PTAを強制しない学校・自治体が増えている
PTAに対して、「気づかぬうちにPTAに入会させられていた」「退会したいと思っても口に出せる雰囲気ではない」といった不満を抱く保護者も少なくないそうです。一方で、PTAを廃止はしないまでも、強制はしないという方針を明確に打ち出す学校や自治体も増えてきています。
完全任意性にした那覇市立識名(しきな)小学校PTA
那覇市立識名小学校では、1年間の「PTAを考える会」としての移行期間を経て、完全任意性のPTAへと組織改革を行いました。支出についても徹底的に見直した結果、PTA会費は廃止。保護者は年額500円の「教育振興費」を納入することになっているそうです。
全家庭のうちPTA加入率は2割を切っているそうですが、活動を必要なものや保護者本人が自発的にやりたいものだけに限定した結果、人手不足になることはほとんどないようです。
参考
PTAは加入率2割でも機能する|川端裕人の「PTAは変われるか!?」|日経DUAL
PTAが無くなったら、学校は本当に困るのか?|川端裕人の「PTAは変われるか!?」|日経DUAL
各自治体が任意であることを文書で明示
各自治体や教育委員会が、PTAとはそもそも任意の活動であるということを文書で明示する動きも広まってきています。熊本県で2014年に行われた通称「熊本PTA裁判」などをきっかけに、PTAを適度に運営するための手引きや通知が発行されるようになりました。
これまで慣習的に行われてきた運営方法を見直すことで、保護者に過度な負担をかけないPTA運営にしていこうという機運が生まれています。
(参照元:【考えようPTA】ウワサの大津市教委発「PTA運営の手引き」 この対応はOK? NG? 4段階で評価|東京すくすく – 東京新聞)
PTAを強制しないメリットとは?
本来任意の活動であるPTAですが、これまで半強制的に入会・活動が行われていた学校・地域で運営方法を変えていくのはなかなか大変かもしれません。法的な位置づけのほかに、PTAを強制しないことでどのようなメリットがあるのでしょうか。
会費の徴収がなくなる
支出をきちんと見直せば、那覇市立識名小学校のように、PTA会費を廃止できる学校も出てくるでしょう。「お金があるから使う」「足りなくなったら会費を増額する」といった運営方法ではなくなるので、保護者の納得感も増します。
無駄な事業を減らせる
共働き家庭が珍しくない現代、時間のかかるベルマーク収集など、保護者が「本当にこれはやる必要があるのか?」と疑問を感じながら参加している活動は少なくないのではないでしょうか。任意加入を徹底すると会員数が減り、財源も減るため、不要な事業を減らすことになります。その方が、本当に必要な活動に注力できるというメリットもあります。
自発的な活動が増える
任意の活動では、会員の自発性がとても重要になります。「決まっていることだからやる」ではなく「やりたいから、必要だからやる」という活動が生まれると期待できます。
まとめ
PTA廃止にまつわる事例やメリット・デメリットをご紹介しました。保護者の手助けは学校にとっては大切なものですが、参加を強制することは訴訟リスクなどを増やすばかりか、保護者の負担にもなります。現代では、本来の趣旨に沿ったPTA運営が求められていると言えるでしょう。
参考
〈論説〉PTAの法的地位(3・完)|つくばリポジトリ
PTA活動に対する母親たちの態度の多様性|東京女子大学学術情報リポジトリ
PTAの違法・強制から保護者を守る! 教育委員会のお助け「通知」を一挙公開(大塚玲子) – 個人|Yahoo!ニュース
4月からPTAに入る? 入らない? 非加入を決める前に確かめてほしいこと(大塚玲子) – 個人|Yahoo!ニュース
PTAの任意加入 広めなければいずれ問題が起きる|WOMAN SMART|NIKKEI STYLE