そうめんとひやむぎの違いは?乾麺の名称は「太さ」で決まる!? - cocoiro(ココイロ)

暑い時期になってくると食卓に上ることが増えてくるのがそうめんやひやむぎです。夏バテで食欲のないときでものどごし良く食べられるそうめんやひやむぎは、夏のランチにピッタリ。スーパーなどへ買い物に行っても目に付くところで販売されています。この2つの麺類ですが、色・形がよく似ていて、何が違うんだろうと感じたことはないでしょうか?

この記事ではそうめんとひやむぎの違いについてご紹介します。れっきとした違いがありますので、ぜひ知識の一つとして参考にしてください。

そうめんとは

そうめんと定められている麺にはどのような定義があるのでしょうか。歴史や製造方法などを詳しくご紹介します。

そうめんの歴史

そうめんの歴史は古く、奈良時代に中国から伝えられ、誕生したとされる「索餅(さくべい)」が元祖だと言われています。索餅はもち米の粉を練って伸ばし、くるくると縄のように巻いた形状のものです。

 

(参照元:mika_hagihara|Instagram)

この索餅は今のそうめんの原型とされていますが、現在とは形が全く異なります。そうめんは形や食べ方がその時代によって大きく変わった食べ物の一つですが、1つだけ変わらないのは「おもてなしの料理」であったということです。

  • 年中行事に作る料理
  • 主人に献上する料理
  • 客人をもてなす料理

このように日ごろの食卓ではなく、特別な日の料理として認識されていました。

鎌倉時代になると本格的なそうめん作りが始まります。その後室町時代になると、寺院の間食として広まるようになり、このころから「素麺」「索麺」という文字が使われるようになったと言われています。

  • そうめん椀
  • だし椀
  • 調味料・漬物(からし・こしょう・梅干しなど)

この3つが一つの膳として親しまれるようになってきました。室町時代には現在のそうめんの製法や調理方法が徐々に確立されたと言われていますが、決して庶民の食べ物としてではなく、宮中や寺院などで宴会の食べ物として扱われていました。

江戸時代に入り、1750年ごろになると、ようやく庶民にもそうめんが広がるようになってきます。お伊勢参りの宿場町として栄えていた「三輪」のそうめんが有名となり、全国各地にそうめん作りが広まったといわれています。

その後1804年からの文化時代に、揖保郡神岡村に住んでいた森村忠右衛門という人物が阪神地域からそうめんの製法を持ち帰り、そうめんと言えば播州と言われるようになるまで発展を遂げたとされています。

そうめんの製造方法

そうめんには機械で製造した機械麺と、職人の手によって作られる手延べ麺に分類されます。手延べのそうめんは2日間という時間をかけ、多くの工程を経て出来上がります。

  1. こね前:水・小麦粉・食塩を混ぜてそうめんの生地を作る
  2. 板切①:幅10センチ・厚さ5センチほどの「麺帯(めんたい)」を作り「採桶(さいとう)」と呼ばれる桶に巻き込む
  3. 板切②:麺帯を数本合わせて1本にする工程を繰り返す
  4. 小より:麺帯からさらに細い「麺紐(めんひも)」にして3回の熟成を行う
  5. 掛巻:麺紐を「掛巻機(かけばき)」という機械に通し「縒(よ)り」をかけて4回目の熟成を行う
  6. 小引き:熟成された麺紐を50センチほどに引き延ばし道具を使いながら「小引き」という作業を行う。
  7. 熟成:12時間ほどかけて5回目の熟成をじっくりと行う。
  8. 小分け:麺紐を1.4mほどまで引き延ばす
  9. 門干し:さらに1.6mから2mへと徐々に引き延ばしていく
  10. 乾燥:均一に乾燥させ麺水分を13%ほどに乾燥させる

その後そうめんは19cmの長さにカットされ、箱詰めされて出荷となります。職人さんが時間と手間をかけたそうめんの製造方法には驚かされるものがあります。

ひやむぎとは

そうめんとよく似ているひやむぎ。何かそうめんとの明確な違いはあるのでしょうか?

ひやむぎの歴史

ひやむぎはそうめんと同じ奈良時代に中国から伝わったとされています。「小麦粉だけの、麺棒と案、包丁で作る切り麦」と表現され、うどんやひやむぎがこれに当たると言われています。

元禄10年(1697年)の本草書『本朝食鑑』では、うどんは寒い時期のものであり、ひやむぎは暑い時期に良い との内容で書かれており、この時代にはうどんとひやむぎの季節による食べ分けが定着していたと推測される。

(引用元:ひやむぎ|Wikipedia

とあります。うどんは熱い状態で食べるために太さを増し、ひやむぎはより冷たい状態で食べるために細くなっていったという説があります。

ひやむぎの製造方法

ひやむぎの原料はそうめんと違いがありません。ただ手作業で行うそうめんには途中で表面が乾いてしまわないよう、油分を使用しているものがほとんどです。ひやむぎにはこの油分が含まれていないため、若干味に違いがあるとされています。

小麦粉に食塩と水を混ぜてよく練った生地を、帯状に細く切り乾燥させるという製法もそうめんの機械麺とほぼ同じです。