電気代を節約したいなら
扇風機の消費電力とエアコンの消費電力
扇風機の使用が有力な節電方法として挙げられるのは、エアコンの電気代が高いからでしょう。エアコンの電気代が高いのは、冷媒の状態変化を起こすのに高い圧力を必要とし、大量の電力を使うからです。どれくらい電力を使うかの目安としては消費電力を見るのが一般的ですが、エアコンの場合は「期間消費電力量(kWh)」という指標が使われています。
期間消費電力量は、外気温やエアコンの設定温度、使用する時間、使用する住宅や部屋などに一定の条件を設定して、年間を通じて暖房と冷房を使った場合、1年でどのくらい電力を消費するかを試算した値です。2018年製の代表的な機種では、820kWhという平均値が出ています。
一方扇風機の消費電力は、性能や風量によりますが、1W強~50W前後くらいにとどまります。電力量はこれに使用時間をかけた値ですが、1日中つけるとは考えにくいですし夏の時期しか使いませんから、それほど大きな値にはならないでしょう。扇風機の節電効果は高そうです。
参考
JFEエンジニアリング株式会社『水和物スラリ蓄熱空調-システムエアコンはどうして冷えるの?』
家庭用エアコン 期間消費電力量を省エネ性のめやすにお選びください|一般社団法人日本冷凍空調工業会)
WとkWhの違いとは?おぼえると便利な電力量の単位|エネチェンジ
家庭用エアコン 気になる消費電力量は…|一般社団法人日本冷凍空調工業会
エアコンをこまめに消すのは節電にならない
エアコン使用時の節電方法として、こまめに消すという方法はどうなのでしょうか。実は、これは逆効果です。
東日本大震災の直後、国内で節電の機運が高まった2011年、財団法人電力中央研究所システム技術研究所が節電に関する調査結果を発表しました。それによると、エアコンの間欠運転と連続運転を比較すると、170分動かした際の積算電力量は連続運転の方が約3割少ない結果となったのです。
参考
電力中央研究所 システム技術研究所(2011年)『エアコンの間欠運転と連続運転の節電効果比較』
エアコンと扇風機の使い分けがおすすめ
震災後に行われた別の調査では、扇風機の使用頻度と冷房費には関係がないことも分かりました。扇風機の使用が増えても冷房費が特に減らないのは、エアコン使用時にも扇風機が同程度に使われていたからであろうと推測されています。
扇風機とエアコンの同時併用で節電しようとしても、結局はエアコンの電力消費に打ち消されてしまうのだと考えられる結果でしょう。この調査からは、設定温度を高くすると冷房費が抑制されることも分かりました。
電気代を節約するなら、エアコンと扇風機は同時に使うのではなく使い分けること、こまめに交替で使用するよりも、暑い時間帯はエアコン連続稼働でしっかり冷やし別の時間帯は扇風機に切り替えるなど、めりはりをつけた使い分けが有効だと言えそうです。
参考
林小勇ら(2016年)『震災後の節電下における家庭の冷房使用の意識と実態』日本建築学会環境系論文集 Vol.81, No.727, PP.785-794)
まとめ
扇風機に保冷剤を取り付けても、エアコン並みの涼しさをもたらしてくれるわけではありません。体に当たる風が少し冷たくなったかな、という程度の涼しさだと思っておきましょう。とはいえ節電の観点からは、エアコンの使い方の工夫と扇風機の活用も重要です。
扇風機を使っていて、どうしても体感温度が下がらずつらいと感じられるときは、保冷剤を使うか検討してみればいいのではないでしょうか。必要な冷房はしっかり行い、夏を乗り切りましょう!
参考
JFEエンジニアリング株式会社『水和物スラリ蓄熱空調-システムエアコンはどうして冷えるの?』
電力中央研究所 システム技術研究所(2011年)『エアコンの間欠運転と連続運転の節電効果比較』
林小勇ら(2016年)『震災後の節電下における家庭の冷房使用の意識と実態』日本建築学会環境系論文集 Vol.81, No.727, PP.785-794
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