高校生の子供を持つ保護者は、子供が文理選択をしなければならない時期が近づいてきたとき、どっちに進むのか気になるのではないでしょうか。この記事では、文系と理系の違い、将来を見据えた文理選択のためのヒントなどをご紹介します。
もくじ
文理選択とは?
高校・大学への進路選択を考えるときに、必ず「文系を選ぶか理系を選ぶか」という問題に直面します。「〇〇系が好きだから」という理由だけで選択していいのでしょうか? 日本では、理系・文系の進路選択はその後の人生におけるターニングポイントになります。選択のヒントをご紹介しますので、参考にしてください。
文系・理系の違い
日本では高校の入学時、または進級するタイミングで文系、理系を選ぶことが多いです。高校の文系では、国語、社会、英語を中心に、理系では、数学、理科を中心に学びます。そしてその選択が、進学する大学の学部や職業に直結していきます。
しかし、明確に文系・理系と分けているのは日本だけともいわれています。実際、日本で経済学部は文系ですが、経済を学ぶ上で数学は必須です。また、最近では文系・理系の垣根を飛び越えた学部もあります。
科目・学部
文理選択を考えるとき、将来なりたい職業から考えるという方法があります。希望の職業に就くためにはこの学部を出なければならないから、そのためには高校で文系、あるいは理系を選ぶという考え方です。なりたい職業、夢が明確に決まっている人の場合は、この方法が一番正しいです。
しかし、まだそこまで将来のことが具体的に決まっていない人の場合はどうすればいいのでしょうか? まずは高校で学ぶ文系、理系の科目と、大学の学部の系統について知っておきましょう。
文系科目(高校)
高校における文系科目とは、現代国語、古文、漢文、日本史、世界史、地理、政治経済、倫理、英語などになります。主に「人の世の中がどうなっているのか」を学ぶことを目的としており、「人」にフォーカスした学問ともいえそうです。
理系科目(高校)
高校における理系科目とは、数学、物理、化学、生物、地学などです。数学や物理の特徴は、普遍性です。時代や地域、イデオロギーや宗教などを飛び越えて、正しいものは正しいとするのが普遍性です。
文系学部(大学)
大学の学部には、人文科学系統、社会科学系統、自然科学系統の3つの系統があります。文系科目で受験できる学部としては、主に人文科学系統の文学部、外国語学部、教育学部、社会科学系統の法学部、経済学部、経営学部などがあります。
理系学部(大学)
理系科目で受験できる学部には、自然科学系統の理学部、工学部、農学部、医学部、薬学部、歯学部、看護学部などがあります。理系学部の場合、学部名から将来に就く仕事のイメージがわきやすいかもしれません。
しかし、最近ではシステムエンジニアのように、理系学部出身者だけでなく、文系学部出身者が増加している職業もあります。文系・理系にこだわらない、横断的な知識を必要とする職業も増えてきているようです。
英語は文系?理系?
英語を学びたい人は、一般的に文系を選択することが多いと思います。翻訳家や通訳、英語教師など、なりたい職業が決まっている場合は問題ありません。しかし、理系の職業でも研究・開発職など、英語力が必要とされる仕事は数多くあります。
英語を学問ととらえるなら、外国語学部や文学部の英文科などが適していますが、コミュニケーションの手段と考えるなら文系・理系は関係ありません。今のグローバルな社会では、文系・理系にかかわらず英語は必須といえます。
割合
それでは、文系と理系どちらを選択する人が多いのでしょうか? 文系・理系の割合は、一般的には7:3といわれています。しかし、国公立大と私立大で分けてみた場合、国公立大で一番学生数が多いのは理系の工学部で、私立大では法学部、経済学部、経営学部などが含まれる、文系の社会科学がもっとも多くなっています。
偏差値
文系と理系の大学を偏差値で比較することはできるのでしょうか。文系と理系の偏差値では、文系の方が高く出る傾向があるようです。これは、偏差値が平均点によって大きく変わってくるためです。
理系の場合、医学部、薬学部などを目指すトップレベルの学生が含まれるため、平均点が高くなる傾向があります。同じ偏差値50でも文系と理系では位置づけが異なってくるため、単純に比較はできないようです。
年収
文系出身者と理系出身者で、年収に違いはあるのでしょうか? 独立行政法人経済産業研究所の調査では、以下のようになっています。
男性
文系出身者 | 559.02万円(平均年齢46歳) |
---|---|
理系出身者 | 600.99万円(平均年齢46歳) |
女性
文系出身者 | 203.00万円(平均年齢44歳) |
---|---|
理系出身者 | 260.36万円(平均年齢37歳) |
このように、文系と理系では年収に差があるようです。この傾向は、日本だけでなく世界でも同様にみられるようです。職業は年収だけで選ぶものではありませんが、1つの目安として参考にしてください。