イースター祭りの起源
イースター復活祭の起源としては、いくつかの古い祭りが背景にあったといわれています。そもそも、なぜキリスト教ではキリストが復活したことを盛大に祝うようになったのでしょうか。その背景には、ユダヤ教の祭り「すぎこし(過越)の祭り」があるようです。ここでは、イースター祭りの起源となった「すぎこし」と、古代信仰の春のお祝いについて紹介します。
ユダヤ教のお祝い「すぎこし」
すぎこしというお祝いは、イエスが処刑される前の晩に、12人の弟子たちと食べた「最後の晩餐」が関係しています。最後の晩餐は、すぎこしの祭りの食事の元となる「セデル」と呼ばれる食事会で、すぎこしの祭りの初日には、最後の晩餐と同様に、汚れや傷のない子羊がいけにえとして捧げれていたといいます。
キリストの処刑は、いけにえとして捧げられた「過越の小羊」とされていたことから、ユダヤ教ではイースターの時期になると、子羊の血をドアに塗り、災いから逃れるという習慣が広まりました。これがすぎこしのお祭りの起源であり、災いから逃れたことを祝うお祭りとして浸透していったといいます。
古代信仰の春のお祝い
イースターの復活祭は、古代信仰の春のお祝いとも深い関りがあったとされています。イースター(Easter)とは、古代ゲルマンの言葉が起源となっているといわれており、春をつかさどる女神、「オーストル(Ostern)」の名前に由来しているという説もあるようです。
復活祭をイースターと言うのは,アングロ・サクソン民族(ゲルマン民族の一部)の言語,習慣に由来するものです。ローマ帝政時代のヨーロッパ西北部はゲルマン民族の勢力範囲で彼らは固有の宗教・慣習を持っていました。その一つが厳しい冬が去ってキラキラと陽光が輝き新しい生命の息吹があふれる春の到来を祝うお祭でした。春の女神を祝うものとも言われています。この女神或いはその祭の名前は彼らの言葉でOSTARAとかEOSTRE或いはEOSTURと呼ばれておりましたが,これがドイツ語でOsternとなり英語ではEasterになったものです。
(引用元:復活祭をイースターと言うのは|日本基督教団 富士見丘教会)
イースターは春先に行われるお祭りであることから、古代の人々が春の女神を祝うためのお祭りが、起源といわれるきっかけになったようです。
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イースターのシンボルについて
イースターといえば、イースターエッグやイースターバニーなど、卵やウサギがシンボルとなっていますが、それぞれどのような意味があるのでしょうか。イースターをよく知らないという方も、卵の殻がきれいに塗られていたり、模様が施されているイースターエッグを見たことがある人もいるのではないのでしょうか。
イースターにおいて卵やウサギはどのような意味を持つのか、イタリアで鳩がイースターのモチーフとされる理由について紹介します。
卵の意味
イースターのシンボルである卵には、イースターに先立って行われるキリスト教の受難節と呼ばれる修行が関係しているといわれています。また、卵がよみがえりのシンボルとされることから、キリストの復活を祝う生まれ変わりの象徴として「イースターエッグ」が親しまれるようになったようです。
イースターに先立ってキリスト教ではその準備期間として受難節(レント・Great Lent)は四旬節(四旬斎)が設けられています。期間は復活祭前の6回の日曜日(主日)を除いた40日間。40日間とは、キリストがおこなった修行・荒野の試練の40日間の断食に由来するとも、受難に先立つ40日間、特に弟子たち身近なものたちと親しみすごしたという伝承に由来するとも言われていますが、いずれにしてもキリスト教徒たちはかつては、また一部では今でも、この期間、肉、卵、乳製品、アルコールなどを断ち、節制と禁欲、祈祷に勤めて「主とともにある」日を過ごすことになっています。(省略)
こうして迎えるイースターは、厳しい節制明けの祝祭となり、禁じられてきたタマゴをふんだんに使った料理が供されることとなるため、タマゴがそのシンボルなのです。肉や牛乳ではなくタマゴなのは、タマゴは死から(棺おけから)復活したキリストと同様、新たな命が生まれる蘇りの象徴とされるため。このため東方教会のイースターエッグ(卵の殻に彩色したもの)は、キリストの流した血を表す赤に染められます。
(引用元:今更聞けない? キリスト教最大の祝日・イースターをじっくり解説|AERA dot. (アエラドット))
ウサギの意味
イースターにおけるウサギは、「多産」や、「春の祝祭のシンボル」という意味が込められています。イースターでは、エッグハントと呼ばれる遊びが行われますが、ウサギがエッグハントを運んでくるという言い伝えもあることから、「イースターバニー」という名称で、人々に親しまれるようになったといいます。
ドイツでは、オスターハーゼ(復活祭のウサギ)がかごに卵を入れて運んでくるという言い伝えから、街角ではウサギをモチーフにした人形が飾られるといいます。イースターの時期になると、ウサギと卵の飾りつけがヨーロッパでは多く見られるようです。
イタリアでは鳩をモチーフにしたものも
イースターといえば、卵やウサギがメインですが、イタリアでは鳩がモチーフとなるものもあるようです。中でも有名なのが、「コロンバ」と呼ばれる鳩の形をした焼き菓子で、イタリアの復活祭では定番のスイーツとなっているようです。
キリスト教において、鳩は平和と救いの象徴とされていることから、イエス・キリストの復活祭にちなみ、鳩が復活のシンボルになったといわれています。
イースターには何をするの?
イースターとは、キリスト復活祭ですので、クリスマスと同じように、家族でごちそうを食べながらお祝いをします。しかし、クリスマスと違うのが、イースターならではの遊びがあることです。生命の誕生を意味する「卵」を用いたエッグハントやエッグレースなど、イースターならではの過ごし方について紹介します。
イースターエッグ作り
イースターといえば「イースターエッグ」ですが、卵の殻などを使ってイースターエッグを手作りするという方も多いでしょう。本物の卵の殻や卵型の発泡スチロールなどを使ってペイントを施し、イースターエッグを部屋に飾ったり、エッグハントなどで遊んだりする家庭もあるようです。毎年イースターの時期になると、卵をモチーフにしたチョコレートなども売られるようになるため、プレゼントしたり部屋に飾ってみたりして、イースターを祝うという方も多いようです。
エッグハント
エッグハントとは、家の中や庭などに隠したイースターエッグを見つける遊びのことをいいます。子供も一緒に楽しむことができるため、祝日は家族でエッグハントをするという家庭も、欧米では多いようです。
また、エッグハントと同じようにイースターエッグを用いた遊びとして、エッグレースや、エッグロールなどがあります。エッグレースは、スプーンに乗せた卵を落とさずに一番早くゴールすることを競うゲームで、エッグロールは卵を割らないように転がしていくゲームです。手作りのイスターエッグを使ってエッグハントやエッグレースを楽しむのも、イースターならではの過ごし方といえるでしょう。
家族や友人と一緒に楽しくイースターのお祝いをしよう
イースターとは、キリストの復活を祝う祝日のことを意味しています。教会へお祈りに行ったり、イースターエッグを用いて遊んだりと、復活祭を楽しく過ごす方法がたくさんあります。イースターの起源は諸説ありますが、キリストの復活を祝うことから、海外ではクリスマスよりも重要視され、毎年人々がお祭りを行います。
日本でも少しずつ浸透しつつあるイースターですが、今回紹介した内容をもとに、家族でイースターのお祝いをしてみてはいかがでしょうか。
参考
イースターについて 樋口進|宗教センター宗教主事・キリスト教と文化研究センター教授
今更聞けない? キリスト教最大の祝日・イースターをじっくり解説|AERA dot. (アエラドット)
イースターについて|弓町本郷教会
イースターとは?復活祭の意味や起源と4つのシンボル|ぱんたれい
復活祭をイースターと言うのは|日本基督教団 富士見丘教会