シティズンシップ教育とは?海外の実例や日本での取り組みについて

少子高齢化社会の中で、若者の社会や政治、経済に対する参画意識を育成していくための「シティズンシップ教育」が注目されています。今回は、シティズンシップ教育の定義や目的、実践例、今後について解説します。

シティズンシップ教育とは

シティズンシップ教育の定義

シティズンシップ教育は、常に変化する社会の中で、子供たちが市民としての役割を将来果たせるように目指す教育のこと。シティズンシップは「市民や市民の権利」を表します。教育内容には、社会的・道徳的責任、コミュニティへの関与、政治的リテラシー、アイデンティティの向上を含んでいます。

日本でシティズンシップ教育が導入された背景には、主に3つの要因があります。

まず、若者が社会参加する意欲の低さ。特に若者の選挙の投票率は、低くなっています。

また、政治、経済領域での理念や概念、情報活用能力が不十分であるのが現状です。政治や経済、現代社会といった領域で、基本的な理念や概念に関わる問題に対する理解度が低くなっています。また、歴史的な学びを自分とつなげて、生き方や体験を考えることも苦手にしています。

最後に、政治や経済の仕組み、働く意義などを学ぶことへの意欲は高い点が特長。政治や経済の学習、働くことについて学ぶことの重要性は理解しているようです。こういった背景から、政治や経済を学ぶことで市民性の獲得を目指すシティズンシップ教育に取り組むようになりました。

シティズンシップ教育の目的

シティズンシップ教育の目的は、社会の中で人間関係を良好に保つため、必要な力を身につけること。シティズンシップ教育は、地域などの社会、政治、生産と消費の経済といった幅広い領域で効果を出せるのが特徴です。

他の教育システムとの違い

シティズンシップ教育と比べられる教育方針としては、「キャリア教育」や「道徳教育」が挙げられます。「キャリア教育」は、子供たちの社会的・職業的自立のため、必要な能力や姿勢を育てることでキャリア発達を目指す教育です。子供のキャリアを中心に据える点で、政治や社会の教育を中心に行うシティズンシップ教育と異なります。

「道徳教育」は、子供が人間としての在り方を自覚して、人生をよく生きるための道徳性を養う教育です。シティズンシップ教育では市民性を育てて、道徳教育では道徳性を育成するものです。

シティズンシップ教育の海外での実例

アメリカでの実例

アメリカでは、1990年代、若者の政治関心の低さを社会問題として指摘されたことをきっかけに、シティズンシップ教育に取り組むようになりました。取り組み自体は州や学校に委ねられます。各州政府や学校、民間団体が協力しながら、シティズンシップ教育を実施しています。例えば、Avalon高校では、学校憲法と生徒議会を導入。生徒の政治参画意識の促進を目指しています。授業のほとんどが、プロジェクトを主に行う学習となっています。「St.Barnard School」では、パブリックアチーブメントを導入しています。これは、問題解決型のプロジェクトによる市民教育で、生徒に社会問題の方法を考えさせています。

参考

シティズンシップ教育とは?海外での事例、日本国内での今後の可能性を解説|Education Career

シティズンシップ教育とは|シティズンシップ教育推進ネット

イギリスでの実例

イギリスでは、1997年ころにシティズンシップ教育を全国共通のカリキュラムとして導入しました。その目的は、若者の政治に対する無関心、投票率の低下の改善を目指したものです。社会の仕組みだけでなく、社会参加に必要なスキルや考え方を学べるのがイギリスのシティズンシップ教育の特徴です。例えば、Preston Monor高校では、犯罪と法遵守の意識を扱うことで、社会への帰属意識、社会認識の力を育成しています。は、シティズンシップ教育の実践できる教員の支援を行う団体「Association for Citizenship Teaching」では、実践事例の普及や研修情報などの提供を実施しています。

参考

シティズンシップ教育とは?海外での事例、日本国内での今後の可能性を解説|Education Career

シティズンシップ教育とは|シティズンシップ教育推進ネット