子育て期の手当・助成金②:高校生~大学生
次に、教育費のかさむ高校生から大学生の時期に利用できる制度を見ていきましょう。
高等学校等就学支援金制度:高校の授業料に利用できる
国公私立問わず高校に通う生徒には、授業料に充てるための就学支援金が支給されます。
給付対象
受給には、以下の要件を全部満たす必要があります。
<在学要件>
・高等学校(全日制、定時制、通信制) ※専攻科・別科を除く ・中等教育学校の後期課程 ※専攻科・別科を除く ・特別支援学校の高等部 ・高等専門学校(第一学年から第三学年まで) ・専修学校の高等課程 ・専修学校の一般課程 ・各種学校(高校入学資格を入所資格とする国家資格者の養成施設、告示で指定した外国人学校) |
<在住要件>
・日本国内に住所を有する |
<所得要件>
・保護者等の市町村民税所得割額と道府県民税所得割額の合算額が50万7,000円未満
(※モデル世帯で年収約910万円未満) |
手続き方法
原則として、入学時の4月に以下の書類を学校等に提出します。
<マイナンバーで所得要件を確認する場合>
・受給資格認定申請書(学校を通じて配布) ・マイナンバーカードの写し等 |
<課税証明書等で所得要件を確認する場合>
・受給資格認定申請書(学校を通じて配布) ・市町村民税所得割額・道府県民税所得割額が確認できるもの(市町村民税税額決定通知、納税通知書、課税証明書等) ※毎年6~7月に以下を追加提出 ・収入状況届出書(学校を通じて配布) ・市町村民税所得割額・道府県民税所得割額が確認できるもの |
支給額
支給額は以下の通りです。授業料がこの額に達しない場合は、授業料を上限として支給されます。
限度額(月額) | |
国立高等学校、国立中等教育学校の後期課程 | 9,600円 |
公立高等学校(定時制)、公立中等教育学校の後期課程(定時制) | 2,700円 |
公立高等学校(通信制)、公立中等教育学校の後期課程(通信制) | 520円 |
国立・公立特別支援学校の高等部 | 400円 |
上記以外の支給対象高等学校等 | 9,900円 |
(高等学校等就学支援金制度|文部科学省 より筆者作成)
私立高校の実質無償化:私立高校の授業料に利用できる
上記の就学支援金制度において、2020年4月から、私立高校に通う生徒への支給上限額が引き上げられ、実質無償化が実現します。年収目安が約590万円未満の世帯が対象で、支給上限額は私立高校の平均授業料を勘案した水準となります。引き上げ後の支給額は在校生にも適用されますから、学校に確認してみましょう。
参考
「私立高等学校授業料の実質無償化」について(2020年4月から)|文部科学省
高校生等奨学給付金:授業料以外の教育費に利用できる
授業料以外の教育費負担を軽減するため、高校生がいる低所得世帯を対象に支援する制度です。教科書や教材、学用品の購入、生徒会費、PTA会費、修学旅行費用など、授業料以外の教育費に充てることができます。
給付対象と支給額
国の補助基準は次の通りです。都道府県ごとに制度の詳細は異なりますので、詳しくは都道府県の問い合わせ先に確認してみましょう。
国立・公立高等学校等 | 私立高等学校等 | |
生活保護受給世帯
【全日制等・通信制】 |
3万2,300円(年額) | 5万2,600円(年額) |
非課税世帯
【全日制等】(第一子) |
8万2,700円 (年額) | 9万8,500円(年額) |
非課税世帯
【全日制等】(第二子以降) |
12万9,700円 (年額) | 13万8,000円(年額) |
非課税世帯【通信制】 | 3万6,500円 (年額) | 3万8,100円(年額) |
(高校生等奨学給付金|文部科学省 より筆者作成)
高等教育の無償化:大学の学費や生活費に利用できる
大学など高等教育の無償化が、2020年4月1日からスタートします。
対象
高等教育無償化の対象となるのは、次のような要件を満たす学生たちです。
・大学、短期大学、高等専門学校、専門学校の学生 ・住民税非課税世帯の学生 ・年収300万円未満の世帯については住民税非課税世帯の3分の2、年収 300万円から年収 380万円未満の世帯については3分の1の額で支援 |
このほか、学生本人には学業成績、大学など学校に対しては教育体制・財務状況などについて、いくつかの要件が課されます。
無償化の額
無償化される学費は次の通りです。
<授業料等減免>
大学 | 短期大学 | 高等専門学校 | 専門学校 | |
授業料 | ||||
国公立 | 約54万円 | 約39万円 | 約23万円 | 約17万円 |
私立 | 約70万円 | 約62万円 | 約70万円 | 約59万円 |
入学金 | ||||
国公立 | 約28万円 | 約17万円 | 約8万円 | 約7万円 |
私立 | 約26万円 | 約25万円 | 約13万円 | 約16万円 |
(上限額)
<給付型奨学金>
国公立(大学・短大・専門学校) | 私立(大学・短大・専門学校) | |
自宅生 | 約35万円 | 約46万円 |
自宅外生 | 約80万円 | 約91万円 |
(年額)
(文部科学省『高等教育無償化の制度の具体化に向けた方針の概要』 より筆者作成)
自治体独自の補助制度もチェック
ここまでに紹介した制度のほか、自治体では独自に、子育て世帯に対する手当や子育て費用の補助、住宅費用の補助などを設けています。現住所の市区町村ホームページなどでチェックしてみましょう。
参考
【2018年度版自治体支援制度】子育て|ニッポン移住・交流ナビJOIN
まとめ
ここでご紹介した制度のほとんどは、手続き窓口が現住所の自治体となっています。また進む少子化や人口減少への危機感から、自治体はそれぞれに、独自の支援制度の工夫と充実を図っています。まずは地元自治体がどのような制度を備えているのか、ホームページなどでチェックしましょう。知らないままスルーしてしまうのはもったいないこと。使える制度をしっかり活用し、子育て期の経済負担を乗り切りましょう。
参考
内閣府『平成21年度インターネットによる子育て費用に関する調査』
平成30年度「乳幼児等に係る医療費の援助についての調査」について|厚生労働省
平成30年12月28日関係閣僚合意『幼児教育・高等教育無償化の制度の具体化に向けた方針』
高校生等への修学支援|文部科学省
文部科学省『高等教育無償化の制度の具体化に向けた方針の概要』