運動会の組体操に賛成?反対?世間の議論と組体操の歴史

運動会の花形競技といえば、小学校高学年が行うことの多い「組体操」ではないでしょうか。日本の運動会の伝統のようになりつつある競技ですが、最近では死亡事故なども起こりその存在自体、賛成派・反対派で議論が交わされています。実際にどのような議論が行われているのかご紹介します。

組体操 反対派の意見

組体操でけが人が多く出ている

2015年度に独立行政法人日本スポーツ振興センターが調査したところによると、体育的行事中の事故災害は、1万3,582件発生しています。学校別に見ると、高校が31.8%、中学校が48.7%、小学校が19.2%でした。種目別に見れば、徒競走が4,961件と多く、次いで騎馬戦などが2,675件となっています。組体操においては、約700件の事故災害が発生しました。件数だけを見れば、徒競走や騎馬戦に比べ少ないですが、重大な事故にもつながっています。

実例も挙げましょう。2014年4月、倒立の練習中に転倒してしまった小学6年生の男の子は、後頭部や背中を強打。脳脊髄液減少症と診断されました。これは、頭部への衝撃により脊髄を保護する膜が傷ついて、髄液が漏れてしまうものです。頭痛や倦怠感に約3年経っても悩まされ、日常生活に影響が残りました。また、組体操による子供の死亡事故も起こっています。そこまでのリスクを冒してでも、子供たちに組体操をさせるべきなのか議論になっているのです。

参考

なぜ教師が子どもを「いじめ」るのか|AERA.dot

(参照元:体育的行事における事故防止事例集|日本スポーツ振興センター

心身の未熟な小中学生への強要

理論上、組体操に危険性がなく、指導者が適切な指導を行えていたとしても、実際に行うのは小中学生です。心身ともに未熟で、特別な訓練を受けた訳でもない一般の小中学生が、教員の指導どおりに動けるとは考えにくいものです。

また、人間ピラミッドを作る際にも、各々の筋肉量や体重を数値化して、負荷が少なくリスクを抑えた配置をするならまだしも、「身長が高いから」「小柄だから」という理由で個別事情を無視して、実践練習をするため危険と常に隣り合わせになっていると危惧されています。

いくら床にマットを敷いていたとしても、ピラミッド自体が崩れれば、下敷きになった子供の身の安全は保障できません。そうであるにもかかわらず、小中学生に人間ピラミッドなどのリスクのある組体操に挑戦させるのは問題だとの指摘があります。

教育効果は薄い

組体操賛成側の意見の中に、「生徒同士の絆を深め、学校行事の伝統を知る」といった教育効果を強調するものがあります。しかし、そういった教育効果に対して異を唱える意見も出ています。

人と人とが力を合わせること自体は否定しません。

(中略)

絆だとか、伝統だとか、エビデンスにもとづいて教育をすべき教師が口にするべきとは思えない情緒的な言葉で、組み体操という悪習を続け、結果として生徒がけがをし、後遺症に苦しんでいらっしゃる。

このようなニュースを読んで、内心忸怩たる思いにとらわれない教育関係者は、失格だと感じます。

(中略)

私は、組体操には、極小の教育効果と理不尽なリスクしか、感じられません。

(引用元:「組体操事故の被害生徒が馳文科相に怒りの手紙」のニュースに思う。|茂木健一郎オフィシャルブログ