学力は遺伝する?親ができる学習環境の作り方とは

子供の教育で気になるのが「遺伝と学力の関係」。環境を整えてあげれば学力が上がるのか、それとも遺伝である程度決まってしまうのか、親としては気になるでしょう。今回は学力がどれくらい遺伝するのかと、親が子供にできる学習環境の作り方をご紹介します。

学力はどのくらい遺伝する?

学力はどの程度、子供に遺伝するのでしょうか。まずは詳しく見ていきましょう。

行動遺伝学とは

遺伝について考えるとき、参考にしたいのが「行動遺伝学」。行動遺伝学は、遺伝と環境が知能や性格などにどれだけ影響するかを研究する学問です。

その中でも主要な「双生児法」では、100%同じ遺伝子を持つ一卵性双生児と、50%の遺伝子をもつ二卵性双生児(つまり兄弟姉妹と同じ)を比較します。

共に同じ家庭で育った場合、二卵性と比べて一卵性の方が似ていた分だけ、遺伝の影響だと推測できます。この研究法を使って、学力や知能がどれほど遺伝するのかが分かってきました。

学力・知能の遺伝率

それでは、学力と知能の遺伝率について、具体的に見てみましょう。参考にするのは、2017年に発表された慶應義塾大学の安藤寿康氏の論文「行動の遺伝学-ふたご研究のエビデンス」にある「Figure 4. さまざまな心理的形質における遺伝・共有環境・非共有環境の相対的寄与率」の図表です。

(参照元:行動の遺伝学-ふたご研究のエビデンスから|安藤寿康,P109

ここでは「遺伝」、「共有環境」(家庭)、「非共有関係」(学校など家庭以外の環境)に分け、それぞれどの程度影響するかが表されています。

この表を見ると「学業成績(日本・小学生)」で「遺伝」は国語や社会は約5割、算数は約3割、理科で約4割。「学業成績(アメリカ・高校生)」になると4教科とも約4割になります。「才能」でみると「数学」は約9割、「執筆」は約8割でした。

教科によってバラつきがあるものの、遺伝による部分が大きいというイメージを持たれた方も多いでしょう。

一方で、注目したいのがそれぞれ「共有環境」「非共有環境」の割合も大きい点です。特に小学生では「共有環境」が、高校生では「非共有環境」の割合が多く見られます。

学力については、遺伝のみとは言い切れません。遺伝があるから自然と勉強ができるわけではなく、家庭や塾で「学習環境と学習習慣」を整えてあげることが大切なポイントとなります。

特に小さなころは家庭で学習環境や学習習慣を作り、年齢を重ねてくれば学校や塾といった環境を整えましょう。

母親の学力が遺伝するってホント?

遺伝については、母親の学力の方が遺伝するという説もあります。

賛成意見

母親の学力の方が遺伝すると話題になったのは、2017年度の「学力調査を活用した専門的な課題分析に関する調査研究」 にある「保護者に対する調査の結果と学力等との関係の専門的な分析に関する調査研究」(国立大学法人お茶の水女子大学)報告書

報告書内の図表2‐2「『父親の最終学歴』と学力の関係」と図表2-3「『母親の最終学歴』と学力の関係」を比べてみます。

たとえば中学3年生の国語Bを比較した場合、父親の最終学歴が「高等学校・高等専修学校」で正答率68.8%、「大学」で79.9%で、差は11.1ポイント。母親の最終学歴が「高等学校・高等専修学校」で正答率67.9%、「大学」で82.2%。差は14.3ポイント。つまり父親の学歴に比べて、母親の学歴との関係性の方が3.2ポイント高いということです。

参考
保護者に対する調査の結果と学力等との関係の専門的な分析に関する調査研究|文部科学省,P14

この結果を見る限り、母親の最終学歴の方がポイントが高いため、父親よりも影響している可能性もあります。これに関しては自身の経験や家族、周囲の友達を見て、納得される方もいるでしょうか。

反対意見

一方で、学究社の河端真一社長は、学力はほぼ100%環境に影響されるものだと主張します。

私の教育者としての経験から思うに、その子の能力のうち遺伝的能力が占める割合は、限りなくゼロに近い。つまり、勉強ができる・できないは遺伝や才能ではなく、ほぼ100%環境、すなわち保護者の配慮によって決まると考えています。

(引用元:勉強ができる・できないは、遺伝や才能ではなく○○で決まる。|AERA dot.

勉強については、学校任せにしてしまう親も少なくありません。「いつか本気で勉強するときが来るだろう」「遺伝があるから自然とできるようになるだろう」と思う親もいますが、実際はそうでない場合の方が多いでしょう。

スポーツや芸術と同じく、学力を上げるためにも、親のサポートが必要です。特に学習習慣を作ることと、習慣として持続するための好奇心やモチベーションは欠かせないでしょう。子供の意志を汲むことは大切ですが、すべて子供任せにするのはまた別であり、おすすめできません。

学力を上げるためには、勉強に興味を持ち、習慣的に続け、自ら調べ考えることが必要です。そのためにも親が小さなころからサポートしたり、環境を整えてあげる必要があるでしょう。