睡眠不足は「学力」や「人格形成」に弊害あり

十分な睡眠時間を確保したいと思っても、親自身が忙しくて夕食が遅くなってしまったり、習い事で家に帰るのが21時になるということもあるでしょう。しかし、子供の睡眠不足は大人の睡眠不足以上に深刻だといわれます。「学力」と「人格形成」に睡眠不足がもたらす影響をご紹介します。
睡眠不足が「学力」にもたらす影響
睡眠不足になると、学校に行っている日中に眠気を感じることになります。つまり学習をしている時間帯に集中力や注意力を欠くことになり、学習している内容が頭に入ってきません。これは、机に向かって学習している内容にとどまらず、体を動かす活動や遊びでも同様です。
日中にせっかく経験したことを、自分の頭で考えたり、自分の物にしたりしづらくなります。場合によっては、学習障害や注意力欠如などの発達障害と捉えられてしまう可能性もあります。
また、睡眠は日中に学んだことや経験したことを定着させる役割もあります。学びを自分の物にするには、十分な睡眠は欠かせません。
睡眠不足が「人格形成」にもたらす影響
睡眠不足が原因でイライラしてしまった経験はありませんか? 大人も子供も同じで、睡眠不足だと感情のコントロールが難しくなりがちです。
小さい子供なら、友達と遊んでいても、順番を待つことができなかったり、意地悪してしまったり、怒りっぽくなってケンカばかりしてしまったり……。ほかにも、何もやる気が起きなくなったり、何をやってもおもしろくなかったりと無気力感に陥る可能性もあります。そうなると、良好な人間関係を築くことが難しくなり、望ましい人格形成ができません。
睡眠時間を確保するために親ができる4つのこと
理想的な睡眠時間や睡眠不足が与える弊害が分かっても、睡眠不足が習慣になってしまうと改善するのは簡単ではありません。そこで、ここでは睡眠時間を確保するために親ができる4つのことをご紹介します。
親が睡眠時間を確保する
日本の伝統的な生活スタイルとして、親と子供が同じ部屋で寝ることが挙げられます。これは、子供の睡眠習慣の形成を助けたり、子供の睡眠習慣を把握したりできるメリットがあります。しかし、親が睡眠時間をきちんと確保できていないと、それがダイレクトに子供に影響してしまいます。
仕事とのバランスにもよりますが、夜にしっかりと寝ることができる働き方であれば、親の睡眠時間を確保することが効果的です。夜型の生活を朝型に変えるのは大変ですが、子供へのメリットを考えると早起きをする価値は十分ありそうです。
日中に体を使った遊びをする
早く寝かせるには、日中に十分すぎるほど体を使って遊ぶのが効果的な方法の1つです。思いっきり運動した後や川や海で遊んだ後、子供はコロッと寝てしまいます。これは極端な例ですが、ほどよい体の疲労感は自然に睡眠へと誘ってくれます。
家の中で遊ぶばかりではなく、外で体を使って遊ぶようにアプローチしてみましょう。体を動かすことは、良い睡眠を可能にするだけでなく、ストレスの発散にもなりますし、食欲を高めることにもつながります。寝かせることに集中するよりも、放っておいても寝てしまうほど体を使うように促してあげましょう!
スマホは部屋に持ち込ませない
小学校高学年や中学生になるとスマートフォンを持たせている家庭も多いと思います。大人もそうですが、YouTubeやLINEなどは、とりとめもなく続けてしまいます。寝室だけでなく、トイレやお風呂場などでも使ってしまっていることもあるはずです。
スマートフォンを持たせることで、メディアを取り扱う力をつけることができます。ただし、まったくルールを設けずにスマートフォンを持たせるのは危険です。スマートフォンをどのように使っていくのか家族できちんと話し合って、最低限のルールを決めるようにしましょう。
寝室に持ち込んで夜遅くまでそれを扱ってしまっているようであれば、スマートフォンを寝室に持ち込まないというルールを作る必要があるでしょう。
ほかにも、人と話をしているときはスマートフォンを操作しないことや、ゲームで課金をしないことなど、スマートフォンを実際に使いながら、「どうしてダメなのか」「どうしてルールが必要なのか」を納得がいくまで話し合うことをおすすめします。スマートフォンに支配されるのではなく、スマートフォンを使いこなせるようにサポートしてあげてください。
部屋の電気を消す
スマートフォンを寝室に持ち込ませないのは、液晶画面が放っている光が脳を刺激してしまうという理由もあります。
人の睡眠と覚醒のメカニズムは、24時間よりも少しだけ長くなっています。体内時計の微調整は、朝太陽の光を浴びることで行われています。しかし、夜に光を浴びてしまうと脳が覚醒してしまい、睡眠を妨げます。したがって、部屋の電気を消して暗い状況をつくり出してあげましょう。そうすることで、睡眠を助けるメラトニンというホルモンが妨げられることなく分泌されます。
まとめ
子供の睡眠時間は、大人以上に成長や精神状態に影響を与えるといわれています。体や人格の形成段階である子供だからこそ、将来を見据えて睡眠時間を大切にしたいものです。親のできるサポートとして、まずは親を中心とした家族の生活習慣を振り返ることから始めてみてはいかがでしょうか?
参考
「成績のよい子」は、だいたい何時に寝るのか|東洋経済オンライン
子どもの睡眠|e-ヘルスネット
子供の「理想的な睡眠時間」は何時間?年齢別の平均と、プロが教える睡眠不足の原因、改善テクニック|HugKum
当てはまったら要注意!睡眠不足な子どもが出しているサインとは?|こどもまなび☆ラボ
理想の睡眠時間で子供の成長の手助けを|睡眠屋
睡眠不足や睡眠障害、子どもへの大きな影響|e-ヘルスネット
未就学児の睡眠指針|厚生労働科学研究費補助金 未就学児の睡眠・情報通信機器使用研究班