【体験談】子育てうつを乗り切った対処法
ここでは、実際に子育てうつを乗り切った対処法を体験談とともにご紹介します。
一度すべての子育てを放棄した
ライターでありコラムニストの村橋ゴローさんは、3歳の息子と妻と3人家族。めいっぱいの仕事を抱えながらも、ほとんどの家事と育児も担当する兼業主夫でした。村橋さんの子育てうつの対処法は「一度すべての子育てを放棄する」というものでした。
村橋さんは、仕事が忙しくても家事や育児を妻に頼むという発想がなく、なんとか1人でこなしてきたといいます。しかし、仕事が多忙を極める状況のなかでの家事・育児の負担は、村橋さんを精神的にも体力的にも追い詰め、しまいには子供に対して怒鳴り散らしてストレスを爆発させてしまいます。後悔の念に苛まれ、全てのやる気を失った村橋さんは、妻に宛てて手紙を綴ります。妻からは「色々教えてくれてありがとう。私はいつも通り待っています」 という内容の返信が……。パンクした自分に妻が「ありがとう」と言ってくれたこと、そして一旦逃げることを許し「待っている」と言ってくれたことが村橋さんに安心感を感じることができました。
家事育児を放棄してから1週間が経った頃、だいぶ心が軽くなってきたのが分かり、村橋さんは「子供と遊びたい」と思えるようになるまで回復しました。育児や家事・仕事に行き詰まった状況からいったん距離をおいて休むことで、辛い状況を変えることができたという体験談です。
参考
「子育てやめます」妻に宛てた一通の手紙。ボクはあの時、育児うつになっていた|HUFFPOST
精神科に入院して療養した
2014年に出産したミィさんは産後うつを経験し、精神科に入院して療養することで回復しました。ミィさんが産後うつになってしまった原因と、回復に向かうことになった対処法をご紹介します。
スパルタ授乳指導、産後の眠れない日々によって産後うつに
ミィさんの産後うつのきっかけとなったのが、産院での「完全母乳育児」。その内容は「24時間母子同室・3時間おき、1日8回の授乳を母乳のみで」というものでした。しかし母乳は思うように出ず、産後の疲れが残るなか毎回1時間半かけて授乳をする、という過酷な状況になります。
そして、助産師さんからの「たくさん吸わせて」という言葉や、授乳のために起きていなければならないというプレッシャーから、産後うつの初期症状である「不眠」に繋がってしまいました。
退院後も眠れない日々が続き、さらに「母乳がでなければ母親失格」といった思い込みがミィさんを苦しめます。さらに、眠れないつらさを周囲に言っても、「育児なんてそんなもの」と共感してもらえない辛さもミィさんを追い詰めました。
産後うつの症状は悪化し、最終的には自殺願望にさいなまれるほどに。この段階でミィさんは精神科を受診しました。
精神科に入院して回復に向かう
精神科を受診したところ、「重篤なうつ」と診断され入院します。入院当初は「うつ」と診断されたことがショックでしたが、この入院生活で2つのものを手放せたといいます。
ひとつは、「母親失格」という罪悪感。「育児をできて当たり前のこと。子どもがかわいいと思えない自分は母親失格」という思い込みです。
もうひとつは、「自分のことより育児優先」という思い込み。精神科の先生との対話を重ねるうちに「育児で一番大切なことは母親の心の安定」という心の土台を築くことができました。
そして一時外出の許可が出た日、久々のわが子との対面。生後5ヵ月にして、初めてわが子が「かわいい」と心から思えたそうです。
退院してからもすんなりと育児と向き合えたわけではなかったそうです。メンタルは良くなったり悪くなったりをくり返して、うつは「寛解」(=病気が回復し薬を飲まない状態)までたどり着きました。
(引用元:「わが子が怖い…」母親を苦しめる「産後うつ」のリアル|ダ・ヴィンチニュース)
このように、自分が産後うつであることを認め、専門家のもとで適切な治療を受けることで精神的にも身体的にも改善に向かった、という体験談もあります。
参考
「わが子が怖い…」母親を苦しめる「産後うつ」のリアル|ダ・ヴィンチニュース
終わりに
当記事では、子育てに関するうつの症状や、うつを乗り切る方法を体験談を交えてご紹介しました。「子育て(産後)うつなんて自分がなるわけない」と思いながらも、気づいたらうつ症状が出ていた、というケースも珍しくありません。
気になる症状がある場合は、一人で悩まずに身近な人や専門機関に相談してみましょう。症状によっては回復まで時間がかかることもありますが、しっかりと対策をして治療を続ければ乗り切ることができるでしょう。
参考
うつ病(産後うつ・育児うつ含む)|聖蹟桜ケ丘メンタルクリニック
「産後うつ」を体験した私が伝えたい症状・原因・治療法まとめ|フォトリ