子供に使わせたい筆記具、シャー芯のFとはどんなもの? - cocoiro(ココイロ)

小学生から高校生まで、子供たちが日常的に使うシャープペンですが、親にとって気になるのが、字を書いたり勉強したりすることへの影響ではないでしょうか。鉛筆に比べて細くて硬い印象のある「シャー芯」ですが、子供たちに使わせるのに適した濃さや硬さは、そして聞きなれない「F」という芯の種類は、どんなものなのでしょうか。シャー芯の基本を学びながら、Fの特徴や使い勝手、子供たちのシャープペン事情などを見ていきましょう。

シャー芯の基本を知ろう

シャー芯の硬度

Fは、シャー芯の硬度を表します。硬度の表示はHとBに数字を組み合わせた記号で表し、Hの数字が増えるほど硬くて薄く、Bの数字が増えるほど軟らかくて濃いことを示します。HはHARDの略、BはBLACKの略で、6Hから4Bまでの12段階に分かれます。

よく目にする「HB」とは、「HARD&BLACK」の略でHとBの中間の濃さのこと。そしてHBとHの間に位置するのがFという硬さと濃さで、「FIRM=しっかりした」の略記です。

シャー芯の太さ

シャー芯の分類には、硬度のほかに「太さ」によるものがあります。芯の太さは0.2~0.5、0.7、0.9mmの6段階。市販されている一般的な太さは0.5mmです。

芯径が細いものほど細い線や細かい字が書けるため、罫の細い手帳に書く場合や製図などに向きます。一方太い芯は、太く強い線が容易に書くことができ折れにくいので、スケッチや速記などに向きます。

シャー芯の素材を知ろう

粘土芯とは

シャー芯の太さは、素材や製法にも関係があります。シャー芯は、黒い色のもとになる黒鉛を結合剤と混ぜ、高温で焼き固めて作ります。

初期のシャー芯は鉛筆の芯と同じ製法で作られており、結合剤には粘土が使われていました。これを「粘土芯」といいます。しかし粘土で結合される「硬さ」には限界があり、芯に十分な強度を得るには、1~1.5mmの太さが必要でした。

樹脂芯とは

強度の問題を解決し、細い芯の成型を可能にしたのが「樹脂芯」です。これは結合剤に粘土ではなく高分子の合成樹脂を用いたもので、大日本文具株式会社(現在のぺんてる株式会社)が研究開発したものです。

1960年に世界初の0.9mmの樹脂芯が発売。1962年には0.5mm、0.7mmの芯が、1968年には0.3mmの極細芯がそれぞれ生み出されました。

樹脂芯は丈夫で折れにくい

樹脂芯は、黒鉛と高分子有機樹脂を焼いて炭素化させているので、組成が炭素100%となり、高い強度を持ちます。また粘土芯の場合は、黒鉛の割合が多いほど軟らかく粘土の割合が多いほど硬くなりますが、樹脂芯では硬さが配合にそれほど左右されません。

シャー芯の強度はJIS規格で基準が決められており、一定の過重による曲げ強さの試験を経ています。そのためすべての製品は一定の強度をクリアしたものになりますが、各メーカーでは、主に熱処理の過程で黒鉛粒子の配列や隙間などを制御し、強度にも特色を出しています。