小学生の不登校、その後の人生に与える影響は? - cocoiro(ココイロ)

幼稚園から小学校へ上がると、急激な環境の変化に子供は少なからず戸惑います。学校生活になじめず、登校拒否になる子供もいます。小学校で不登校になると、そのまま中学や高校も行けなくなってしまうのでしょうか? 小学生の不登校による影響を考えてみましょう。

小学生の不登校の影響

小学生の不登校は、その後の人生への影響は限定的

小学生で不登校になっても、その後の進路に直接影響を及ぼすことはまずありません。小学校は義務教育なので、不登校でも在籍している小学校から卒業資格がもらえます。また、中学校も義務教育なので、中学進学も問題なくできるでしょう。

不登校が中学まで続く場合は、注意が必要

しかし、だからといって安心するわけにはいきません。なぜなら、小学校で不登校だった子供の中には、中学進学後も不登校になる子供が多いからです。

小中学校とは違い、高校は受験が必要です。高校受験では多くの場合、中学3年時の出席日数や内申点が問われます。出席日数や内申点に関係なく当日の試験結果だけで合否を決める高校や、内申点よりも面接を重視する高校もありますが、全体的に見ると少数です。したがって、中学3年生での不登校はその後の進路の選択肢を狭めてしまいます。

2017年に文部科学省が実施した不登校児童に関する調査によると、不登校児童は学年が上がるにつれ増えていきます。また、不登校が前年度より継続している児童数も、ともに増加します。つまり、いったん不登校が長期化した子供は学校へ復帰することが難しく、年々不登校児童数が積み上がっている実態が明らかになっています。


(引用元:平成29年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について(その2)|文部科学省、P75, 96

上の表のうち、中学1年生で前年度(小学校6年生)より不登校が継続している児童は9,751人います。それに対し、小学校6年生の不登校児童数は合計で10,894人でした。単純計算をすると、小学校6年で不登校だった子供のうち89.5%の児童が、中学1年でも不登校だったことになります。

小学生の不登校が中学に持ち越される原因

では、なぜ小学校での不登校が中学まで持ち越されるのでしょうか? 2014年に文部科学省が行った不登校児童の追跡調査では、「不登校継続の理由」を調べています。

(引用元:不登校に関する実態調査報告書 第1部 調査の概要 ・ 第2部 基礎集計編|文部科学省、P12

体力・気力の低下

不登校が継続した理由のトップは、「無気力でなんとなく学校へ行かなかったため」(43.6%)と「学校へ行こうという気持ちはあるが、身体の調子が悪いと感じたり、ぼんやりとした不安があったりしたため」(42.9%)です。

子供はいったん不登校になると、体力と気力が低下します。不登校が長期化すればするほどその傾向は強くなり、学校が「恐ろしい場所」になってしまいます。

地元中学では友達関係が小学校から継続

「無気力」「不安」の次に来る不登校の継続理由は、「いやがらせやいじめをする生徒の存在や、友人との人間関係のため」(40.6%)です。地元の中学校へ進むと、小学校からの人間関係が続いていきます。友人とのトラブルが原因で不登校となった場合、同じ人間関係が続く中学校には行きにくいでしょう。

生活習慣の乱れ

小学校のときに朝起きて学校へ行く生活習慣ができていないと、さらに忙しくなる中学校生活にはなじめません。不登校が継続する理由のひとつに「朝起きられないなど生活リズムが乱れていたため」(33.5%)があります。

基礎学力の不足

小学校で勉強する内容は、すべての学習の基礎となる「読み・書き・計算」です。小学校で学ぶ内容は基本的なものなので、学校へ行かずとも親が十分教えられます。しかし、子供は学習内容を理解していても、完全には身についていない可能性があります。

小学校では基礎学力を確かなものとするため、徹底的な反復学習をします。この徹底反復による基礎学力の違いが、中学で応用が始まったときに理解の違いとして表れてきます。不登校継続の理由で、「勉強についていけなかったため」と答えた人は26.9%に上り、学校復帰への障害となっていることが分かります。

「学校」に対する無理解・苦手意識

勉強に続く不登校の継続理由は、「学校へ行かないことをあまり悪く思わなかったため」(25.1%)と「なぜ学校に行かなくてはならないのかが理解できず、自分の好きな方向を選んだため」(19.5%)です。

小学生のうちに有意義な学校生活を過ごせていないと、中学へ進学しても当然「学校へ行く意味がわからない」「意味がないのに学校へ行っても仕方がない」と思い、中学へ行く意欲がわきません。