世界が注目するフィンランド教育!学力世界一が実現した理由 - cocoiro(ココイロ) - Page 2

フィンランドの教育制度にはどんな特徴がある?

フィンランドの教育に対して日本人の関心は高く、報道や雑誌で取り上げられたり関連する書籍も多く出ていたりします。特に関心を集めているのは「フィンランドが教育に投入する税金の多さ」、「高い質を持つ教師陣」、「学力による競争を廃止し個人に合わせた教育方法」などがあります。日本とはかなり毛色の違うフィンランド教育ですが、実際の内容はどのようになっているのでしょうか?

大学まで学費が無料

フィンランドは過去に大きな危機に見舞われたことがあります。1991年に輸出相手であるソ連が崩壊することで、フィンランドの経済は大きく傾きました。国を立て直す政策として教育に力を注ぐ案が生まれました。教育はよい労働力を作り、それは長期的に国の経済状況を上向きにさせる力となると考え、大きな教育制度改革が行われたのです。
現在フィンランドの学校は99%が公立で、誰もが平等に教育を受けられるシステムが構築されています。ですが、その分税金は高くなり、消費税においては日本の3倍にあたる24%が課せられています。

教員養成に5年間かける

日本では教員免許は、国で定められた4年制の大学を卒業することで取得できます。一方、フィンランドでは大学の学部(3年間)を終了したのち大学院(2年間)へ進み、合計5年間、教育について学ぶことを義務づけられています。ですので、教員には質の高い教育を期待することができ、フィンランドでは医師や弁護士に並ぶステイタスの高い職業とされています。

アクティブ・ラーニング型の授業

学校内の詳しい様子を例にあげます。1クラスはおよそ20名の生徒と教師、アシスタントという構成となっており、授業は能動的な学習形態である「アクティブ・ラーニング型」で進みます。各々が自分に合わせた学習目標に向かって調べ物や作業をおこない、担任やアシスタントは子どもの状況に合わせたフォローの役割をします。教師は学習テーマを決めたり学習方法を教えたりすることが主な仕事で、勉強はあくまでも子ども主体で進めるような体制になっています。子どもはアクティブ・ラーニングを通して学ぶ喜びを体感します。

宿題と授業日数が少ない

教育大国といっても授業時間や日数が長いわけではありません。フィンランドの年間授業日数は、日本より40日少ない190日ほど。これは世界有数の少なさです。宿題も少なく、家庭学習より学校での学びが重視されています。子どもを勉強漬けにするのではなく、たっぷり休息時間を与えることで、より学びへの探求心が養えるのです。

やる気が最重要視

フィンランドの教育現場では、人格に違いがあるように発達の仕方にも個性があるため、各々に合わせた進度で学習を進めることが大切だと考えられています。ですから、競争心理を利用した学習法やテストなど子供のある側面だけを測る評価軸で評価することには否定的であるため、小学生のうちは成績表もありません。幼いうちから自分の考えや思いを見つめさせ、自分の決めた目的のために勉強するということを教えます。また、成績評価は生徒と教師一体で行います。年度初めに自分で決めた目標をどれだけ達成できたかを、自分でもしっかり振り返ることができます。

一人一人に合わせた教育スピード

フィンランドでは中学生でも「留年」があり、学習目標に到達していないと判断された子供は、もう少し時間をかけて学んでいくことになります。一見、辛い処置を受けているようにも見えますが、自分のペースでしっかりと学び取ることのできる環境は、その先も続く子供の人生にとっては必要不可欠なことです。学ぶのがゆっくりな子供には専門の教師がついて特別教育を受けられるなど、手厚いサポートが受けられるのも特徴です。