初等教育という言葉を聞いたことはありますか。一部の大学ではこの初等教育を専門とするコースがあるため、子供が受験を考えているご家庭もあるかもしれません。
それでは、この初等教育とは何なのか、就学前教育とは違うのかといったことはご存じでしょうか。今回は初等教育について解説します。
もくじ
初等教育の意味とは何?
初等教育とはどのような教育をさすかご存じでしょうか。朝日新聞社などが運営するコトバンクによると、初等教育は以下のように定義されています。
学校教育の初等段階。中等教育,高等教育に対して用いる。初歩的,基礎的な教育。年齢的には主として児童期の教育。通常は国民一般に共通な普通教育であり,義務教育制度のもとに発達した。したがって普通には小学校の教育をさすが,現行法制上は幼稚園の教育をもあわせて初等教育としている。
(引用元:初等教育 | コトバンク)
つまり、主に小学校教育のことを初等教育と呼んでいるのです。
初等教育の役割や目標を知ろう
初等教育とは小学校の教育であると述べました。それでは、この小学校教育な何のために行われているか、ご存じでしょうか。義務教育だから、特に目的を意識していなかったという人も多いかもしれません。
ここでは、まずその目的や役割について見ていきましょう。
小学校教育の役割
小学校の教育の役割は、子供が社会の一員として生きていくために必要な、基礎や基本を習得させることにあります。さらに、小学校教育で学ぶ内容はその後の学校生活や職業生活の基礎となる知識や経験でもあります。小学校教育では、自分の感心や適正、能力、進路などで必要となる基礎能力を習得し、その後の進学先での学習や職業生活、社会生活における基盤を構築する役割も担っています。
つまり子供にとって基礎となる、子供に一番初めに行われる重要な教育こそが小学校教育であるのです。
小学校教育の目標
それでは、小学校の教育にはどのような目標があるのでしょうか。学校教育法第二十一条では8つの目標が掲げられています。
まず初めに掲げられているのが、精神や判断力の育成といった目標です。ここでは社会で生きていくために必要な精神や規範、公正な判断力などを養うことが目的の1つとされています。
一 学校内外における社会的活動を促進し、自主、自律及び協同の精神、規範意識、公正な判断力並びに公共の精神に基づき主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養うこと。
二 学校内外における自然体験活動を促進し、生命及び自然を尊重する精神並びに環境の保全に寄与する態度を養うこと。
(引用元:学校教育法 | 電子政府の総合窓口 e-Gov)
次に掲げられているのが、自国の歴史や伝統、文化などの知識を深めることと、外国の文化を理解し、他国を尊重するといった意識です。これは、グローバル化する社会にとって重要な目標といえるでしょう。
三 我が国と郷土の現状と歴史について、正しい理解に導き、伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する態度を養うとともに、進んで外国の文化の理解を通じて、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと。
(引用元:学校教育法 | 電子政府の総合窓口 e-Gov)
もちろん、社会、国語、算数、理解といった小学校で学ぶ基礎的な教科に関する目標も法律には定められています。
四 家族と家庭の役割、生活に必要な衣、食、住、情報、産業その他の事項について基礎的な理解と技能を養うこと。
五 読書に親しませ、生活に必要な国語を正しく理解し、使用する基礎的な能力を養うこと。
六 生活に必要な数量的な関係を正しく理解し、処理する基礎的な能力を養うこと。
七 生活にかかわる自然現象について、観察及び実験を通じて、科学的に理解し、処理する基礎的な能力を養うこと。
(引用元:学校教育法 | 電子政府の総合窓口 e-Gov)
そして、最後に掲げられているのが、生活習慣や音楽や美術、文芸などの文化的活動や職業に関する知識における目標です。
八 健康、安全で幸福な生活のために必要な習慣を養うとともに、運動を通じて体力を養い、心身の調和的発達を図ること。
九 生活を明るく豊かにする音楽、美術、文芸その他の芸術について基礎的な理解と技能を養うこと。
十 職業についての基礎的な知識と技能、勤労を重んずる態度及び個性に応じて将来の進路を選択する能力を養うこと。
(引用元:学校教育法 | 電子政府の総合窓口 e-Gov)
小学校における教育の目的は、このように、法律で定められているのです。