中学生の職場体験はどんなことをするの?本当に子供のためになる?

中学校へ入学すると、実際に「働く」ことを体験する「職場体験」の授業が組まれます。中学生の職場体験ではどのようなことを経験し、それは子供たちにどのような影響があるのでしょうか。

当記事では職場体験の現状と、それぞれの立場からみた体験談をまとめました。

中学生の職場体験

中学生の職場体験は、文部科学省のキャリア教育の一環として2005年にスタートしました。現在では、全国の中学校で職場体験学習が行われています。

公立中学校における職場体験の現状

国立教育政策研究所が2016年度に発表した「平成28年度職場体験・インターンシップ実施状況等調査結果(概要)」によると、公立中学校における職場体験の実施状況は9,472校中9,294校、98.1%とほとんどの公立中学校が職場体験学習を取り入れています。

職場体験を通して、世の中にはどのような職業があり、働くとはどういうことなのか、ということを子供たちに意識してもらうきっかけをつくるのは、これからの時代を担う若者を育てるための取り組みとして非常に重要視されています。
そもそも職場体験とは?
職場体験とはいったい何なのでしょうか? 文部科学省のサイトによると

生徒が事業所などの職場で働くことを通じて、職業や仕事の実際について体験したり、働く人々と接したりする学習活動

(引用元:第1章職場体験の基本的な考え方|文部科学省

以上のように定義されています。中学生の子供たちにとって「働く」ということは、まだまだ実際の自分とはかけ離れたもので、実際にどういうものなのかということはそれほど実感できていません。

そんな子供たちに労働観や職業観を持ってもらい、将来なりたい職業を見据えた目的意識、進路意識を養おうとする取り組みが「職場体験」です。

中学生に職場体験は必要なのか

それでは、職場体験はなぜ必要なのでしょうか。必要性については、以下のように定義づけられています。

職場体験には、生徒が直接働く人と接することにより、また、実際的な知識や技術・技能に触れることを通して、学ぶことの意義や働くことの意義を理解し、生きることの尊さを実感させることが求められています。また、生徒が主体的に進路を選択決定する態度や意志、意欲など培うことのできる教育活動として、重要な意味を持っています。

(引用元:第1章職場体験の基本的な考え方(2)職場体験が求められる背景と必要性|文部科学省

2004年に中央審議会の答申で「キャリア教育の推進に関する総合的調査研究協力者会議報告書」において職場体験の重要性が説かれるようになり、現在では全国のほとんどの中学校が職場体験を取り入れるようになりました。

職場体験は受動的に受けていればよい授業とは違い、働く人とのコミュニケーションや新たな知識、技能など、普段の授業とはかけ離れた事柄が多々発生します。子供たちには、職場体験を通して新しい自分を発見したり、「働く」ということについての考察や、職業観を養うことが求められています。

それぞれの立場から見た職場体験

中学生の職場体験を実施するためには、学校の教師だけではなく、地域で営業している企業の協力が欠かせません。また、子供たちを送り出す保護者としても心配なことが多々あることでしょう。

ここでは、職場体験を受ける側、受け入れる側だけでなく、さまざまな立場から職場体験を見ていきましょう。

体験先確保のための学校や教師の苦労

学年の全ての子供たちが職場体験を受けられるようにするためには、受け入れ先の企業が必要です。そしてそれを探すのは、主に学校や担任教師の役割です。

子供たちを受け入れてくれるのが、学校から近い範囲にある魅力的な企業ばかりとは当然いきませんし、せっかく去年受け入れてくれた企業も今年行く生徒がいなければ、その後の受け入れを継続してくれないかもしれません。

先生たちが事業所に何度も訪問やお願いをして、やっと受け入れをしてもらった、という企業も数多く存在するのが実情です。

受け入れ先企業から見た職場体験

それでは、受け入れ先の企業はどうなのか、というと、実のところは次世代を担う子供たちの教育のための社会奉仕、無償ボランティアという要素が強いものです。

地域や社会で子供たちを育てていく、という視点を持った企業や経営者であれば、実習受け入れの理解は得られやすいかもしれませんが、実際には利益の発生しないボランティア業務に週単位で複数の社員の手が回ることになるので、負担の大きさは否めない、というのが実際のところです。

当の生徒たちは職場体験をどう受け止めている?

職場体験を受ける当の生徒たちですが、興味や関心のある第一希望の職場へ行けるかどうか、そこが家から近いのか、などはもちろん重要です。

しかし、それ以外にも誰と一緒に受けるのか、同じグループの友人と一緒になれるのか、嫌いな人や苦手な人と一緒にならないかなど、不特定の誰かと一日の大半の時間を一緒に過ごすことへの不安も色濃くあるでしょう。これは思春期特有の悩みでもあります。

職場体験、親は何が心配?

わが子を職場体験へ送り出す保護者としてはどうでしょうか。まだまだ世間を知らない中学生が自分たちだけで企業へ出向いて、実際に仕事を体験してくることを思うと、自分の子供はどんな仕事を選ぶのか、選んだ仕事に危険はないのか、どんな企業や仕事なら無事に体験期間を終えられるか、体験先は近いのか、などの不安真っ先に浮かぶのではないでしょうか。

2018年には、工場で職場体験中の中学生が機械で誤って指先を切断してしまう、という痛ましい事件も起こっています。子供の命に危険はないのか、また安全に体験を受けられるのかということは、学校、企業が最も注意を払うべきポイントであり、保護者として確認したい事項でもあります。