子供にも人気の海賊が、バレエの作品になっていることをご存じでしょうか。この記事では公演回数は少ないもののファンも多いバレエ作品『海賊』についてご紹介します。
もくじ
バレエ『海賊』の作品情報
まずは『海賊』の作品情報を紹介します。じつはこの作品は複雑な歴史を経て現代の姿になっています。
楽曲の作曲者・作品番号
『海賊』を作曲したのはフランスの作曲家アドルフ・アダンなどです。なぜ「など」になるかというと、現在残っている『海賊』は、アダンを含めて7人ほどの作曲家が楽曲を付け足し付け足しして内容を膨らませたものだからです。
複数の作曲家が年月をかけて手がけたものであるため、『海賊』単体での作品番号は存在しません。また、バレエとしての『海賊』はアダンの楽曲よりも古くから存在していたことが分かっています。
現在『海賊』を上演するときには「アダン作曲」と表記されますが、このような複雑な歴史を持つ作品だということを知っておくと、作品の見方がまた変わるのではないでしょうか。
参考
谷桃子バレエ団「海賊」全幕 2015年3月21日(土祝)-22日(日)東京文化会館大ホール | 谷桃子バレエ団 ニュース
海賊の音楽について | 知っておきたい名作バレエ
初演
アダン作曲の『海賊』は1856年にパリのオペラ座で初演されました。当時国を挙げてバレエに力を注いでいたロシアにも『海賊』は持ち込まれ、1867年にロシアで上演されています。
このときにすでに新しく楽曲が加えられたことが分かっています。このロシアで上演された1867年版は「プティパ版」と呼ばれ、現在でも『海賊』を上演する際の基準となっているそうです。
参考
原案となった作品
『海賊』はイギリスの詩人ジョージ・ゴードン・バイロンによる同名の作品を翻案したものです。非常に古い訳ですが、岩波文庫から出版されています。
また、さらに古いものですが、抄訳がパブリックドメインとなっていて「バイロン詩集 | PD図書室」から読むことができます。
バレエの『海賊』はバイロンの作品を元にしてはいるものの、ストーリーに大幅な変更を加えています。登場人物の名前は同じですが、来歴などもまったく違っています。