」「ぜひ取り組んでほしい」と考える人も多いでしょう。しかし、有識者やインターネット上では、この法案に対して「反対」「問題がある」とする意見が少なくありません。ここでは、青少年健全育成法の問題点について解説していきます。

有害情報の定義があいまい!表現の自由を侵害する?

現在、公表されている法案では、以下のような条文があります。

3 青少年の健全な育成については、青少年の発達段階に応じて必要な配慮がなされなければならず、特に、十八歳未満の青少年に対しては、良好な社会環境の整備が図られるよう配慮されなければならない。

(引用元:子ども・若者育成支援推進法の一部を改正する法律案|衆議院

一見、何の問題もないような文章ですが、この条文が「どのようにも解釈できる」ことが問題視されています。有識者や反対派の政治家はこの文章を「18歳未満の青少年に有害とする判断基準があいまい」「漫画やアニメ、ゲームなどあらゆるものを規制できるのでは?」と危惧しているのです。

どこまでが有害で、どこまでが許容されるのかが明確でないため、漫画家をはじめとするクリエイターたちが自由に表現ができなくなる恐れがあります。漫画、アニメ、ゲーム業界では販売自粛を恐れて、コンテンツの表現を自主的にマイルドなものに変更するかもしれません。作家の意思に反して、表現を変更、制限する可能性があるのです。これは憲法が定める「表現の自由」の侵害に当たりますが、法案では以下のように記されています。

第二十三条 国及び地方公共団体は、青少年にとっての良好な社会環境の整備及び青少年の健全な育成を阻害する行為の防止について必要な措置を講ずる場合には、言論、出版その他の表現の自由を妨げることがないよう配慮しなければならない。

(引用元:子ども・若者育成支援推進法の一部を改正する法律案|衆議院

「表現の自由を妨げてはいけない」ではなく、「配慮しなければならない」とあります。これは「配慮すれば表現の自由を妨げてもいい」と解釈することもできるでしょう。

未成年者の判断能力を奪う危険性

現段階の法案を見る限りでは、「未成年者は判断力が未熟。安全な物しか与えてはいけない」と定めています。確かに未成年者は判断力が未熟です。しかし、判断力というのは年齢を重ねるだけで身につくものとは限りません。判断力はさまざまな物を見て、それが自分にどのような影響をもたらすかを考えたり、保護者や周囲の年長者の意見や様子を見たりして、少しずつ身につけていくのではないか、と反対派はみています。

反対派の多くは有害な情報を一方的に規制するのではなく、子供がインターネットや新聞などの情報を自分で見極める「メディアリテラシー」を身につけられるような教育が必要としています。

子供への支援が減る可能性も

現行の「子ども・若者育成支援推進法」の基本理念は、子供や若者がすこやかに成長できるように、大人がサポートすることです。しかしながら、改正案では基本理念が「大人が子供を健全に育成すること」と、まったく別物に変わっています。基本理念だけでなく、現行法案からは、「子供の権利の保護」「子供の意思を尊重する」「貧困や引きこもりなどの子供への支援」などの条文が削除されています。そのため改正案が成立した場合は、子供への支援が減るのではないかと懸念されているのです。

内容がまったく別物なのに、改正法案扱い!

「青少年健全育成基本法」はすでにある「子ども・若者育成支援推進法」の改正法案として提出される見込みです。新法を提出する場合は、国会で十分に審議されますが、改正法案は短時間で可否が決まります。

2019年に国会に提出された「医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図るための健康保険法等の一部を改正する法律案」(改正法案)を巡って、全国保険医団体連合会は以下のような声明を発表しました。

しかし、「改正法案」の衆議院厚生労働委員会での審議は実質3日間で、十分な審議が尽くされているとは到底言えません。この間も、政府は、いくつもの法律の改定を一括で提案し、わずかな審議時間で採決することを繰り返しており、このような法案提出の仕方が問題であることが厚生労働委員会の審議でも指摘されています。

(引用元:【談話】健康保険法等改正法案は、慎重かつ徹底した審議を|全国保険医団体連合会

現行法の一部ではなく、大部分を変更したものを改正法案として提出することを批判する議員や識者は少なくありません。