バレエ『エスメラルダ』のあらすじ・登場人物・鑑賞方法について - cocoiro(ココイロ)

コンクールなどではなじみのあるバレエ作品『エスメラルダ』ですが、意外とストーリーを知らずに踊っている子供も少なくないようです。公演機会が少ない作品ですが、別の方法でストーリーを把握することも可能です。『エスメラルダ』のあらすじや原作・鑑賞方法についてご紹介します。

エスメラルダのあらすじ・登場人物紹介

まずはあらすじ・登場人物をご紹介します。舞台がパリ、主人公がジプシーという物語なので、子供たちには時代背景も含めて新鮮な内容になるかもしれません。

登場人物

まずは登場人物を紹介します。聖職者・軍人だけでなく貧しく虐げられた人々が多く出てくることがこの演目の特徴です。

エスメラルダ:ジプシーの美しい娘。

カジモド:ノートルダム寺院の鐘つき男。体に障害がある「醜い」姿であることが描写される。

フロロ:ノートルダム寺院の聖職者。

フェビュス:パリの衛兵。婚約者がいる。

グランゴワール:詩人。エスメラルダに助けられて恋に落ちる。

グドゥラ:エスメラルダの生き別れの母親。

あらすじ

プロローグ

『エスメラルダ』の舞台は15世紀のパリです。貧富の差は激しく、ノートルダム寺院の周辺は貧民街のような様子になっていました。そこで貧しい女性グドゥラが空腹のあまり行き倒れてしまいます。

通りかかったジプシーたちはグドゥラが死んだものと思います。そして、グドゥラが連れていた赤ん坊を助けようと連れて行きます。しかし、グドゥラはその後に目を覚まし、子供がいないことに気づいて半狂乱になってしまいます。

第1幕

舞台はプロローグから16年後に移ります。美しい娘に成長したエスメラルダは、仲間のジプシーたちと一緒にパリに戻ってきました。正義感の強いエスメラルダは、冤罪で処刑されそうになっていたグランゴワールを助けます。

グランゴワールは恋に落ちますが、エスメラルダを狙っているのは彼だけではありませんでした。ノートルダム寺院の聖職者フロロもエスメラルダを物にしようとしています。フロロに養われている鐘つき男のカジモドも、優しいエスメラルダに恋をしてしまいます。

フロロはあの手この手でエスメラルダに迫りますが、いつも拒絶されてしまいます。とうとうある日、手下のカジモドにエスメラルダを誘拐するように命じます。恩人のフロロに逆らうことができず、カジモドは誘拐を実行します。

しかし、誘拐は失敗に終わりました。カジモドは捕らえられてしまいますが、エスメラルダの嘆願により刑が軽くなります。

エスメラルダの嘆願を受け付けたのは軍人のフェビュス。2人は恋に落ちます。その様子を見てフロロの心の中はさらに険悪になっていきます。

第2幕

フェビュスの婚約パーティへと舞台が変わります。しかし、婚約の相手はエスメラルダではありません。フェビュスにはほかに婚約者がいたのでした。

ジプシーとしてパーティに呼ばれていたエスメラルダは、複雑な思いを抱えながらグランゴワールと踊ります。その様子を見て、フェビュスはますますエスメラルダに惹かれていくことを自覚します。

パーティが終わり、こっそりあいびきするエスメラルダとフェビュス。そこに謎の男が現れ、フェビュスを刺してしまいます。男の正体はフロロでした。カジモドはフロロを止めようと後を追いますが一歩間に合わず、エスメラルダはフェビュス殺害未遂の容疑者として捕らえられてしまいます。

第3幕

牢獄にいるエスメラルダの元にフロロがやってきます。自分のものになるなら無罪にしてやると取引を持ちかけるフロロですが、エスメラルダはそれをきっぱりと断ります。

フェビュスは一命を取り留めますが、エスメラルダが自分を殺そうとしたのだと信じ込んでいます。エスメラルダのことをよく思っていない婚約者とともにエスメラルダを罵倒するフェビュス。仲間のジプシーとカジモドはなんとかエスメラルダを助けようとしますが力及ばず、エスメラルダは処刑されることになってしまいました。

処刑の当日、エスメラルダは自分を探し続けていた実の母グドゥラに出会います。ようやく見つけた娘が死刑になると知ったグドゥラはその場でショック死してしまいます。フェビュスに見放され、実の母を失ったエスメラルダは、茫然自失としたまま処刑されてしまいます。

その様子をノートルダム寺院の塔から見ていたフロロ。嘆き悲しんでいたカジモドは、フロロを壁の外へと突き落とします。