「シンデレラ」という作品を、一度はアニメや映画などで観たことがあるという方も多いのではないでしょうか。シンデレラはバレエの題材としても昔から使われており、あらすじはおおかた同じといわれていますが、実はストーリーにはさまざまなパターンがあるようです。今回はバレエ・シンデレラのあらすじや特徴、おすすめのDVDを紹介します。
もくじ
バレエ作品「シンデレラ」について
カボチャの馬車やガラスの靴など、シンデレラの世界観に憧れる方も多いかもしれません。バレエ作品としてのシンデレラには主に3種類の振り付けがあり、新国立劇場バレエ団をはじめ、世界のバレエ団が上演しています。まずは、シンデレラの原作やバレエのあらすじ、踊りの特徴について紹介します。
原作は童話
日本ではシャルル・ペロー原作のシンデレラが広く知られていますが、ほかにもグリム兄弟の「灰かぶり姫」など、複数のバリエーションがあります。バレエのほかにも、オペラ・ミュージカル・映画・アニメ・絵本などがあり、子供から大人まで世界中の人たちにシンデレラのストーリーが浸透しています。
あらすじについて
シンデレラのあらすじは、言い伝えや作家によって異なりますが、だいたい以下のようなあらすじとなっています。
主人公のシンデレラは、継母とその連れ子の姉たちに日々いじめられながら過ごしています。あるとき城で舞踏会が開かれることになり、姉たちは着飾って出かけていきますが、シンデレラには着て行くドレスがありませんでした。舞踏会に行きたがっているシンデレラのもとに不可思議な力を持った魔法使いが現れ、ドレスとガラスでできた靴、それにカボチャの馬車を与えます。魔法使いは、魔法は午前零時に解けてしまうためそれまでに帰ってくるようにとシンデレラに警告します。
シンデレラは、城での舞踏会で王子に見初められますが、零時の鐘の音とともに急いで城から帰ろうとして階段にガラスの靴を落としてしまいます。王子は、ガラスの靴を手がかりにシンデレラを捜し出し、シンデレラは王子の妃として迎えられます。
アシュトン版
バレエ版のシンデレラには主に3つのタイプがあり、なかでも一番有名なのが振付師であるフレデリック・アシュトンによる、アシュトン版シンデレラです。アシュトン版は最も王道らしいといわれているもので、1894年に初めて上演され、日本でも新国立バレエ団がアシュトン版シンデレラを上演しています。
アシュトン版「シンデレラ」は、1948 年に英国ロイヤル・バレエの前身であるサドラーズ・ウェルズ・バレエによって初演された、イギリス初の全幕バレエ。叙情的なダンスとパントマイムの融合によってイギリスならではのロマンティックな喜劇バレエを創造した。アシュトンの振付の特徴は、ポール・ド・ブラの美しい位置と上半身の柔らかさを保って清らかなラインを見せながら、同時にシャープで素早いフットワークをこなすという独創的なスタ イルである。
(引用元:世界中で愛される永遠のシンデレラ・ストーリーで心温まる舞台体験を。|新国立劇場 オペラパレス)
アシュトン版では、男性ダンサーが義理の姉を演じている点やシンデレラが舞踏会に登場するシーンの迫力などが大きな見どころとなっています。
ヌレエフ版
ルドルフ・ヌレエフによるヌレエフ版シンデレラにはカボチャの馬車や仙女(魔法使い)は登場せず、豪華なオープンカーや映画スタジオなど、シンデレラがハリウッドの世界で一流のスターたちと一緒に踊る姿が描かれます。1930年代のハリウッドは「ハリウッド黄金時代」ともいわれており、華やかなハリウッドの世界を堪能することができます。
女優を目指す女の子が人助けをきっかけにチャンスをつかむというストーリーで、従来のシンデレラのイメージを覆す内容となっています。
参考
「シンデレラ」|NBS 日本舞台芸術振興会 パリ・オペラ座バレエ団
シュペルリ版
ハインツ・シュペルリによるシュペルリ版シンデレラは、主人公がバレリーナという設定になっています。ガラスの靴がバレエのトウシューズになり、継母や義姉にいじめられながら、バレエの振付師によって変身し、世界的なダンサーが主催するパートナー探しの舞踏会に出かけていくというストーリーになっています。チューリッヒバレエ団が上演しており、DVDも発売されています。
参考
チューリッヒ・バレエ団『シンデレラ』がAmazonビデオに登場 | バレエニュースダイジェスト
作曲家はプロコフィエフ
バレエ版シンデレラには、前述の通り主に3つのバージョンがありますが、シンデレラの作曲家として最も知られているのが、セルゲイ・プロコフィエフです。ロシア出身の作曲家で、シンデレラのほかに、バレエ作品では「ロミオとジュリエット」も手掛けています。神秘的で不思議な雰囲気が漂う生演奏とともに上演されるバレエ・シンデレラは、世界中の人々を魅了しています。