お盆とはどんな行事?お盆の意味や歴史、行われている風習をご紹介! - cocoiro(ココイロ) - Page 3

お盆に行われている風習

日本全国で現在も行われているお盆の行事ですが、実はその風習は場所や宗派によって違いがあります。お盆に行われている風習についてご紹介していきます。

全国的な風習

まずは全国的に行われていることが多い風習について解説していきます。

七夕

実は七夕もお盆と同じく宗教的な儀式の1つとされています。七夕はもともと「棚幡」とも表記されるもので、祖先をお迎えするための精霊棚と、その棚に安置してある幡(ばん)をこしらえる日とされているようです。幡をこしらえる作業を7月6日の夕方からしていたため、いつしか「棚幡」が「七夕」となったようです。

お盆期間中に僧侶に読経してもらうことを「棚経参り(たなぎょうまいり)」と言います。これは精霊棚で読むお経が転じ、棚経のようになったとも言われているようです。

迎え火

お盆が始まる8月13日の夕方に、自宅の庭や玄関先などで野火を行います。これを「迎え火」と言います。これは自分の先祖の霊が帰って来る家まで迷わないようにと、明かりを灯してお迎えするという意味があります。先祖の霊を迎え入れたら、家の中の精霊棚や仏壇に先祖が戻ってきて、お盆の期間中は家で家族と一緒に過ごすことになっています。

また地方によっては、男子が数人かかりで持ち上げることができる重さの大きな松明を、それぞれが持って大きく振り回ながら練り歩くような「御招霊(おしょうれい、おしょうらい)」と呼ばれる迎え火もあります。

迎え火をたいた後には、精霊棚や仏壇に様々なお供え物をします。

送り火

祖先をお迎えする「迎え火」があれば、お盆が終わる8月16日に行う「送り火」もあります。送り火は祖先に対して、来年もまたお盆に戻って来てもらえるように、天から自分たちを見守ってもらえるようにとの願いを込めて、送り火同様に野火を行います。そうして祖先をあの世へ送り出すのです。

京都で行われている「五山送り火(ござんのおくりび)」、いわゆる「大文字焼(だいもんじやき)」と呼ばれるものは非常に有名な送り火の一つです。また、火を焚くだけではなく川へ送り出すという風習もあります。「灯籠流し(とうろうながし)」と呼ばれるものが、川で行われる送り火にあ当たります。これらのお盆の行事は観光客などにも人気があり、灯籠流しが行われる地域には多くの人が集まります。

盆踊り

あまり意識せずに夏祭りなどで踊っている人もいるかもしれませんが、実は「盆踊り」もその名のとおり、お盆の風習の一つなのです。地域の夏祭りなどで時期に関係なく実施されていることもありますが、本来はお盆が終わる8月16日の晩に、寺社の境内に老若男女が集まって踊るものを指しています。

盆踊りには、実は複雑な意味が込められています。地獄での受苦を免れた亡者たちが、喜んで踊る状態を模したものが盆踊りだと言われています。祖先が戻った後に、「普通に帰ることができ、地獄の責め苦がなくなった喜び」を送り火とともに盆踊りで示す意味があるようです。

地方ごとの風習

迎え火や送り火、盆踊りなど一度は聞いたことがある風習が多かったのではないでしょうか。続いては、地方ごとに行われているお盆の風習についてご紹介していきます。

精霊馬(しょうりょううま)をつくる

祖先があの世とこの世を行き来するために、地域によっては「精霊船(しょうろうぶね)」や「精霊馬(しょうりょうま)」と呼ばれる祖先の乗り物を作る風習があるようです。

精霊船は、九州の長崎や佐賀の一部地域で行われることがあり、初盆を迎える家族や、地縁組織、自治体などが作って出すことが多いようです。実際に海などに精霊船や供物を流すことは1872年から禁止されているため、船を模したものを作りはしますが、水に浮かべたりはしません。精霊船は担ぎ手によって、海に向かってひかれていくようです。

精霊馬は、きゅうりやナスなどの野菜にマッチ棒や折った割りばしをさして「足」に見立て、馬や牛などの動物を模したものを作ります。きゅうりは足の速い馬に見立てられ「あの世から早くこの世の家に戻って来られるように」、ナスはゆっくりと歩く牛に見立てて「この世からあの世に戻る時にお土産をたくさん積んで、帰るのがゆっくりでも大丈夫なように」という願いをそれぞれ込めて作られているそうです。精霊馬は仏壇や精霊棚の前に飾られることが多いようです。

お供え物にも特色がある

精霊棚や仏壇にお供えする物にも、地方によって特色があるようです。

甲信越や東海地方のあたりでは、静岡市の名物である和菓子・安倍川餅をお供えします。また長野の北部では長野県の名物である「おやき」をお供えするようです。お供え物とは少し異なりますが、長野や新潟の一部地域では送り火や迎え火を行う際に、独特の歌を口ずさみながら先祖の霊を迎えたり送ったりする習慣があるようです。

また九州の長崎では、お墓参りや精霊流しの際に、手持ち花火や爆竹を撃つ風習があります。今ではなくなってしまいましたが、中国・福建の「清道」という風習が元となっているようです。中国のお正月にあたる「春節」ではいまだに行われているため、テレビのニュースなどで見たことがある人もいるかもしれません。

終わりに

日本のお盆について、由来や歴史、どのようなことが行われている行事なのかをご紹介しました。ただお休みが貰える期間なのではなく、「祖先を含めた家族と一緒に過ごす期間」として「お盆」は人々になじんでいるようです。今年のお盆は子供と一緒にふるさとへ帰省して、日本のお盆について子供と一緒に体験してみてはいかがでしょうか。

参考
日本人の楽しみ「お盆」は時空を超えた親族が集まる日々|一般社団法人全国日本語学校連合会
お盆|Wikipedia
お盆とは – 時期とやること、過ごし方、意外と知らない成り立ちと作法|いいお墓
2019年のお盆はいつ?期間・由来・過ごし方や準備・お供え物を解説|Beyond
お盆の墓参りや歴史と由来|石乃家
2018年のお盆はいつですか?お盆期間は?|ここからはじまるエンパーク

この記事をかいた人

フィグ

神奈川県出身。小学生でPCの楽しさに目覚め都内の工業科高校に進学。その後、慶應義塾大学へ。アラビア語やデザイン・プログラミングを勉強中。