縄跳びを頑張る子供に親ができること
教える時は動作の反復トレーニングより全体の流れを重視して
ここまで見てきたことを整理して、親が子供に対してできるサポートをまとめてみましょう。1点目は技術的なこと。縄跳びを教える際は、つながった全体の動きの中で腕と足の動作協調を体得させることです。
具体的な指導法としては、豊田泰代氏らの指導法が参考になるでしょう。子供の意識を腕を振り下ろすことに集中させること、ジャンプの前段階としてよりやさしい動作である二歩走りを取り入れてみることの2点がポイントです。
上手くいかない動作を抜き出して、反復練習するようなトレーニングを施してしまいそうになりますが、成功のポイントは動きの統合にあるのですから、部分だけ練習してもそれほど意味がありません。また練習が訓練のようになってしまっては、遊びなのに楽しくないなどと、元も子もないことになってしまうでしょう。
子供の小さな達成を受け止めて自信と挑戦心をサポート
2点目は心理面。遊びであるということ、楽しいということは、最も大事なことです。そして、子供が縄跳びを楽しみ、もっと頑張りたいという気持ちを起こす支えとなるのは、親の承認と肯定です。
できないことを指摘して注意を与えるのではなく、小さなステップでも子供の達成を受け止め、褒めて一緒に喜ぶことが大事。できた! という喜びと、もっと頑張りたい、もっと上手になりたいという気持ちは、どんな時も、より高度なことへ挑戦する原動力です。その自信と挑戦心を支えてあげましょう。
まとめ
子供が縄跳びが上手にできないと、親は心配が先に立って、一生懸命に技術指導をしてしまうかもしれません。しかし子供の運動は、遊びの中で自然に行われることが大切です。おそらく親も長いこと縄跳びをしていないでしょうから、子供と一緒にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。思いもよらなかった楽しさを、親子で発見できるかもしれません。
参考
三井登(2013年)『幼児期の運動遊びにおける指導法の課題』帯広大谷短期大学紀要 No.50
丸山政敏ら(1990年)『教育・保育現場における幼児のなわとびを中心とした段階的学習に関する一試案(第二報告)』日本保育学会大会研究論文集(43)
青野光子(2000年)『幼児のなわとびにおける形態的特徴と指導・援助方法』日本体育学会大会号(51)
佐々木玲子(1992年)『なわとび運動の動作特性と習熟過程』日本体育学会大会号(43B)
豊田泰代ら(2007年)『運動発生に基づく伝承論-幼児の短なわとび運動-』日本体育学会発表資料, 体育方法09-5-K401-7
智原江美(2011年)『幼児期の発育発達からみた運動遊びの考え方』京都光華女子大学短期大学部研究紀要 No.49
木村美千代ら(2007年)『幼児の発達と学びの連続性について-「トベール」を使った短なわとびの実践から-』幼児教育研究 No.13