「自立心」を育む、フィンランド教育システムの特徴5つと気になることについて - cocoiro(ココイロ)

フィンランドは教育や福祉など社会制度がとても充実しています。先進国の主流である「詰め込み式」教育ではないのにも関わらず、フィンランドの学力水準はかなり高くなっています。実際のフィンランドの教育システムはどのようなものなのか、当記事ではフィンランドの教育システムの中でも5つの特徴に絞って解説します。

フィンランド教育がどうして注目されているか?

フィンランド教育が、注目されるきっかけになったのは、先進国にありがちな高い学費と「詰め込み式」な教育ではないという点です。

また、フィンランドの学校では、子供たちが親たちから巣立った後の生活を見据えた「本当に生かせる教育」をカリキュラムで行っているのが大きなポイントです。

フィンランド教育の歴史とは?

かつてのフィンランドでは、一部の裕福な子供しか教育を受けられないものでした。
そして、誰でも平等に受けられるようになったのは、1921年の「義務教育法」が導入されたときです。当時の修学期間は4年でした。

1972年、教育制度の全面的な変更がなされます。これによって、総合学校6年と中等教育3年を合算した9年の総合学校となりました。

そして、かつてフィンランドもA,B……といった点数制で成績を評価していましたが、それが記述式にシフトされ、今日に至っています。

日本と違う?フィンランド教育の特徴5つ

高い教育水準で注目されているフィンランドでは、7~16歳が義務教育期間「基礎教育」に相当。そして、次のステップは高校です。大学進学希望なら「普通高校」、就職希望なら「職業高校」の2つに分かれ、それぞれの将来に向かって準備します。

では、実際のところ、フィンランドの教育にはどのような特徴があるのでしょうか。その中でも注目すべき5つの特徴についてまとめました。

教育費が無料!そして、すべての子供が平等

日本では公立の小学校と中学校の学費が無料であり、私立や国立だと教育費が発生します。そのため、家庭が低所得という理由で、自分の夢を諦めたという学生も少なからずいるのが現状です。

それに対し、フィンランドは、すべての子供の可能性を広げるため、就学前の教育から高等教育まで家庭の所得に関係なく、誰でも学ぶ機会が与えられています。基礎教育の後期の課程だと教科書が一部負担となりますが、教科書・給食・送迎に関して無料です。

また、日本の学校における特別支援教育は、普通学校と区分けをした教育カリキュラムとなっています。しかし、フィンランドに関してはこのような線引きをせず、特別支援の教育を通常教育としても捉えています。

全国統一テストがない?

日本では、学習の定着度を確認するなどの目的で小学生から高校生までを対象とした全国統一テストがあります。フィンランドでは、基礎教育期間中の全国統一テストを実施していません。

ただし、全国統一テストは、基礎教育の次のステップ・普通学校の卒業の際に行われます。あくまでも高校卒業の資格を得る目的のテストの位置づけです。

自ら学ぶ体験型カリキュラムの多さ

フィンランドの教育は、日本と違い、教師があえて教えないことで、自ら学び、知識を積み上げることを軸としています。

学ぶ「楽しさ」を得るために、体験して学ぶカリキュラムが充実しています。経験を積むことで今後の生活に活かせる知恵も身につき、お得感もあるのがフィンランド教育です。

算数の授業に音楽?クロスカリキュラムの導入

フィンランドには、複数の教科の内容をそれぞれピックアップして学ぶ「クロスカリキュラム」を採り入れています。

このカリキュラムを例として取り上げると、社会の地理のレポートの中に数学の数字系の内容や理科の計算データやグラフを用いるなどがあります。

複数の教科が混合させることで、物事をあらゆる視点から捉えることもでき、知識を確立させる効果が見込まれます。そして、教科や単元に対する「苦手」意識を払拭させることも可能です。

マインドマップは早いうちに習得

マインドマップは、日本でも自己啓発のツールの1つとして注目されていますが、フィンランドでは、豊かな想像力を引き出すなど目的として小学生の段階において授業で習います。

子供たちが、たくさんのマインドマップを描くことで、思考力・集中力・記憶力が定着すると言われています。そして、問題に直面したときもマインドマップが身についていれば、解決や改善への近道も見つかります。