リンデロンがニキビの治療薬には向かない理由
日本皮膚科学会が2017年に記したニキビの治療のガイドラインは、軽症のニキビに対してリンデロンなどのステロイド剤の使用を推奨していません。
炎症性皮疹に,ステロイド外用を推奨しない.
(引用元:尋常性痤瘡治療ガイドライン2017|日本皮膚科学会ガイドライン,P1273 CQ10:炎症性皮疹にステロイド外用は有効か?)
リンデロンは炎症をおさえる効果があるため、ニキビが治ると思い込んでいる人が少なからずいますが、ニキビの治療薬に向かないばかりか、ニキビを悪化させる場合があります。リンデロンがニキビの治療薬として推奨されていない理由は3つあります。
理由1:ニキビの原因菌には効果がない
日本皮膚科学会のガイドラインでは、ステロイド剤を塗ってもニキビを治せないと明記しています。
痤瘡にステロイド外用を行った海外のRCT49)~51)によると,ステロイド含有外用薬と基剤に統計学的有意差はなく,ステロイド外用により皮疹が改善したとするエビデンスはない.したがって,ステロイド外用が痤瘡に有用とする根拠はない.
(引用元:尋常性痤瘡治療ガイドライン2017|日本皮膚科学会ガイドライン,P1273 CQ10:炎症性皮疹にステロイド外用は有効か?)
皮膚の周辺には善玉菌や悪玉菌などが生息しているのですが、悪玉菌の1つであるアクネ菌がニキビを引き起こす原因になります。リンデロンはアクネ菌には効果がありませんので、使っても意味がありません。
理由2:免疫力を弱めてしまう
日本皮膚科学会のガイドラインでは、ステロイド剤の使用はニキビができる原因になると明記しています。
ステロイド外用薬は,一時的に炎症を止める効果が期待されるが,ステロイド外用薬が痤瘡を誘発することはよく知られており
(引用元:尋常性痤瘡治療ガイドライン2017|日本皮膚科学会ガイドライン,P1273 CQ10:炎症性皮疹にステロイド外用は有効か?)
では、なぜステロイド剤を塗ると、ニキビができるのでしょう。ニキビケアのプロアクティブではステロイド剤の使用とニキビの関係について以下のように述べています。
ステロイド剤は免疫抑制作用があるため、ニキビの原因菌に対する抵抗力が弱まる。
(引用元:ニキビ治療にステロイドは有効か?|ニキビケアのプロアクティブ)
つまり、ニキビの原因菌であるアクネ菌に対する皮膚の免疫力が弱まってしまうので、逆にニキビの症状が出る原因になるのです。
理由3:長期使用に向かない
日本皮膚科学会のガイドラインでは、ステロイド剤の長期使用を危惧しています。
長期間のステロイド外用は,その他の副作用の点から明らかに好ましくない.
(引用元:尋常性痤瘡治療ガイドライン2017|日本皮膚科学会ガイドライン,P1273 CQ10:炎症性皮疹にステロイド外用は有効か?)
ステロイド剤の長期使用による副作用とはどんな症状なのでしょうか。くすりのしおりにリンデロンを長期使用したときの副作用についての記載があります。
(まぶたに使用したときや、大量または長期にわたり広い範囲に使用したとき)頭痛、目のかすみ、目の痛み、まぶしい[眼圧亢進、緑内障、後嚢白内障]
(引用元:リンデロン-VG軟膏0.12%|くすりのしおり)
また、ステロイド剤の長期使用によるニキビへの影響について、ニキビケアのプロアクティブでは以下にように述べています。
ステロイド剤はホルモン剤の一種であるため、長期に渡って使用することでホルモンバランスが乱れ、皮脂の分泌を促すことにつながりニキビができやすくなる。
(引用元:ニキビ治療にステロイドは有効か?|ニキビケアのプロアクティブ)
さまざまな理由から、ステロイド剤は短期長期にかかわらず、ニキビの治療には向いていないのです。