『博士の愛した数式』の読書感想文を書くときのポイントとあらすじ - cocoiro(ココイロ) - Page 2

【例文】大学4年生の読書感想文

次に、『博士の愛した数式』を読んだ大学4年生の読書感想文をご紹介します。ポイントは、あらすじをバランス良く盛り込みながら、自分が感じたことや考えを書いていくことです。

読書感想文の紹介

筑紫女学園大学附属図書館の読書感想文コンクール入賞作品です。「博士の愛した数式」というタイトルの読書感想文です。

それによると、読書感想文の構成は大きく4つに分かれています。最初は、物語のあらすじを盛り込みながら物語全体の印象を書いています。それから物語のあらすじを盛り込み、博士の行動から、博士の正確や人間性についてを書いています。その後、「自分が博士だったら」「自分が私やルートだったら」というように自分と置き換えて、登場人物の気持ちについて考えたことを書いています。最後に「記憶」というものの大切さや、それに負けない人の愛や思いやりについて触れました。

この読書感想文全体として、3人の絆や思いやりを感じさせる作品になっていること、3人が特別な関係にあると読者に想像させるような内容になっています。

真似したくなるポイント解説

あらすじをうつしただけでは読書感想文にはなりません。読書感想文を書くには、その作品を読んで感じたことや考えたことをどううまく読者に伝えるかが大切です。

今回参考にしている読書感想文は、「作品全体の印象」と「自分の感じたこと」がきちんと書かれており、この読書感想文を書いた人が『博士の愛した数式』の世界に入って作品を読んでいたのだという印象を読者に与えるような文章になっています。まず最初の場面では、あらすじの後に

何か大きな事件が起こるわけでもなく静かなのだが、どこかテンポがあり、引き込まれていく話である。

(引用先:読書感想文コンクール入賞作品|筑紫女学園大学附属図書館

このように、「作品全体の印象」を読書感想文の読者にうまく伝えています。この文章だけで、「穏やかで人間性のあふれる作品だ」ということが分かります。

また、「自分の感じたこと」を次のように述べています。

80分しか記憶が持たないとは、どういった気持ちなのだろう?

そんな不安定な状態で生活していくことは、どんな気持ちなのだろう?

外に出ることが怖くなり、人との関わりは無くなるものなのだろうか?

(引用先:読書感想文コンクール入賞作品|筑紫女学園大学附属図書館

たとえ自分が感じたことや考えたことに対して答えが出ていなくても、素直に感じたことや考えたことを書いています。そうすることで、多くのことを考えながら『博士の愛した数式』を読んでいたのだということが伝わってきます。

最後に、この作品を読んで気づかされたことを以下のようにまとめています。

この 3 人には目には見えぬような何か通じ合っているものが確実にあることが感じられた。それは、数学という1つものを共有しあう喜び、記憶の有無の存在を忘れさせるようなお互いがお互いを思いやる心が溢れているからだろう。それは、いずれも人間同士にしか築き上げることができない素晴らしい特権である。

(引用先:読書感想文コンクール入賞作品|筑紫女学園大学附属図書館

作品のイメージや特徴を、あらすじを交えながらうまく伝え、ところどころに自分の考えや感じたことを書いています。全部を感想で埋め尽くすのではなく、この読書感想文のようにところどころにあらすじを盛り込むことで、読書感想文を書く側にとって負担が少なく、読者に内容が伝わりやすい仕上がりにすることができます。

『博士の愛した数式』の読書感想文を書くときの3つのポイント

読書感想文には、自分の考えを書くことが大切です。作品を読んでいるときに印象に残った場面や台詞と、その時の自分の気持ちを書くだけでも立派な読書感想文になります。それに加えて、作品のテーマや作者が伝えたいであろうことに焦点を当てて感想を書くこと、さらに書き出しの工夫などをすれば、より良い読書感想文を書くことができます。

「記憶」に対する自分の考えを書く

『博士の愛した数式』では、「記憶」について考えさせられる場面が多くあります。博士の台詞や行動から、普段当たり前にしている「記憶」が博士にとっては当たり前ではないこと、「記憶」に左右されない博士の愛情や人間味あふれる姿を見て改めて考えたことや、気づかされたことを書くといいでしょう。

自分を一番投影させた登場人物について書く

『博士の愛した数式』では、「私」「博士」「ルート」の3人を中心に話が展開していきます。この3人の中で、一番自分に重なる登場人物や、自分に置き換えやすい登場人物について書くこともおすすめです。「自分だったらこんな気持ちになる」「自分だったらこんな言動をする」また「自分もこのような言動をしたと思う」など、登場人物の気持ちになって読書感想文を書くと、より深い内容になります。

書き出しを工夫する

読書感想文の書き出しで、書き出しが読者の興味を引き付けるか否かが決まります。読者の興味を引くような、自分が興味を持った場面のあらすじから書き出したり、自分や読者への問いかけから書き出したりするなど、いつもの書き出しに一文加えて書いてみましょう。

まとめ

『博士の愛した数式』は、人の温かみや絆が描かれた作品です。ほとんどの場面が博士の家で展開されていき、場面が多く切り替わることがありません。だからこそ、読者に深い考えや感動をもたらしてくれます。映画化もされている作品ですので、本だけでは内容がよくつかめなかったときは、映画を観て内容をつかむこともできます。ぜひ『博士の愛した数式』について子供と語りながら、一緒に考えを深めていってあげてください。

参考

読書感想文コンクール入賞作品|筑紫女学園大学附属図書館

読書感想文「博士の愛した数式(小川洋子)」|感想ライブラリー

「博士の愛した数式」読書感想文の書き方の例文2000字|読書感想文 コピペ可能 例文集(小学校・中学校・高校)

この記事をかいた人

katsu

オランダの小学校で教員になるために、オランダに移住した元小学校教員。「ひとりひとり違った形や色があって、それがいい」と考え、イエナプランを取り入れた学級づくりや授業づくりに取り組む。ファーストキャリアは旅行会社!「教育」と「旅」をライフワークに、フリーライターとして活動中。Twitterで毎日オランダの教育ニュースを発信中!
Twitterアカウントはこちら