子供がたんこぶを作ったときの対処
患部を冷やす
対処法は、氷水を入れた袋や保冷剤を当てて冷やすこと。直に肌に当てると冷えすぎるため、タオルや布にくるみましょう。皮下血腫は、少しずつ周りに広がるため、出血がひどくなるように見えるかもしれません。また、時間経過とともに黒褐色から黄色へと変わり、やがて元に戻りますが、完全に治るまで数週間を要することも。
一方で、「患部を温める」「患部を無理に動かす」といった処置は誤りです。患部を温めると、出血を促してしまいます。まずは冷やして出血を止めましょう。また、打撲の度合いが強い場合には、無理に患部を動かしてはなりません。必ず安静にして、症状が落ち着くまで待ちましょう。
緊急時には救急車を利用
頭部の外傷により出血を伴う場合には、早めにお医者さんにかかりましょう。タオルなどで患部を圧迫して出血をおさえましょう。
万が一、「頭痛が強くなる」「嘔吐を繰り返す」「意識がもうろうとする」「歩行時にふらつく」といった症状を確認したら、至急医療機関を受診しましょう。皮膚だけでなく、頭蓋骨や脳へダメージを与えている恐れもあります。これらの症状は、打撲や転倒から期間が経って現れる可能性もあり注意が必要です。
重症化した場合
強い力が加わり頭蓋骨が折れることを「頭蓋骨骨折」と呼びます。ひび割れる骨折の「線状骨折」から、頭蓋骨が割れ内側にめり込む「陥没骨折」まで、程度もさまざまです。頭蓋骨骨折では入院治療し、陥没骨折の場合は手術を行います。
また、頭蓋骨の下にある「硬膜」は、脳を包んで保護しています。頭蓋骨や硬膜にとどまらず、脳に直接ダメージを与えてしまう「頭蓋骨損傷」に最も注意せねばなりません。交通事故や転落事故などで、大きな力が頭部に加わった場合には、頭蓋骨損傷に至る恐れもあります。
たんこぶにまつわるうんちく
たんこぶを使ったことわざ
「目の上のたんこぶ」とは、「立場や地位が自分よりも上で、目障りでうっとうしい存在」を意味します。つまり、職場などで先輩や上司といった自分の言動を妨げる人たちのことをいいます。職場や学校、部活などで、「この人がいるとやりづらい」といった先輩や上司がいるなら、「目の上のたんこぶ」と表現できます。
基本的に、先輩や上司を対象に使われますが、同僚や後輩であっても、「成績や評価、実力が自分より高い人」や「同等のライバル」も対象に使われます。
使い方としては、「私の言動に対して一々小言を言ってくる上司は、まさに目の上のたんこぶだ」「後輩たちから『目の上のたんこぶ』と揶揄されないように、敬意を持って接している」などが挙げられます。
たんこぶにちなんだ物語
たんこぶに関係する日本文化は、ことわざだけではありません。たんこぶに関わる日本昔ばなしといえば、「こぶとりじいさん」が有名です。
あらすじは以下です。
顔に大きなこぶのある、のんきなお爺さんと心の狭いお爺さんがいた。
のんきなお爺さんが森に木を切りに行くと、突然雨が降ってきたので木のうろで雨宿りをすることにした。いつのまにか眠ってしまい、目が覚めると鬼たちが楽しそうに踊っていた。
お爺さんもついつい鬼たちの輪の中に入っていってしまった。お爺さんの踊りを気に入った鬼が、また明日も来るように、それまでこれを預かっておくと言って顔のこぶをとってくれた。
あくる日そのことをもう一人のお爺さんに話すと、その爺さんも、さっそくその夜に鬼の踊りの輪の中に飛び込んでいった。しかし陽気なお爺さんと違って、踊りが大嫌いでいやいや踊っていたものだから、鬼たちはすっかりしらけてしまった。
お爺さんはこぶをとってくれと嘆願するが、逆に昨日預かっていたこぶを顔につけられてしまい、両方の頬にこぶをつけて一生を送らなければならなくなってしまった。
（引用元：こぶとり爺さん｜まんが日本昔ばなし）
鬼にこぶを取ってもらったお爺さんと同じように、鬼の前で踊った別のお爺さんでしたが、嫌々踊って逆にこぶが増えてしまうという切ない物語です。「物事に嫌々取り組んでもプラスはない」「下心や邪な考えを持っていると、かえって痛い目に遭う」といった教訓を教えてくれているのかもしれません。
また、詩人のまど・みちおの作品に「おでこのたんこぶ」というタイトルの詩があります。
「おでこの たんこぶ」
おでこの たんこぶって
へんてこりんだな
自分でころんで つくったのに
むりやり だれかが くれたようだ
サクランボよりも 小さいのに
りんごくらいは ありそうだ
風にあずけて かけていくと
さめさめ さめさめ 風の子がたたく
「へ しけた たいこだな」って
つまらなそうに なさけそうに
（引用元：まど・みちおの表現特性～詩と童謡の表現分析による比較を通して～｜大阪教育大学）
できて痛いたんこぶも、サクランボやりんごに例えられると、痛みもどこかに飛んで行くのでしょうか。たんこぶができて痛がる子供に聞かせてみてもいいかもしれません。
終わりに
「たんこぶ」という名前はやわらかな表現ですが、重症化すると生死に関わる恐れのあるけがです。万が一に備えて対処しましょう。また、たんこぶにまつわる、物語やことわざを子供に教えてあげると、1つ教養を増やすことにもつながるでしょう。参考にしてみてください。
参考
「たんこぶだから大丈夫」は実は大きな勘違いだった！子どもが頭を打った時に確認したい7つのサイン｜exciteニュース
「目の上のたんこぶ」の意味とは？類語と英語も解説（例文付き）｜TRANS.Biz
